カフェグローブvol.107 ビッグイシュー 広報 池田真理子さん - キャリアインタビュー

CAREER キャリア&マネー 働く女子のキャリアアップやスキルアップ情報満載

powered by Yahoo! 
JAPAN
更新日:2007年12月26日
キャリアインタビュー BackNumber
池田真理子さん

vol.107
ビッグイシュー 販売者サポート
池田真理子さん

道端でうなだれるホームレス。子どもの頃は、「何で道で寝ているんだろう?」「なぜ働いていないんだろう?」など、不思議に思ったことがあったはず。だけど、大人になるにつれて、その状況に麻痺し、いつしか気にしなくなる人も多い。しかし、「このままでいいのか?」そんな素朴な疑問を胸に抱き続け、ついには仕事にした人がいる。見た目はアパレルメーカーにでもいそうな、オシャレでかわいらしい女性。そんな彼女の人生を変えたのは、あるテレビ番組のニュースだった。

日本でビッグイシューがスタート
「ホームレスに仕事を提供するなんて新しい!」

 昨日と同じような今日。それは、2003年の9月のことだった。何気なくテレビを眺めていた池田さんは、映し出された映像に釘付けになる。それは、イギリスで始まったホームレス支援団体「ビッグイシュー」が、日本でもスタートしたというニュースだった。「ホームレスに仕事を提供するなんて、新しい!」。一体どんな団体なのか興味を持った池田さんは、番組を見終わるやいなや、ネットで検索。創立者であるジョン・バード氏の「チャリティではなく、セルフヘルプ。その人のやる気を引き出し、仕事を提供することが次の希望を生み出す」という言葉に感銘を受け、ビッグイシューで働くことを決意。翌日朝いちばんに、ビッグイシューへ電話をかけていた。

 長野で生まれ育った池田さんには、不思議に思っていることがあった。冬になると、時々流れるニュース。「寒さにより、日雇い労働者(今で言うホームレス)が死亡」。寒さで人が死ぬなんて、本当に日本で起こっていることなのだろうか。そんな、モヤモヤした思いを抱えながら、高校卒業後に上京。そして、東京にきてまたあの疑問が甦ってくる。「なんで、こんなに路上で生活している人が多いんだろう……」。

 道端で、無気力に横たわるホームレスの人々。そして、その横を何も見なかったように笑顔で通り過ぎる人たち。ホームレスの問題に関心はあったが、炊き出しなどのボランティアに参加したことは一度もない。そこに、解決の糸口を見出せなかったからだ。そして月日は流れ、ついにビッグイシューにめぐり合う。

池田真理子さん
休みは不定期。「販売員は土日も街頭に立つので、朝、雑誌を渡すため私も出社します」。出勤時間は早く、休みも少ない。決してラクではない労働条件の中ひたむきに頑張る姿に、この仕事に対する彼女の本気さを感じた。


念願のビッグイシューで働くことに
しかし両親は大反対!

 見事、ビッグイシューに就職を果たした池田さんは、ホームレスをその場限りで救済するのではなく、自立を支援するという仕事内容にどんどんのめりこんでいった。しかし、彼女の仕事に両親は大反対。「特に父には、反対されました。当時、父の中でのホームレスは、“汚い”“危ない”“自業自得”という、マイナスイメージの塊。私も昔は、どこか怖くて暗いイメージがありました。でも、実際接してみると、全然怖くないし、働く意欲の高い人が多いことに驚いた」。

 池田さんが従事する、ビッグイシューの仕組みはこうだ。最初、販売者は『ビッグイシュー』10冊を無料で受け取り、その売り上げ3,000円を元手に、以後は140円で仕入れ、300円で販売。うち160円が彼らの収入となる。こうしてホームレスに仕事を提供することで、彼らの自立を支援しているのだ。

 現在、販売者に登録している人数は全国で669名。そのうち、この約4年間で、住むところを確保して販売員を卒業、つまり自立を果たした人は58名。販売者である彼らは、自分たちが接客業であるということを深く自覚しているという。ビッグイシューで取り決められたルールを守ることはもちろん、清潔さを心がけたり、手作りのプラカード片手に声を出して宣伝するなど、雑誌が売れるためにできる限りの工夫をしている。「雑誌は梱包される際、背表紙に汚れがついてしまうことがあるのですが、彼らはとても仕事に厳しい。“少しでも汚れているものを、お客様には提供できない!”と、交換するよう迫られることも多いんです(笑)」と、池田さんは少し誇らしげに微笑む。

ビッグイシューの東京オフィスの様子
ビッグイシューの東京オフィス。ここで雑誌を保管したり、パソコンなどの事務処理や、販売者希望のホームレスの面接を行なう。めでたく自立した元販売者が、ふらりと遊びにくることもあるとか。


ホームレスを勧誘すべく
公園の寝床を訪ね歩く

 そんな池田さんの毎日は、とても多忙だ。販売者となるホームレスを勧誘するため公園の寝床を訪ね歩いたり、炊き出しの現場でビラをまいたり。少しでも販売者を増やし、ホームレスの自立を支援できるよう、日々かけずり回っている。

