乳首にハシャぐ男性メディアに思う……
もう10年近く前のある夏、昼休みに新橋のゴチャゴチャした通りを歩いていると、中年のサラリーマン風男がツツーと寄ってきて囁いた。
「乳首、見えてるよ」。
「!」「そんなはずは!?」。咄嗟にあごを引いて胸を見た。シャツのボタンが外れているわけはなく、寄せて上げて系のしっかりブラをつけていたから、シルエットが見えるわけもない。すぐに嫌がらせの愉快犯と気づいてキッと振り返ると、男はニヤニヤしながら去っていった。
恥ずかしさに戸惑う女の子を見て興奮するのか優越感に浸りたいのかわからないが、猛烈に腹が立った。と同時に、「乳首(のシルエット)が見えたらそんなに恥ずかしいんかい!」「恥ずかしくなんかないわい!」「そんなに見たきゃ見せてやるー!」と開き直れるようになりたいと思った。いまだになれていませんが。でも今でも、自分の持っている体のシルエットが見えたことで辱められる状況はおかしいとは思う。隠すことで弱みを握られるくらいなら、最初から隠さないですめばいいのに。
そんな出来事を、男性誌が嬉々として追いかけたシャラポワブームで思い出した。彼女はたしかにきれいだし強いけれど、欧米のメディアではこんなブームは全然起きていない。単に「女子テニス界に新星現る。なかなか美人だね」程度。タブロイド誌も特別に追いかけてはいない。日本の男性だけが乳首にキャッキャとはしゃいでいる。
実際、欧米だとノーブラでTシャツを着ている女性はちらほら見かける。私も旅行をし始めた10代後半の頃は「あの人、気づいてないのかな?」とドキドキしたものだったけれど、わざとだとわかって「へぇ」と思ったものだ。オフィスに行くときにはさすがにしないけど、休みの日や夜遊びに行くときなどは快適だしセクシーだしってことでそうしている人が多い感じ。ブラジャーを外そう!と呼びかけたウーマン・リブの名残りもあって、自信のある強い女性のニュアンスも期待できる。
で、男性はどう思っているかというと、ここに関しては男心は洋の東西を問わないようだ。そんなことに人前で喜ぶと幼稚だと思われるから目に入っていないフリはするが、見えれば悪い気はしてないらしい。ウチのパートナーも、夜遊びの支度をしていると「カッコいいじゃん、堂々としてればいいんだよ」と言う。
そうそう、ウワサの「つけ乳首」ってのは、本当に売っているらしい。白人には乳首が小さい人が多いようで、大きく突き出た乳首に憧れるんだそうな。せっかくノーブラでキメても画竜点睛を欠くということで、ペタリと突起を貼り付ける。日本には正反対の目的で貼り付ける商品があることを思うと、どっちもどっちのような……それだけ乳首というのは人々の意識を集めるってことは確か。
先日Cafeglobeで行った「シャラポワで二プル(乳首)見せファッションが来るかも!? あなたなら挑戦する?」というVote!での設問に、程度はともかく肯定的に答えた人は16%。お尻の形もへそ出しも胸の谷間もフツーのことになりはじめているから、日本でも乳首を見かけるようになる日も遠くないのかも? ま、見慣れちゃえばどうってことないと思うけど。
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ちなみに、電車内の痴漢もパンツのぞきも下着泥棒も、欧米にはほとんど存在しない。日本の男性は「見えそうで見えない」など妄想を使うのが好きだと言えそう。
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