大人の女となったいまでも、「お城」という言葉には、どこか心をワクワクさせるエッセンスが入っているような気がします。子どものころ夢中になった童話の世界を彷彿させるせいでしょうか。

実際、ヨーロッパ旅行で外せないもののひとつが、お城の観光でしょう。ヨーロッパの城というと、ドイツ・ロマンチック街道のノイシュヴァンシュタイン城とか、フランス・ロワール川渓谷に立ち並ぶ古城が有名です。けれども、以前も書いたように、ベルギー南東部アルデンヌにも、多くの城が点在します。

アルデンヌは、森林や渓谷など自然の美しさで知られる地方です。王国であるベルギーでは、いまも貴族の称号が残っており、城も私有のものが多いようですが、外から見るだけでも素敵なものや、博物館のように見学可能な場所もあります。

ムーズ川の朝もやに霞むフレイル城

たとえば、ムーズ川(マース川)沿いに建つFreÿr(フレイル)城は、ボーフォール・スポンタン公爵が避暑のために建てたルネサンス様式の屋敷です。

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 ルネサンス様式の城

私が訪ねた晩秋の朝は、ムーズ川から朝もやが立ち上っていました。うしろに佇むフレイル城はぼんやり霞んでしか見えず、まるで、モノクロのような不思議な風景を見ることができました。

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幻想的に霞む姿はまるでモノクロ

ムーズ川を見下ろす廃墟

ムーズ川の北方には、13世紀から15世紀にかけて建てられたPoilvache(ポワルヴァッシュ)城跡もあります。いまは廃墟となっていますが、一部城壁や井戸が残っていて、当時を偲ぶことができます。

広い高台からの見晴らしは素晴らしく、ムーズ川の中州であるHoux(ウー)島をはじめ、周辺が手に取るように眼下に広がります。

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いまも残る壁の一部
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ムーズ川とウー島が眼下に

皇太子さまも訪れたヴェーヴ城

森の中にひっそりと建つのはVêves(ヴェーヴ)城。こじんまりとした城は、現在も某侯爵所有です。

独身時代の皇太子さまも訪問されたようで、当時の写真や、皇太子さまが持参された菊の御紋入りの菓子皿が飾ってありました。

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ヴェーヴ城外観

このヴェーヴ城の向かいの山には、19世紀ネオゴシック式のNoisy(ノワジー)城が良く見えました。秋色に映える美しい城でしたが、もうこの姿を見ることはできません。というのも、残念なことに、この記事を書いているいま現在、解体中なのです。

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ヴェーヴ城から見えるノワジー城。解体直前の姿

充実の見学に大満足、モダーヴ城

内装と説明の充実ぶりに感心したのは、アルデンヌ北部のModave(モダーヴ)城です。

広大な自然保護区に囲まれ、高い岩の上に建つ城の30近い部屋は、壁や天井まで、タピスリーや彫刻で覆われ、どこに目を向けても感嘆のため息が漏れます。オーディオガイドは、日本語の選択もできる親切さ。

じっくり時間をかけて見学したい場所です。

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 モダーヴ城の内装
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 城のテラスからの眺め

アルデンヌ地方を巡っていると、ガイドブックはおろかグーグルマップにも載っていない城館に出くわすことがしょっちゅうあります。

ノイシュヴァンシュタイン城やヴェルサイユ宮殿のような豪華さとは比ぶべくもありませんが、瀟洒な城館の佇まいに、どこか懐かしさを覚えます。

それは、もしかしたら、これらの城が、わたしたちが子どもの頃思い描いた「お城」に似ているせいかもしれません。

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こういう城館がそこここに見られます

Château et Jardins de Freÿr, Poilvache, Château de Vêves, Château de Movave