 普段、ホームレスの人々と接する機会が少ない私たちの感覚からすると、「寝床を訪ねるなんて怖い!」というのが率直な感想ではないだろうか。「確かに、私も初めてホームレスの方と接したときは緊張しました。相手は、身分証明書を持っているわけでもないし、どういう人間なのかを知るには、自分の目を信じるしかありません。寝床におじゃました際、悪徳業者と間違われて怒鳴られたこともあります(笑)。でも、何度か足を運んで顔を合わせるうちに、彼らも徐々に心を開いてくれるんです。そして、彼らが販売者に登録したら、次はどこで販売するかを一緒に探します。彼らは交通費を出せないので、移動手段は徒歩が基本。雑誌が売れそうな場所を求めて、何駅もまわることはしょっちゅうです。だけど、そうして新米販売者に初めてお客さんが現れるときが、この仕事をしていていちばん嬉しい瞬間ですね」。

 そんな池田さんの頑張りもあって、ビッグイシューの知名度は今ではかなり高まった。しかし、世に知れ渡るほど、「ビッグイシューを売っている=自分はホームレス」と宣言しているのと同じ。それゆえ、販売者に登録することをためらう人も多いそう。傍から見ると、「自立できるチャンスなら、みんなもっと挑戦すればいいのに」なんて、偉そうに思ったりもする。しかし、もし自分がホームレスになったとき、果たしてひとりで街頭に立って雑誌を売る勇気があるだろうか? 行き交う人々に「ホームレスだ」という目で見られながら、なかなか買ってもらうこともできないまま1日中立ち続けることも。私なら、殻に閉じこもって自立を諦めてしまうかもしれない。しかし、道端に立つ彼らは見事やってのけている。それほど、彼らの働く意欲は高く、本気で自立を目指しているということだろう。

 2007年9月には、「ビッグイシュー基金」が誕生し、職業訓練の一環として、NECの協力でパソコン教室も設立された。そこに通うホームレスたちは、「パソコンが出来るようになったら、事務の仕事がしたい!」「パソコン関連の職に就きたい」など、次々と希望を膨らませているという。これこそ、設立者のジョン・バード氏が唱える「その人のやる気を引き出し、仕事を提供することが、次の希望を生み出す」が形となったものだ。

 しかし、まだまだ世間のホームレスに対する見方は厳しい。海外では、ある種のステイタスとして多くの有名人がビッグイシューの表紙を飾っているが、日本ではそれが根付かない。「貧困問題には企業も積極的ですが、ホームレス問題には反応が鈍い。結局“自己責任”で片付けられてしまうことが多いんです」。

 そんな状況を打破するためには、「ビッグイシューを買うことはカッコイイ!と思ってもらえるような雑誌にしていくことが大切」と池田さんは語る。「お客様の中には、販売者に差し入れを持ってきてくださる方も。こんな温かい励ましをバネにして、ひとりでも多くのホームレスの方に自立してほしいですね」。


● 池田真理子さん プロフィール
 

高校卒業後、ショーモデルを目指して上京。モデルの専門学校に1年通った後、ショーモデルとして5年間活躍。その後、友人が立ち上げたモデル事務所で営業職として勤務していたとき、ビッグイシューの存在を知り転職。2003年度より現職。



ある日のスケジュール

05:00 起床
06:00 出発
07:00   販売者用の雑誌の仕入れ業務
10:00 売り上げ管理、メールチェック
12:00 ランチ
13:00 取材対応や、販売者の勧誘、面接など
20:00 直帰
24:00   就寝


夢を叶えたい人へのアドバイス
 
簡単に諦めず、思い続けること。いつもアンテナを張っていれば、自然と情報は入ってきます。たとえ結果として叶わなくても、思いが強ければきっと近くまではいけるはず。

ビッグイシューのWebサイト
写真:ビックイシュー表紙

●関連記事
旬のうわさをキャッチ!トレンドバズ

text / Morimoto Hiromi
photos / cafeglobe
BackNumber

注目の情報

韓国のやきものをプレゼント

モダンなお店に、美しい古都、荘厳な世界遺産、そんな知られざる韓国をご紹介。今なら人気陶芸作家が手がけた韓国陶磁器をプレゼント。シンプルだけどぽってりとした厚みが魅力的!

●クイズに答えて応募を! ≫

フリーアナウンサー・阿部哲子さん 結婚を機に、生活拠点をタイへ移した決意の裏には→

検索人気キーワード

雑談 報告 不満 依頼 指示 

CAFEBLO 公式ブログ新着記事

MONICA BABY BLUEディレクター 若林恵のハイブリッド育児

MONICA BABY BLUEディレクター 若林恵のハイブリッド育児
続きまして♪
10時間前

ビューティサプリお試しレポ

ビューティサプリお試しレポ
心もウルウルッとね
12時間前

N35の日常(仮) パート3

N35の日常(仮) パート3
和(あにき)
24時間前

京女のつれづれ草

京女のつれづれ草
大学の講師に?!
28時間前

マサイマヤ族母になる

マサイマヤ族母になる
離乳食セット(ダミー)。
44時間前

MOVIE HUNTER

MOVIE HUNTER
お気に入りはどの子? 『American ...
51時間前

大人インテリアの一考

大人インテリアの一考
マセラティの照明発表!
61時間前

一服のもてなし 其の2

一服のもてなし 其の2
おしらせ
77時間前