かつて私が管理職ではなかったころ、「部下を守ってくれる、そんな上司になりたい」と、よく思ったものです。そして、実際に管理職になってみると、組織の運営というものは簡単なものではないことを、嫌というほど思い知りました。

チーム全体の成果というものは社内的に評価される現実です。それを追いすぎると、メンバー個々の思いに対して細やかには対応できない状況に。

部下を持つ人であれば誰もがぶつかる問題やジレンマに対して、「あ、そういうことでいいんだ」と、読むことで気持ちが楽になった本をご紹介します。

弱い自分をどんどんさらけ出す

リーダーに必要なのは「弱さを認める」ことです。カッコつけずに弱い自分や、ミスをしたことを隠さなければ、「失敗していいんだ」「間違ったっていいんだ」とメンバーも思えるようになります。(中略)
自分の弱さを隠さない「素直さ」こそ、リーダーには大切なのです。

33ページより引用

リーダーは常に迷わず、強くなくてはならない......。管理職というものは多かれ少なかれ、自分の理想像を追いすぎて、ついついカッコつけてしまうもの。「そうか、そうでなくていいのだ」と、気持ちが楽になった言葉のひとつです。

リーダーがカッコつければ、部下も自然と同じように仮面をかぶってしまうもの。リーダー自身がミスをした自分を隠さずにいれば、部下もまた失敗したり間違ったりしたときに自然と隠さなくなります

そう、自分の弱さを素直に認められるリーダーこそが、本当の意味でカッコイイのかもしれません。

「報連相」はリーダーから聞きにいく

そこで、メンバーの報連相を待つ「守りの報連相」から、リーダーがメンバーに聞きにいく「攻めの報連相」に変えてみましょう。Aさんに任せた仕事の進捗状況を知りたいときには、Aさんが仕事をしているところまで足を運んで、「どんな感じ? 気になっていることはない?」と、リーダーがメンバーに聞きにいくのです。(中略)
そうすれば、仕事の進捗はもちろん、抱えている不安な気持ちや課題を適宜把握できるのです。

96~97ページより引用

たとえば40代女性が管理職になると、さまざまなパターンの部下が登場します。かつての先輩が部下になったり、同期の男性が部下になることだって現実におきてしまうのです。

「あれ、あのプロジェクトはどうなったんだろう、報告がないじゃない」

どうしたものか、と頭を抱えても何もはじまりません。そんなときは軽やかに、自分から「攻めの報連相」を仕掛けたいもの。管理職だからって待っていなくてもいいのです。

そして、案外に軽々とそれをやってのけるのが、女性管理職の強みかもしれません。

権威を振りかざす人とは戦わない

「権威のある人」と、「権威を振りかざす人」とは違います。もしも、相手が権威を振りかざして、あなたに抵抗してきたとしたら、「ご意見ありがとうございます」と感謝の気持ちをまずは伝えましょう。そして少しだけ時間をおいて「検討させていただいたのですが、今回は......」と、毅然とした態度で自分の意見を伝え、次の行動に出ればよいのです。(中略)
権威を振りかざす人とは決して戦わず、感謝の気持ちを前面に出す――ぜひ謙虚な姿勢、素直な姿勢で、あなたが伝えたいことを言葉にしてみてください。

170~171ページより引用

他部署との調整や上役への相談ごとを上手にこなす社内政治も管理職の一つの役割です。「ばかばかしい!」と軽んずることなかれ。これをおさえられるか否かで、その部署の明暗が分かれると言っても過言ではない。それが、日本の組織というものです。

そうは言っても、一つだけ例外が。権威を振りかざす人の「おもしろくない」感情にふりまわされる必要はないということ。だからこそ、真っ向から無視するのではなく、あくまでしなやかに交わす技術。そして、感謝の気持ちを伸べることで相手の存在証明を果たしてあげる。

......戦わないという戦い方もあるということ。そんな涙ぐましいリーダーの奮闘を、しっかりと部下は見ていてくれるものです。

シンプルだけど重要なリーダーの仕事

著者:守屋智敬
発行:かんき出版
定価:1,400円(税別)