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きっかけは雑貨屋でのアルバイト
一日一日頑張るうちにジュエリーデザイナーへ
「これはサーカスをイメージしました」と、瞳を輝かせながら、ネックレスを手にとるスレスタさん。彼女は、今注目されているジュエリーデザイナーのひとりだ。個性的な色使いや、物語性のあるデザインが特長で、雑誌や映画に衣装協力するほか、イギリスでも作品を発表するなど、活動の幅を広げている。グローバルに活躍するアーティストでありながら気取ったところはなく、“ピュア”という言葉がぴったりくるほど、彼女がまとう空気は柔らかい。「アクセサリー作りをもっとビジネスとして捉えなきゃいけないのかもしれないけど、ただ単純に、作るのが楽しくて」と、彼女は少し困ったような表情で微笑む。
スレスタさんのお店があるのは、恵比寿。アーティストたちの作品を展示・販売する『guild(ギルド)』の一角に、彼女の世界は広がっている。金属アレルギーの人でも安心してつけられるペーパーコードを使ったネックレスや、ラベンダーを閉じ込めたネックレスなど、独特な作品がズラリ。昔からアクセサリー作りがさぞ好きだったのだろうと思いきや、「決して好きで始めたわけではないんですよ」と意外な言葉が返ってきた。きっかけは、インテリアの勉強をした後に勤めた輸入材料の会社だったそう。
当時勤めていたお店は、アクセサリーを作るためのビーズを買い求めにくるお客さんで連日大賑わい。「これはどういう風に使えばいいですか?」「このビーズには、どんな色が合いますか?」。様々な質問に答えなくてはならない環境に置かれたため、仕方なく勉強を始めた。初めのうちは何をどう合わせればいいかも分からないし、材料を見ても全く感動がなかった。「そもそも輸入雑貨のお店に勤めたのも、当時住んでいた家の近くで仕事を探していたら、たまたま募集していたからなんです。言ってみれば、成り行きですよね(笑)」。必要に迫られアクセサリーの勉強をしてはみるものの、今いちピンと来ない。「私が本当にやりたいことは何なんだろう?」という、自問自答の日々が続いたそう。しかし、そんな悶々とした日々を変えたのが、店長への昇格。日ごろの頑張りが認められ、店長に抜擢されてからは、自然とやる気も高まっていった。「お客様に、自分なりのアドバイスが出来るようになったのもこの頃。アクセサリーへの知識も増すにつれ、だんだん作ることにのめりこんでいきました」。
転職、そして自身のブランド
「vicuna(ヴィッキューナ)」が誕生
そして、スレスタさんが次なるステージに選んだのが、女性もののマフラーやバッグ、アクセサリーの企画などを行なっていたアパレルの卸会社。そこで、ついにアクセサリーを「作る」ことを本職とし、自身のブランド「vicuna(ヴィッキューナ)」を立ち上げた。
しかし、仕事として作るアクセサリーには、やはり制約がある。「たとえば、材料費はいくらまで、使う色はこれ……など、自分では決められないことがたくさん。アクセサリー作りは楽しいけれど、自分の思ったものを100%形にできないという葛藤もありました」。そんな折、奇しくも会社がクローズすることに! 「人生1回きりなので、やりたいことをしよう、と独立を決意したんです」。そして、昨年5月、guildに参加。「vicuna」が本格的に始動した。
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| guildの一角にある、vicunaのギャラリースペース。黒×赤など、パキッとした色使いのものから、淡いパステルトーンのものまで、さまざまな作品が並ぶ。どれも、目にした瞬間、思わず顔がほころぶような、ユニークでキュートなものばかり。
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店を大きくすることが目標ではない
目指すは、“アクセサリーのテーラー”
スレスタさんの作品作りは、実に自由。予め、期限や予算を決めることはない。まず材料屋さんを覗き、気になったパーツを大量に買い込む。そして、そのアイテムを軸に、想像をふくらませていく。「家にある、あのパーツと合うのではないか?」「○○なパーツがあれば、△△のようになるのではないか?」。思いをめぐらせながら、ひとつひとつ丁寧に、そして愛情を込めて作っていく。平均製作期間は、2〜3ヶ月。アイディアが浮かばないときは、ムリにひねり出さず、自然とイメージが降りてくるまで待つ。価格は、作り終わってから、かかった費用を考えてつける。ビジネスという観点で見ると、なかなか成り立たない部分もあるかもしれない。しかし、彼女は「アクセサリーのテーラーのような存在になりたいんです」と語る。
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| 海外旅行に行ったり、高級品を気兼ねなく買えるような生活に憧れは?と聞くと、「確かにそれも素敵。でも私は好きなことを仕事にしたいタイプ」とキッパリ。
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「たとえば、ネックレスの長さを、その人その人に合わせて作ったり。つけてくれる人がいちばん輝くようにしたい。だから、ブランドを大きくすることは目標ではありません。あくまでも、買ってくださる方の顔が見える範囲で展開していきたいです。だって、この仕事をしていていちばん嬉しい瞬間は、私が作ったアクセサリーをしている人を見たとき。もう、ひざまづいてしまいたいほど嬉しい!!」。
最後に、「vicunaのテーマは何ですか?」と聞いてみると、しばらく考えたのち「うーん、“ファンタジー”かなぁ。でも、とにかく作るのが好きで、みんなが使ってくれたら嬉しいだけです」。たいていの大人はそれなりにカッコつけた答えを用意しそうだが、彼女はそれをしない。シンプルに自分のやりたいことをしているだけ。周りと比較するわけでもなく、自らの価値観でしっかりと自分の人生を歩んでいる。きっと、これからもずっと、少女のようにピュアな心で私たちをアッと驚かせる作品を作り続けていってくれることだろう。
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