大都会とリゾートが混在する街・ドバイは、冬から3月にかけてがもっとも過ごしやすいシーズン。筆者が訪れたのは連日45℃を記録する灼熱の季節、6月下旬のこと。イスラム教徒が年に1度、1か月間の断食を行う2015年の「ラマダン」の時期でした。その様子に触れるのも今回の旅の大切なミッション。そんなラマダン体験と魅惑のリゾートライフについてレポートします。

日没とともに断食後の食事「イフタール」がスタート

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早朝、ドバイ空港に到着。まだ午前中なのに気温はすでに40℃越え。まるで蜃気楼のように高く高くそびえ立つ世界一の超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」の姿を眺めると、ドバイに来たことを改めて実感します。

6月下旬のこの日、ドバイはラマダン真っ只中。街には挨拶の言葉「ラマダン・カリーム!(ラマダンおめでとう!)」と書かれた看板が立ち並び、ムスリムの人々は日の出から日没まで、食事はおろか水さえも一切口にしません。

ツーリストはもちろん食事はできますが、断食中の人々に配慮してレストランには衝立てや暗幕が張られ、公の場で水を飲むのも厳禁。飲むならホテルの客室で、外出先なら車内などでこっそりと、がルールです。

伝統衣装を身につけ、イフタールを見学

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日没とともに街にコーランが流れ始めると、待ちに待った1日の最初の食事「イフタール」が始まります。

夕暮れの空に高さ65mの尖塔が浮かび上がる「アル・ファルーク・モスク」では、敷地内にラマダンテントが張られ、イフタールが無料で振る舞われます。その食事の様子を取材させていただくと、テント内では300人もの男性陣がコーランの終わりとともに一斉に食事をスタート。1日待ちわびたこの瞬間、辺りは静寂と熱気に包まれ、食べ終えるまでの所要時間はほんの5〜10分。皆さんあっという間に完食!

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こちらの「アル・ファルーク・モスク&センター」は、世界遺産であるイスタンブールのブルーモスクを模して建造され、細部までアラベスク様式が施された美しいモスク。ドームや124枚のステンドグラス、緻密なモザイクなどはモロッコの職人が1年をかけて装飾したそう。

館内ツアーやレクチャーも行っており、モスク内に入る際は民族衣装・アバヤを着用(貸し出しアリ)髪を隠すスカーフ=シェイラのオシャレな巻き方をスタッフの女性に教えてもらったり、伝統衣装を実際に身につけることができるのも貴重で楽しい経験です。

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実際にイフタールを味わってみる

お次は、ドバイでもっとも古い地区のひとつ、アルファヒディ歴史地区に1998年に創設された「シェイク・モハメドセンター」を訪問。文化交流の場である当センターでは、民族衣装(男性はカンドゥーラ、女性はアバヤ)に身を包んだホストがUAEの文化や習慣、宗教についてレクチャーし、伝統的なアラブ料理も体験できます。

本日はもちろん、トラディショナルなイフタールに挑戦。食べ方の基本的な流れは、まずゆっくりと水を飲み、栄養価の高いデーツで空っぽの胃袋に栄養を行き渡らせてから、食欲を刺激するハーブや香辛料たっぷりの料理をゆっくりといただきます。宴の〆はカルダモンとサフランを煮出したアラビックコーヒーを一杯。

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ひたすら過酷で苦行のような先入観を持っていたラマダンですが、ホスト達の話を聞いていくと、イスラム教徒にとってラマダンは信仰を深めるとともに家族とごちそうを楽しむお祭りであり、毎年心待ちにしているシーズンなのだそう。そのポジティブな姿勢に何だかホッとしたのでした。

このセンターでは年間を通して文化体験や食事会を開催しているので、ドメスティックな家庭料理を体験するならおすすめです。料金は朝食80AED、ランチ90AED、ディナー100AEDなど。

人気レストランでおしゃれなイフタールにトライ

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さて、ラマダン体験のラストは話題のモダン・アラビック・レストラン「Qbara」でスタイリッシュなイフタールを。料理長のフローリアン・ベッカーさんは日本の店で腕をふるっていた経験もある人物で、オリジナルの食器類はなんと居酒屋をイメージしてデザインしたのだとか!

