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更新日:2002年8月26日
Views for thought  今、注目のひと今、旬な人にインタビュー。その人の生き方や考え方から
なにかを感じとってもらえれば……。
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「誰もが知る歌」との出会いが、ココロとからだを自由にしてくれた
 幸田聡子  KOUDA Satoko / バイオリニスト
 
  
幸田聡子さん大阪に生まれ、3才からバイオリンを始める。1984年ヴィニアウスキー・ジュニア・バイオリン・コンクール(ポーランド)でのテレマン特別賞など数々の賞を受賞。東京芸術大学を卒業後、関西を中心にリサイタル活動を開始。1999年『川の流れのように/美空ひばり・オン・バイオリン』でCDデビュー。このCDは同年の日本レコード大賞企画賞を受賞し話題を呼んだ。演歌、歌謡曲、シャンソンなど幅広いレパートリーを持つ演奏家として活躍中。
  
懐かしい「歌」のなかにある心地よさ
 
   歌詞がないバイオリンの演奏で、ほとんど始めて聴くメロディなのに、なぜかとても懐かしい……? 幸田聡子さんが奏でる美空ひばりを聴いて、いちばんびっくりしたのは、そんなふうに聞き入っている自分自身の反応だった。縁遠いものと思っていた演歌(!)を、こんなにも聴かせてくれるバイオリン、どんな人が奏でているのだろう? そんな興味から、是非会ってみたいと思っていた。
 
 「演歌には、私も最初は抵抗がありました。なんといっても知らない歌ばかりでしたから(笑)。演奏するまでには、その歌手や歌詞の世界が、自分のなかのどの部分にはまるのか、それを探す作業に苦労します。たいていもとの歌を繰り返し聴きこむことから始めるんです。その歌手のCDを聴きながら、アレンジされた楽譜を目で追って、傍らにはバイオリンを置いて。自宅でそうやって村田英雄さんの『王将』を何回も聴いていたら、弟から『お前、すっごく渋いことしてるな〜』って言われてしまいました。たぶん傍から見たら、滑稽な光景だったんじゃないですか(笑)」
 
 
   幸田さんの手にかかると、演歌独特の節回しからアクのようなものが抜けて、メロディそのものの美しさや、歌が持つ哀歓がしみじみと迫ってくる。そうした演奏には、やはり世代や時代のギャップを乗り越える彼女なりの努力が欠かせないはず。幸田さん自身、演奏を通じて、懐かしい歌のなかにある魅力を発見したところもあるのだそう。
 
音楽が人をギュッと結びつける瞬間
 
   演奏家になりたい、というより「人前で弾くのが好きだから」演奏家になったという幸田さん。そんな彼女が最も大きな充実感を味わうのは、聴衆の前で弾き始める直前なのだとか。演奏間際といえば、プロでも緊張するというのが定説だというのに……。彼女にとっては、この上なくワクワクする瞬間だという。
 
 「ホールやお客さんの雰囲気を感じながらステージの真ん中に出ていって、客席をグルッと見まわすとき、それが一番幸せな瞬間ですね。でもまぁ、その幸せ感はいつまでも続くわけもなく、弾き始めてみるといろいろあったりするので(笑)、退場するときは『うーん……』って反省しながら帰ることも」
 
 
   充実感を持続して弾き終えたとき、観客との間に生まれる「ギュッという感じ」、その一体感がたまらない魅力だそう。また、クラシックとは違う新しいジャンルに挑戦することで、幸田さん自身「心も体もすごく自由になった」とか。
 
「やはりクラシックはアカデミックな世界ですから、曲に対して『こういうふうに弾かなければいけない』というルールがあります。でも歌だと、そういうことに捕らわれずに、ホールの空気やそのときのお客さんの雰囲気から感じたことをそのまま演奏に込めることができる。その反応もすごくダイレクトに返ってきて、まるで音楽がステージと客席を循環しているような感覚が味わえるんです。それは『誰もが知っている歌』の持つ力なんだと思うんです」 
 
バイオリニストの“オン”と“オフ”
 
   バイオリニストという響きには高尚なイメージがあるが、リサイタル活動そのものは「まるで旅芸人」だと幸田さん。楽器を片手に、毎週どこかに出かけることの繰り返し。今年も8月の段階ですでに22回の舞台をこなしている。
 
 「行ったことのない県は、もうないですね。会場もいろいろ。大きな音楽ホールもあれば、老人ホームのような小さな会場もあります。基本的に、呼んでもらえればどこにでも行きますという姿勢なので。腰を落ち着けようとか、こうすればもっと効率がいいなんて考えている時間や暇は、いままでなかったですね」
 
 
   仕事から離れてくつろぐのは、“旅”から帰り自宅に戻ったとき。2匹の愛犬と家で過ごす時間は自然に気分転換になるそう。
 
「気分転換に音楽を聞いたりすることはないです。くつろぎたいときは、なにも音がない状態か、そうじゃなければ漫才を聴く。関西でやっている深夜のローカルお笑い番組とかが好きなんです。有望な若手をチェックしたりしてね(笑)」 
 
   これから将来のことに関して、幸田さんは「バイオリンを弾くことは、終わりのない仕事。だから目の前の課題をクリアしていけば自然と道が開けていくと思う」という。その迷いのなさが眩しく感じられた。
  
 

■『愛のバイオリン』
クラシックで構成された新アルバムも、注目はやはり「歌」。アリア「歌に生き、恋に生き(トスカより)」や「アメイジング・グレイス」などお馴染み歌も、いままでのイメージを一新。

公式サイト
http://columbia.jp/~satoko/


Text / Kikui Tomoko
Photos / Sugasawa Kenji
幸田聡子さん
演奏は体力勝負の仕事。「体調を維持するためもあって、サプリマニアなんです。だいたい7種類くらいは携帯してます。最近のお気に入りはコエンザイムですね」 え? それって、なんに効くんですか?? さすがマニア!
   
 
 
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vol.36 中尊寺ゆつこさん/漫画家  2002年7月11日



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