どうせなら、世界の人々がハッピーになる投資をしたい! 先月レポートした自然エネルギーへの投資(第15回参照)に続き、今回紹介するのは、アメリカの出稼ぎ移民を取り巻く問題と開発途上国の貧困問題の両方を解決し、なおかつビジネスとしても将来性のある起業、マイクロファイナンス・インターナショナル(MFIC)。なんと、日本人がアメリカで起業して作った会社です。

マイクロファイナンス・インターナショナル(MFIC)は、2003年6月にワシントンDCで日本人の枋迫篤昌(とちさこあつまさ)氏によって設立された。銀行マンとして南米で12年働いた時に感じた問題意識を持ち続け、模索するなかで見つけたアメリカの移民問題と途上国の貧困問題を同時に解決する画期的なアイディアが、創業のきっかけとなった。 この事業の素晴らしい点は、大きく分けて3つ。1つ目は、南米からの出稼ぎ移民が、格安の送金料で、つまり今までより多くの金額を送金できるようになったこと。アメリカで稼いだお金を自国の家族に送金する場合、従来の送金サービスでは非常に高い手数料(90年代には送金額の20%!)をとられていたのだとか。そこで、MFICはアメリカ国内にアランテ・ファイナンシャルという移民対象の金融サービスセンターを設立し、業界で最低価格の手数料と即時引き出しが可能な送金の仕組みを提供。これにより、より多くの金額を迅速に送金できるようになり、送金先の家族は、地元の金融機関から気軽にお金を受け取られるようになりました。

1日の生活費が1ドル以下という貧困地域も多い南米。家族を助けるために多くの人々がアメリカ合衆国へ出稼ぎに出る。写真は、サービスを利用して送金している人の家族の様子。1ドルでも多くの送金が、彼らの生活の大きな助けとなる。 2つ目は、出稼ぎ移民の人たち自身も、多様な金融サービスを利用して、より豊かな生活を送れるようになったこと。MFICでは小額の融資などのサービスを受けることができます。期日どおりに返済をしたという信用履歴を作ることで、それまで作れなかったクレジットカードを作ったり、自動車ローン、住宅ローンを受けることが出来るようになりました。

大手建設会社の現場長で、渡米して21年のネフタリ・フローレスさんは、家を買おうとしたところ不動産屋から「信用履歴がないから」と断られた。困っていたときにアランテのローンで信用履歴を作れることを知り、1000ドル、1500ドルのローンを利用し、しっかり返済。そして、ワシントンDC市内に一軒家を購入することができた。 3つ目は、南米のマイクロファイナンス事業の活性化につながっていること。マイクロファイナンスとは、貧しい人々向けに小口の融資や貯蓄などの金融サービスを提供すること。この仕組みを利用し、小規模のビジネスを始め、貧困から抜け出すことができた人がたくさんいます。南米でマイクロファイナンスを行っているのはNPOであったり、預金を預かることができない脆弱な組織であることが多く、元手となる資金が少ないのが悩みでした。MFICがこれらの機関にも送金できるようにし、さらに資金の融資を行うようになった結果、より多くの人がマイクロファイナンスを利用できるようになり、それが貧困問題の解決につながっています。

マイクロファイナンスを活用し、商売を始めた人もたくさんいる。写真はMFICが提携しているエルサルバドルの「MiCredito」というマイクロファイナンス機関の顧客、アダ・パトリシア・バルデス・ロドリゲスさん。Micreditoからのローンをうまく使い、商売と家の建設にあてている。現在はサービスを利用して、首都サンサルバドルの郊外にあるサンマルコス市場で生ジュースを売り、娘、息子との3人家族の生計をたてている。 とても社会貢献度の高い、この事業。では、ビジネスとしての成果は? アランテ・ファイナンシャルは、2004年7月に1号店をワシントンに開設して以来、現在ではワシントン首都圏を中心に8店舗、顧客は5万人を突破しているそう。サービスも多様化し、全米でも最も成長が早い金融機関のひとつです。さらに、2006年12月には、アブダビに本社を構える、送金サービスの世界的大手UAE Exchange社と提携関係を結び、世界計85カ国の送金網を構築。今年中にアジア市場に進出、その後はヨーロッパ、アフリカへと展開する予定だとか。最近では、世界銀行グループが出資に向けて最終手続きを進めています。
ということは、投資先としての将来性も十分。そこで、私たちが投資できる企業としての情報を、最後にご紹介。今までは個人投資家や企業からの融資を受け付けていましたが、昨年末から一口1万USドル、年利8.25%〜の社債を売り出しています。無担保社債なので、銀行の預金保険のような保証がついておらず、会社がなくなるような時には出資した金額の回収が不可能となるリスクはゼロではないこと、また、ドル建てなので為替リスクもあります。でも、自分の預けたお金が貧困問題の解決に役立つという社会的リターンが大きいことが最大の魅力です。みなさんも、今後の投資先の候補として、検討してみては?
●問い合わせメールアドレス(日本語可) yfumuro@mfi-corp.com
取材&ライティング/阿久津美穂(Slow Media Works) |