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更新日:2002年1月21日
キャリアインタビュー
   
  vol.34
【ドルフィンスイムプログラム コーディネーター】

三木真理子さん

あとから考えてみると、
心の底から自由を求めていた
ような気がする。

偶然見たテレビで目にした、
イルカの姿に涙が
止まらなくなった感動が
ライフワークとして実を結ぶまで。


イルカを見て感じた感動の源を
探すために、フロリダまで留学


 「10年くらい前、何気なくテレビにイルカが映っていて、それを見ていたら、突然涙が止まらなくなってしまったんです。それまで、特にイルカや海に関心があったわけではないので、どうして? って自分でもすごく不思議に思って。それがきっかけでイルカに興味を持って、いろいろ調べ始めました」

 一瞬の感動に動かされるまま、三木さんは会社勤めのかたわら2年かけてアメリカ留学の資金を貯める。イルカに関する情報を図書館で探していたとき、海外、特にアメリカでイルカの研究が盛んだということを知ったからだ。

 アメリカでは海洋生物学を学びたかったが、残念ながら三木さんの貯金では1年間の留学しか不可能。海洋生物学を学ぶには最低2年が必要だったのだ。そのため、大学では語学や海洋学などの単位を取りつつ、休暇のたびにリサーチセンターを訪問し、イルカの生態や行動などについて知識を深めた。

 「フロリダだったので、リサーチセンターはいくつもありました。キーウエストの近くにある『ドルフィンリサーチセンター』では、1週間泊りがけで勉強しました。当時は、アメリカでもドルフィンスイムという言葉は知られかけていたけど、まだ誰もが知っているというほどではありませんでした。そのセンターに来ていたのも、大学生がほとんどで、環境学や生物学、水族館学などを専攻しているアカデミック系ばかり」

 残念ながらスケジュールが合わず、実現しないまま帰国したのだが、バハマでは野生のイルカと泳ぐことができる、ということを三木さんはこのセンターで知った。

念願だった、野生イルカとの
初めての遭遇!


 帰国後はイルカに関する仕事につきたいと考えていた三木さんだが、当時は“イルカショーのお姉さん”になるくらいしか選択肢がなかったため断念し、もう一度会社勤めを続けることにした。

 「バハマでできるなら、日本だって海に囲まれているわけだし、どこかにイルカがいるんじゃないかと思って、ゴールデン・ウィークの休暇を利用して小田原から下田まで聞き歩きました。釣具屋さんや漁師さんから、しらみつぶしに聞きました」

 そんな努力が実って、御蔵島には野生のイルカが群れをなしているという情報をある漁師から教えてもらう。「イルカやクジラの生態について研究している、アイサーチ・ジャパンという団体が、リサーチのために御蔵島に行くということを友達から聞きました。御蔵島のイルカを見に行きたいと思っていた矢先の話だったので、ラッキー! と思ってすぐに参加したんです」

 当時は今から9年前、御蔵島にはまだ民宿の一軒もなかったという。驚いたことに、島の周りには野生のイルカが百頭以上も住みついていたそうだ。三木さんが海に入ると、好奇心の強いイルカがまわりを取り囲み、こちらを観察している。イルカと人間とが、お互いをおそるおそる知り始めた一瞬だった。


イルカと過ごしていると、
誰もが自然に返っていくんです


 '93年の御蔵島のイルカとの初遭遇から約1年後に、一般向けに御蔵島でのドルフィンスイムプログラムをスタートすることにした三木さんだが、事態は思わぬ方向に進展した。一般向けプログラムがスタートする直前に取材を受けた情報誌の記事が大反響を呼んでしまい、問い合わせの電話が、文字通り鳴りやまなくなってしまったのだ。その結果、プログラムの開催数を当初の予定より大幅に増やし、3ヶ月に10数コース開催することになった。

