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更新日:2008年3月28日
キャリアインタビュー BackNumber
小迎裕美子さん

vol.110
イラストレーター
小迎裕美子さん

思わずクスっと笑ってしまう独特のユーモアをイラストにしている小迎裕美子さんは、月20本以上の連載を抱える超売れっ子イラストレーター。サクセスストーリーには苦労話のひとつやふたつが付き物かと思いきや「特にない」との答え。とはいえ、振り返ったとき苦労はなくても、忙しい日々の中で学んだことは数知れず……。

まずはイラストを描くことを
仕事にするためデザイン会社に就職

 「昔から大の漫画好き。漫画家になりたい!という気持ちが、イラストレーターになった出発点です」と小迎さん。漫画家になりたいと思っていたものの、地元の名古屋ではアニメーターやアニメーションの仕事がないことを知る。グラフィックデザイン科を出て商業イラストレーターなれば仕事があると友だちにアドバイスされ、専門学校のグラフィックデザイン科へ進み、広告デザイン事務所に就職した。

 商業イラストレーターは、ポスターやパンフレットのイラストを描くのが主な仕事。「クライアントによって求めるものが違うので、いろいろなテイストが描けなければ仕事になりません。でも、自分の好きなテイストじゃないと描いていてもやっぱりおもしろくないんですよね」。入社6年目を過ぎた頃から、雑誌でイラストを描きたいという思いが抑えられなくなり、小迎さんはついに行動を起こす。


二足のわらじ生活を支えた原動力は、
“好きなテイストだけを描きたい!”という想い

 漫画と同じくらい雑誌も好きだった。当時の愛読誌は『MORE』。「ページを開いては、自分だったらどんなイラストを描くだろう?とよくシミュレーションしました。実際に絵を描いて、貼ってみるんです。で、自分の方がおもしろいっていつも思うんですよ(笑)。こういう勘違いって今思えば、すごく大事ですよね」。

 自称“勘違いの情熱”のまま、会社に内緒で東京の大手出版社2社にアポイントを取り作品を持ち込むと、1社からさっそく仕事のオファーが。集英社の『non-no』に掲載されると、それを見た別の出版社からも続々と仕事が舞い込む。フリーのイラストレーターとして順調なスタートを切ったけれど、小迎さんはすぐには会社を辞めず、二足のわらじ生活をスタートさせる。「本業にするからにはちゃんと食べていけることが大前提」という慎重派ゆえ、会社に内緒の副業が本業の給料を超えた約1年後に円満退社。

 二足のわらじ生活は、かなりきつかったのでは?「そうですね。会社の仕事を終えてから個人で受けた仕事をするわけですから、体力的にはきつかった。でも、会社を辞めて好きなテイストだけを描きたいという情熱があったからこそ頑張れました。本業にするためには資金も必要だし、仕事先を増やすことも大事。だから“来た球はすべて捕る!”、そんなポリシーで頑張るしかなかったんです」。

 独立してからは、仕事を断らなければならないほどオファーが殺到。拠点も名古屋から東京に移し、すべては順調だったある日、突発性難聴に襲われる。「急激に忙しくなり、睡眠不足が続いたことと、環境の変化が原因だったようで」。この出来事をきっかけに、仕事量と体調のコントロールのほか、“やりたい仕事、自分に合っている仕事”かどうかを見極めることができるようになったという。

 「自分の守備範囲でない仕事も無理して引き受けていたので、その歪みが体に出てしまったみたい。でも最近は、歳を重ねて図太くなったせいか、守備範囲でない仕事を自分の守備範囲のものに提案し直し、ゴリ押しするというワザを身につけました(笑)」。

写真:スレスタ・真帆さんの作品
デスクが2つ置かれた仕事部屋。ここで数々のおもしろイラストが生まれているのです。本棚には「尊敬している」という楳図かずおさんの漫画も。


好きなことでご飯が食べられて
お釣りがくる、それって実はスゴイこと

 この仕事をしていてよかったと感じる瞬間は「すごく我が強いんですけど、自分で描いたイラストを見て笑うとき(笑)」という小迎さん。仕事を楽しんでいるから、苦労を苦労と感じないのかもしれない。ユーモアたっぷりのイラストを描くために行っていることを聞いて、それは確信へと変わった。

 「どうしようもなく人のことが気になるんです。高校時代に本屋でアルバイトをしていたとき、キレイなお姉さんがエッチな雑誌をファッション誌の間に挟んで購入している姿を目の当たりにして、“人間ってわからないな〜”と。それ以来、無意識に細部まで人間観察しているみたいです、私。好きなのは、微妙な違和感。例えば、眉毛のお手入れもしないような人が、高級ランジェリーをつけているとか」。小迎さんのイラストのテーマは“おもしろく!”。「こういう微妙な違和感を見つけては、ひとり楽しんでいます」。

 もちろん、仕事を楽しんでいてもストレスは溜まる。そんなときは「隣の席で仕事をしている同業の夫に、心の中のグチを全部ぶちまけています。一時、ぶちまけすぎて、具合を悪くさせたほど(笑)」。

 やりたいことでゴハンが食べられてお釣りがくるっていうのは、やっぱりすごいこと、そう小迎さんは言う。「15歳の頃と、やっていることはあまり変わっていないからこそ、感じるのかもしれませんが。最近、知名度が足りないという理由で落とされたプレゼンがありました。初心を忘れずに、もっと頑張ります!」。


● 小迎裕美子さん プロフィール
 

広告デザイン会社を経てフリーのイラストレーターに。エディトリアルを中心に広告、マンガ、イラストルポ、パッケージの仕事など幅広いジャンルで活躍中。著書に自伝的コミックエッセイ『ノルタル煮込み。−ナゴヤ青春プレイバック雑記052』(双葉社)、共著に『脱力道場』(小学館)がある。
http://www4.ocn.ne.jp/~comu/



ある日のスケジュール

09:30 起床、朝食
10:00 メールチェック
10:30 仕事開始
12:00 昼食
13:00 仕事(締め切り日前は朝まで仕事することもしょっちゅう)
20:00 夕食
24:00 就寝


夢を叶えたい人へのアドバイス
 
思い込みも大事だし、思い立ったら即行動することも大事だし、諦めずに挑戦し続けることも大事!

text / Yamazaki Junko
photos / cafeglobe
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