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社会を変えたい
一部ではなく底辺から
高校2年生のとき、AO入試を受けようと決めた。志望動機や面接を通じ、出願者の個性をみて合否を決めるAO入試なら「成績の良くない私でも大学に行けるチャンスがあると思った」から。そのためには自分の特色をつくらねばならない。「何か表彰されるといいらしい」と聞いて、投稿しまくることにした。「公募ガイド」を買い、キャッチコピーやら提言やら論文やら。高校の先生に作文をみてもらうようになり、その時に自分から意欲をもって何かをしたり、社会に目を向ける楽しさを知る。そして、AO入試で慶應大学SFCに見事合格。その後も、「SFCに行きたい」という高校生にアドバイスしたりするようになった。
SFCは楽しかったし、たくさん刺激を受けた。だけどある日ふと気づく。「高級車に乗って通学し、パソコンを自在に操る。家庭に恵まれ、機会も与えられた友人たち。でも、世の中にはそうではない人たちのほうがずっと多いはず。これでいいんだろうか」。
そんなとき、いまカタリバの常務理事としてともに活動する竹野優花さんとある勉強会で出会い、意気投合。「こういうイベントに来る子はいいけど、最初の一歩を手にできない子が多いよね」。「わかる! 環境に恵まれてきた人たちだけじゃなくて、みんなが高まっていける仕組みはないかな?」。
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| 東京・中野区にある一軒家がカタリバの事務所。取材中もボランティアスタッフの大学生たちが打ち合わせを行っていたりとにぎやか。
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失敗を経てようやく実現した
初イベントは大盛況
手始めに地方の高校生を東京の大学生の家にホームステイさせるプロジェクトを始めようとするが、人が集まらず見事に失敗。この頃には大学は卒業し、リクルートでバイトをはじめる。ここで営業やマーケティングの基本などさまざまなことを教わる。高校生の進学に関する業務に携わっていたため、高校の先生の知り合いも増えてきた。「私は本当は社会を変えたいんです! 底上げをしたいんです!」と熱く語る今村さんを応援してくれるという人もでてきた。
そんな応援もあり、今村さんが初めて実現させたイベントが東京の女子高の文化祭。大学生を連れていき、高校生に自己診断ワークシートを書いてもらう。そしてそれを元に交流する。大盛況だった。友だち関係や恋愛、進学、将来……みんな、悩みは共通している。先輩の話を聞き、自分の思いも率直に話せば、おのずと一歩を踏み出す勇気もわいてくる。
大学生はみなボランティア。唯一の対価は「コミュニケーション」だ。大学生活では出会えない人たちと、こんなに真剣にかつ仲良くひとつのことに取り組むことができる。指導をすることで自分の勉強にもなる。
きっかけをつくり
背中を押してあげる
いま、プロジェクトはこんなふうに行われている。2ヶ月ほど準備した大学生たち50〜80人ほどが高校を訪れる。一対一で話したい人、大学生(キャストとよばれる)を囲んで話を聞きたい人……高校生は自由に会場をまわり、思う存分話を聞き、語る。最後に高校生たちに「明日からこれをやります」という今日から始められる目標、ミニアクションプランを描いてもらう。
感想を書いてもらうと、みなぎっしり思いのたけを書いてく
る。ある高校生はこんな風に感想を書いた。「いままで生きる意味なんてないと思ってきたけど、初めて大学生になりたいと思えた日でした」。
今村さんはいう。「私たちは機会やきっかけを作って、背中を押してあげる役割なんです。カタリバの活動が地域に定着して、いつかNPOカタリバが必要じゃなくなるといい」。
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