最近何かと話題の「投資」。興味津々、もしくは「もうやっている」という方も多いのでは? そもそも投資とは自分のお金を事業に役立ててもらい、事業収益の一部を受け取ること。だったら、地球や人々に優しい事業に出資したいですよね? そこで、今回は地球や人々に優しい「市民風車」への出資の仕組みを紹介します。
市民風車とは、一般の市民や団体からの出資をもとに作られる風力発電のための風車のこと。デンマークやドイツなどではこの市民風車が盛んで、デンマークにある風車約5000基の半分以上が市民風車だとか(※1)。日本でもこの取り組みが始まり、これまでに3000人以上の人々が出資という形で参加しています。

デンマークの中央部にある人口4400人の小さなサムソ島では、地元の人々が中心となって建設した風車11基などにより、島内の電力がすべて自然エネルギーでまかなわれている。また、2003年に洋上に建設された風車で作られる電力は電力会社に販売している。photo / 自然エネルギー市民ファンド 日本で最初の市民風車「『はまかぜ』ちゃん」は、2001年に北海道の浜頓別(はまとんべつ)町に誕生。きっかけは、原発への反対運動の中で自分達からの代替案を提示する必要性に気づいた人々が、「自分が使うエネルギーを選ぶ」しくみとして風車を作ることを決めたこと。この主体となったNPO法人北海道グリーンファンドでは、毎月の電気料金に一定の率(5%)を上乗せして寄付を募る仕組み(基金)を日本で初めて実現。この基金も建設費用の一部となっています。
しかし、この寄付だけでは建設費を賄うことは難しかったため、より確実な方法として事業の状況によって分配も期待できる風車への出資を募ることに。この日本初の試みでは建設費用として1口50万円の出資を募り、217名から計1億4150万円の出資を受け、現在順調に稼働しています。

北海道浜頓別町で稼働中の市民風車「『はまかぜ』ちゃん」は、2005年度分までの5期で、1口50万円の出資に対し予定通り順調に現金分配を実施。この市民風車建設の仕組みをさらに広げていく受け皿として、2003年に出資を募る専門の会社として、(株)自然エネルギー市民ファンドが設立された。 photo / 北海道グリーンファンド では、この出資の仕組みは?
まず、出資を募る(株)自然エネルギー市民ファンドにより出資したお金がとりまとめられ、風車の建設・運営に使われます。発電がスタートしたら、返済と利益の分配が始まります。ここで特徴的なのは、損も分配されるという約束があること。うまくいかない場合は元本が減ることもあります。これまで手がけてきた9基の風車はすべて順調に稼働しており、返済も進んでいますが、そんなリスクを承知の上で市民風車に出資する意義は? それは、自分のお金が環境問題の解決に役立つこと! 現在日本全国で稼働している市民風車によってこれまでに発電された電気は約6100万kWh。約4万トンの二酸化炭素を削減したことになります(2007年1月末時点。火力発電所の二酸化炭素排出係数を0.66kgCO2として)。

風車には、出資者の名前が刻まれる。写真の女の子はお母さんが出資したので名前を刻んでもらった、とのこと。風車は地元の子ども達の環境教育にも使われている。photo / 自然エネルギー市民ファンド この手法、なかなかの人気を集めていて、(株)自然エネルギー市民ファンドが先日まで募集していた、能登半島に10基の風車を擁する日本初のウインドファーム(風力発電所)を建設するプロジェクトの第一次募集は、予定していた約1ヶ月の募集期間の前半で予定に達するほどだったとか。
ほかにも、岡山県備前市で進められている太陽エネルギー利用・省エネ対策のための「備前みどりのエネルギーファンド」、東海3県の持続可能な地域づくりを行う事業に融資を行うNPOバンク「コミュニティ・ユース・バンク momo」、企業には融資せず住宅・結婚・教育資金など労働者の生活のための融資をおこなっているろうきんなど、社会や環境に優しいお金の運用方法は、いろいろあります。みなさんも、低金利の銀行口座で眠ったままのお金の一部を使って、お財布も地球も喜ぶ投資を始めてみては?
(※1)Danish Wind Industry Associationより http://www.windpower.org/composite-1458.htm
取材・文/阿久津美穂(Slow Media Works) |