カフェグローブ“社会貢献するビジネス”を確立させた女性パイオニア 大切なのは勉強よりも、経験とパッション - 環境とか未来とか大切にしたいね通信

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更新日:2007年4月25日

環境とか未来とか大切にしたいね、通信


第18回 “社会貢献するビジネス”を確立させた女性パイオニア
大切なのは勉強よりも、経験とパッション

■ひとりの女性が、世界のトップメーカーを動かした

 発展途上国の貧困問題を解決したい。その情熱がきっかけとなって設立されたのが、フェアトレード商品を扱う『フェアトレードカンパニー株式会社』。イギリス人女性のサフィア・ミニーさんが、26歳のときスタートした活動だ。

 一般的に、取引(トレード)では、仕入れ値(原価)は小さければ小さいほど高い利益を得ることができる。しかしフェアトレードは、生産者に適正な対価を支払い、永続的に取引を続けることで、貧困層の経済的自立などを支援することを目的としている。コーヒーなど食料品の取引が有名になってきたが、サフィアさんの会社は衣料品に力を入れているのが特徴。

 その衣料品は、あのシエナ・ミラーも顧客というほどファッショナブルなアイテムが多く、ロンドンの姉妹会社を通じて2004年には最先端ブランドを取り扱うイギリスの老舗百貨店『SELFRIDGES(セルフリッジ)』、2006年にも同じくイギリスの『TOPSHOP(トップショップ)』へ商品を納入する契約を交わした。

創業者のサフィア・ミニーさんは、日本で起業した後に“国際的なブランドになれば、注文は飛躍的に伸びるはず”と、母国イギリスを足がかりにヨーロッパへの営業活動を始めた。セルフリッジでの販売は、百貨店でフェアトレードファッションが販売される世界初の例になった。




■消費をあおる広告の仕事に、疑問を感じていた

 日本で起業する前はロンドンの出版社で広告関係の仕事をしていた、というサフィア・ミニーさん。現在に至る経緯を聞いた。

 「ひたすら消費をあおる広告の仕事にずっと疑問を感じていました。22歳の時に仕事を辞め、父の出身地でもあるモーリシャスや南アジアを周る3ヶ月のバックパック旅行へ。自身のアイデンティティを強く感じる機会でした。またクラフトを作る人々に出会い、その創造力に感銘を受けたんです。一方で経済力のない人が基本的な人権も奪われている現実も目の当たりにして。憤りを感じ“何かできないか”と真剣に考えるようになったんです」


■関心のある人はいるのに“場”がない

 契機となったのは、17年前、25歳のときにパートナーの仕事の都合で来日したときのこと。「ロンドンで暮らしていた時と同じようにオーガニック・フードや環境負荷の少ない製品を買おうとしましたが、当時は購入できるお店がほとんどありませんでした。また、国際協力や環境問題に対する企業の意識の低さに驚きました。関心がある人はいないわけではないのに、そういう人たちが活動できる“場”がなかったんです。そうした問題について情報を提供し、市民に活動への参加を呼びかけたいと『Global Village(グローバル・ヴィレッジ)』というNGOを設立したのです」。

なぜ国際協力に興味を持ったのですか?という質問に、サフィア・ミニーさんはこんな風に答えてくれた。「母が社会活動に熱心に取り組んでいたことが影響していると思います。その際、アフリカからイギリスにやってきた難民をサポートする活動を手伝ったことがあって。幼い頃から貧困問題は身近に感じていましたね」。また起業した当時は、日本社会も今よりもっと男性中心の傾向が強く、女性でさらに外国人だからという理由で、差別的な発言を受けたこともあるそう。「あまり気にしないタイプです。でも(その発言をした人を)思いっきり蹴り飛ばしそうになったこともありますよ(笑)」。



 最初に取り組んだことは、情報冊子の発行。いつどこでリサイクルが行われているのか、オーガニック食品メーカーや動物実験を行っていない化粧品ブランドなどを紹介した。その際、共感、賛同してくれる人が大勢いることを実感し、ニーズの大きさを確信したそう。1991年の設立から2年後の93年、本格的にフェアトレード製品を広める活動を始めた。


■8年間の赤字経営の末に……

 1995年には『グローバル・ヴィレッジ』のフェアトレード事業を法人化した『フェアトレードカンパニー』を設立。こう書くと、とても順調にステップアップしたように聞こえるが、起業後8年間は赤字続きだったそう。そんな状況をどう脱したのか。

 「PRやマーケティングに力を入れました。環境や人権問題など、同じ関心をもつアクティビストやセレブ、団体の協力を得てキャンペーンやプロモーションを積極的に行いました。現在も当社で発行しているカタログに出ているモデルの方たちの中にはボランティアとして協力して下さっている方もいるんです」

2007年春夏新作より。オーガニックコットンのこちらのトップスはジャケットのインナーとしても使いやすい。




■勉強だけでなく、経験とパッションが大切

 2001年にはイギリスにも姉妹会社を設立。冒頭にも述べたように、国際的な有名企業と取り引きするまでにいたり、知名度・売り上げ、ともに躍進を続けている。

 「今でも経営は大変です(笑)。生産者の生活を守るために、販売する8ヶ月前に支払い金額の50%を前払いすることにしているので、運転資金は今も悩みのタネ。でも、現地を訪れて生産者の技術支援をしたり、直面している問題の解決策を一緒に構築し、商品開発をしていると、とてもやる気が出るんです。また“苦労をしても、人や環境を大切にしたい”というお客様やスタッフの気持ちが、昔も今も私のパワーの源です」

 商品開発や生産者支援、広報活動、営業……。スタッフの方によると、サフィアさんは今でも、会社業務全般に関わり、全てに全力投球するのだそう。この16年間の成長は、そんな彼女の情熱とバイタリティに拠るといって過言ではない。その情熱が、「何かしたい」という漠然とした私たちの思いと、遠い国の“ニュース”であった貧困問題を結びつけた。そのつながりによって生まれる、生産者、お客様、スタッフの笑顔にパワーを得、サフィアさんは活動を続ける。

 最後に、サフィアさんと同じように、社会的起業を目指す人へメッセージをいただいた。「あらゆる社会問題、社会の中の変えていくべきところ、その全てにニーズがあります。そのニーズに対して、持続可能なビジネスモデルを見つけ、資金を調達し、実行することが大事です。社会的企業が注目を集めていますが、現実にはフェアトレードでない従来のビジネスや商品と競争しなくてはならず、サポートや資金を集めることを含め、大変なこともたくさんあると思います。勉強だけではなく実際に経験を積んで、何よりも大切な“パッション”を持ち続け、目指す社会に一歩ずつ近づけるよう一緒に頑張りましょう!」

 来月5月12日は「世界フェアトレード・デー」ということで、世界各地で、フェアトレードをアピールするイベントやキャンペーンが開催される。日本では東京『丸の内ビル』で、生産者を招いてのシンポジウムや、ワークショップ、ファッションショーが行われるとのこと。また『グローバル・ヴィレッジ』でも、定期的にフェアトレードを勉強するワークショップを開催している。知ること、体感することも、サフィアさんの言う“経験”のひとつ。“パッション”を実現するヒントを見つけに、ぜひ足を運んでみてほしい。(編集・小松)

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4月27日より『ユナイテッドアローズ 原宿本店 ウィメンズ本館』でもデザイナーとのコラボレーション・ラインが発売!
『グローバル・ヴィレッジ』Webサイト
『世界フェアトレード・デー』について詳しく
『ピープル・ツリー』Webサイト
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