 「こんなことになるなんてまったく予想してなかったから、こっちの準備もまったく整ってませんでした。まさに、よくも生き延びた、というくらいハードな毎日。5時に起きて食事の支度をして、夜の1時に眠りにつくまで、ドルフィンスイムのコーディネートと民宿業を一手に引きうけて、睡眠時間数時間の3ヶ月を無我夢中で過ごしました。

 フロリダから戻ってからいったんは会社員として就職したけど、御蔵島のプログラムを始めてからは、夏は島にこもりっぱなしになるので、東京での仕事は契約社員に切り替えました。島はけっこう閉鎖的だったので、わたしたちの存在を認めてもらうまでの1〜2年間が大変でした。観光客なんて、受け入れたことのなかったような島だから。3年目からは、ようやくできた民宿と提携したので、宿泊関係の仕事はそちらにお願いできて、ちょっと楽になりましたが」

 5年前からは、バハマでのプログラムもスタート。一昨年の夏から夫とともにアメリカのペンシルバニアに移住した三木さんだが、毎年夏には日本に戻り、御蔵島でのプログラムも継続している。

 「プログラムに参加するのは20代後半から30代半ばのOLがとても多いんです。リピーターはすごく多いですね。ひとりで参加される方もかなりいらっしゃるんですが、イルカといっしょに過ごすうちにみんな素に戻っていって、『飾らない自分』を出せるみたい。みんな、とっても仲良くなるんですよ」


三木さんが主催する
『Delphines』のサイトは こちら



 ある一日のスケジュール
07:00 起床
07:30 朝食
08:30 海に出てイルカと泳ぐ

11:30 海から上がる

12:00 昼食

13:30 海に出てイルカと泳ぐ

16:30 海から上がる

18:00 夕ごはん
19:30 星を見に行ったり、宿でビデオを見たりイルカ談義をしたりと、プログラム参加者とともに過ごす
22:00 就寝


アメリカでの暮らし


今住んでいるペンシルバニアは、木がたくさん茂っていて小川の多い高原。雰囲気は、ちょっと軽井沢に似ているかな。夏になるとイルカとともに海を満喫しているけど、そのほかの季節は樹木に囲まれてうっそうとした東海岸の雰囲気を楽しんでいます。

アメリカでは、犬とハイキングに出かけるのがお気に入りの過ごしかた。ラブラドールとシェパードのミックスで8歳のオス。名前はJackです。

家がちょっと郊外なので、近所にもJackが思うぞんぶん走り回ることができる場所があるんです。さすがアメリカ、ですよね。

ドルフィンスイムの光景
click!

画像をクリックすると拡大写真が見られます
(c) Suzuki Motoyasu


プロフィール

'64年東京生まれ

清泉女子大学英文科卒
10年近く前にテレビでイルカの映像を見て、突然イルカに深い興味を持つ

2年間のOL生活ののちフロリダへ留学。海洋学や語学を学びながらフロリダ各地のイルカ研究施設を訪問する。「ドルフィンリサーチセンター」に泊まり込んでイルカについて学ぶプログラムに日本人として初めて参加

帰国後、'92年にイルカ好きの女性3人で「日本のイルカと交流したい」と「リンク・イン・ブルー」を設立。'96年に「デルフィネス」に改名

'99年秋よりアメリカ在住

現在は御蔵島やバハマなどで野性のイルカと交流するプログラムをコーディネートしている。また、今後はマナティーと泳ぐプログラムなども企画する予定

DATA

【ドルフィントレーナー】

特に資格はないが、専門学校等で専門教育を受けたり、現場研修等を経て、水族館や専門施設へ就職するという道がある。しかし、採用人数は少なく、狭き門といえる。

近年、アニマルセラピーの流れでドルフィンセラピーという分野もアメリカでは研究されており、自閉症やうつ病を改善することができるのではないか、と「癒し」の分野でも注目されているそう。




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text / Cafeglobe
photos / Suzuki Motoyasu , Cafeglobe
 

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