ベッカーシェフのイフタール特別コースは245AED。

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ひよこ豆のフムスやザクロで酸味をあしらったナスのディップ・ババガヌーシュなどレバノン料理ではごく定番の前菜さえも、見事に洗練されていて実に美味。スパイスが食欲を刺激し、アルコール解禁時間の21時が待ちきれない......!

水族館に宿泊!? ドバイ屈指のドラマチックホテル

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1軒目の滞在ホテルは、人工島パームジュメイラに建つ「アトランティス ザ・パーム」。23階建て、1539室という壮大なスケールを誇る5ッ星ホテルで、まず目を奪われるのが客室からの眺望です。パームアイランドをモノレールがゆったりと縦断し、彼方にダウンタウンの高層ビル群がそびえるさまは、これぞ「THE DUBAI VIEW」。圧巻の眺め!

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そして伝説の大陸「アトランティス」をモチーフに、巨大なアクアリウムを完備することでも知られるこのホテル。セミオーダーのアバヤがとってもオシャレだった広報のリンダさんが出迎えてくれたロビーには、アメリカの著名アーティスト、デイル・チフリーが手がけた巨大オブジェなど、海中を思わせるインテリアデザインが随所に施されています。

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水族館「ザ・ロスト・チェンバース」や階段のピロティエリアに作られた天井高5mの巨大水槽、そしてバスルームからマンタやサメたちが優雅に泳ぐ姿を愛でられるスイートルーム「ポセイドン・スイート」......と、まるでテーマパークに宿泊しているかのような楽しさ。この徹底したエンターテイメント性こそ、ドバイの醍醐味のひとつでしょう。

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もちろん館内には「ゴードン・ラムゼイ」や「NOBU」など23ものスターレストランが揃っているので、美食家へのサービスも万全です。さらにスパ施設「ShuiQi」は2フロアに個室が27室と大充実。メニューは「ESPA」や「資生堂」などのトリートメントが揃い、ゲストルームのアメニティも「ESPA」が標準装備。スパマニアの読者もきっと満足してもらえるはず。

日常から逸脱した"非現実感"にどっぷりと浸ってしまうのも、ドバイらしい楽しみ方かも!

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ちなみに筆者が印象深かったのは、ホテルに早朝チェックインした際、客室に特別に用意してくださった朝食セット。焼きたてのビノワズリーや新鮮フルーツを載せていたのは、中国茶で使われる茶船と呼ばれる竹製のお盆。ホテルのホスピタリティとサービス精神に、フライトの疲れも吹っ飛んだのでした。

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そして、モスクや文化交流センターで、スタッフの皆さんがよく口にしていたのが「我々ムスリムが東洋と西洋の架け橋になっていきたい」という言葉。今や世界的に深刻な脅威となりつつあるIS問題ですが、本来、イスラムの教えは平和や調和、寛容といった価値観のはず。それらをリベラルな視点でレクチャーしてくれるドバイを訪ね、今こそ"本来の教え"について学んでみるのもよい機会かもしれません。

※旅は、後編へと続きます。

Al Farooq Omar Bin Al Khattab Mosque and Centreアル・ファルーク・モスク&センター)
住所:Al Safa 1, Dubai, UAE
TEL:+971-4-394-4448

シェイク・モハメドセンター(SMCCU)
住所:House 26, Al Mussallah Road, Al Fahidi District, Dubai, UAE
TEL: +971-4-353-6666
料金:朝食80AED、ランチ90AED、ディナー100AEDなど。

Qbara(キュバラ)
住所:Oud Metha Road, Wafi City, Dubai, UAE
TEL:+971-4-709-2500

Atlantis The Palm(アトランティス ザ・パーム)
住所:Crescent Road, The Palm, Dubai, UAE
TEL:+971-4-426-2000

取材協力:ドバイ政府観光・商務局

写真/藤森陽子