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キャリア&マネー 働く女子のキャリアアップやスキルアップ情報満載

更新日:2002年1月26日
キャリアインタビュー
   
  vol.39
【金銭教育コーディネーター・ファイナンシャルプランナー:(株)ワイズ代表取締役】

渋井真帆さん

働くとき、常についてまわるお金の問題。
なのにお金のことを知らずに
泣きをみる人が多すぎる。
愛・仕事・お金――、
女性が欲しいものを手に入れるためには
もっとマネー教育が必要。
そんな彼女が目指すのは
金融界の“ソムリエ”


専業主婦時代に知った
お金がないつらさ


 「私、道を歩いていても、あ、この人はお金持ちだ、と分かるんですよ。たとえジャージを着ていようが、金色の光みたいなものをピピッと感じますから」

 お金持ちが分かる?! 金色の光?! にわかには信じられないようなことをさらっと話す渋井真帆さん。どうやったらそんなことがわかるようになるのだろう。

 「大学卒業後、都市銀行に総合職として就職し、融資やローンを担当していました。赤坂支店だったので、場所柄、来店するのは資産家や大企業の社長さんなどいわゆる富裕層の方も多い。本当にさまざまな人が相談に来ました」

 中には悪い人もいて、融資をしていると、騙されてしまうこともあるらしい。そうならないために、上司から言われたのは、申し込み書類のデータと、その人の顔のしぐさ、雰囲気を見比べてインプットすること 。

 「毎日何十件もこんなことをやっていると、顔や雰囲気を見れば、その人の年収とか職業、資産のあるなしなど、分かるようになってくるんです。そうやってありとあらゆる人物サンプルを見てきたから、今でも“この人はお金持ちだ”って分かるんですよ」

 なるほど“金色の光を感じる”のは経験の賜物だったのだ。渋井さんは都市銀行、証券会社勤務を経て、現在、コンサルティング会社、(株)ワイズの代表取締役社長。企業や商工会議所などの経営セミナーや、お金にかかわるさまざまな講演、雑誌への執筆などを行う一方で、20〜40歳の女性を対象にした会員制の“Woman Financial Network”(以下WFN)を主宰。結婚、転職、留学など何かと転機が訪れることが多い年代の女性に金銭・投資教育などの教室を開催、お金や資産運用のイロハを教えている。

 経歴を聞くと順風満帆、金融界をまっしぐら、という感じだが……。

 「私の場合、キャリアアップという意味では決して王道ではないんです」

 都市銀行で働いていた23歳の頃、社内結婚。働き続けたかったが、社内結婚に対する当時の社内事情のため、退職せざるを得なかった。

 「それから1年間は専業主婦をやってました。その時にお金がないつらさを知りましたね。結婚のために貯金を使ってしまったので、自分のこづかいは月に5万円。それで十分という人もいるかもしれないけど、OL時代の生活と比べると、好きなものも買えないし、23歳でまだまだいろんなことをやりたい盛りだから、全然足りなくて」

 結婚した途端、自由になるお金のないつらさを味わい、とにかく働きたいと思った。でも、自分のやりたいことと欲しい収入に見合った仕事はなく、かといって、勉強したり資格をとろうと思ってもお金がない。その時ほどお金が欲しいと思ったことはないそうだ。

 「それまでは、あまりお金のことを言うのはよくない、と思っていたんです。でも、お金がないと自分の可能性やチャンスを広げることもできない。そうすると会社にも勤められないし、勤めなければこのままなんだ……と思うと、すごくつらかったですね」

 そんな理由もあって、もっとお金について勉強するようになった矢先に、以前の職場から、戻らないかという話が舞い込む。

 「私が担当していた大企業の社員ローンについてノウハウのある人が会社にあまりいなかったんです。それで埒があかなくなってしまい、前の担当者を呼び戻せないか、と会社が言ってきたそうで。1年のブランクでしたが、呼び戻してもらいました。すごく珍しいことですね」

 前例のない呼び戻しで、再び同じ都市銀行へ。気持ちを入れ替え、以前以上に真摯に取り組むようになった。

証券会社に入るため
デパートの香水売り場に


 仕事の現場に戻り、楽しい毎日だったが、だんだんこのままでいいのかな、と思うようになった。

 「戻っては来たけれど、結婚で辞めたように、いつかまた辞めざるを得ない時が来るのでは、と思って。今後は何があっても流されない自分になりたい、とすごく感じるようになったんです。今のままだと、また何かあったら辞めなきゃならない。もっと力をつけたいなと思った」

 ちょうど、金融機関の垣根が低くなってきていた頃だった。これからは、銀行がさまざまな金融商品を扱い、生活に欠かせない存在になると同時に、自分の責任で金融商品を買う時代が来ると渋井さんは予想した。

 「そんな時代に、間接金融である銀行だけの知識では片手落ちなので、証券会社でマーケットの現場に接したいと思いました。間接金融・直接金融両方に対応できるようになったら、総合的な金融のコンサルタントとして金融機関に勤められるな、とも思って」

 そうと決めたら、証券会社の営業に転職するため、さっそく面接に行った。

 「もうどこも散々でした。“銀行で、しかも融資担当だなんて、君はまったく嫌な思いをしていないはずだ。お客さんがみんな頭下げてくるところなんだから”って。同じ金融でも証券会社はそんなスタイルじゃ勤まらない、それこそ、ドブ板をさらうようなことができないとダメだ、とも言われました」

 悔しくて、“じゃあドブ板をさらうような経験をすれば入れてくれるんですか”と念を押した渋井さん。

 「腹が立ったから、誰にも文句を言われないようなことをしようと思ったんです。それで、三越で9ヶ月間、香水の販売をやりました」

 証券会社に入るためにデパートの香水販売を? どんなつながりがあるのだろう。

 「販売の経験がなかったので、実際のユーザーに直接ものを売るということを一度はやっておかなくてはと思ったんです。デパートって、来店するどんな人にでも頭を下げなきゃいけないし、相手が悪かろうが謝らなきゃいけない。そうやってお客さんと接して、販売とは何かということを経験できると思って。

 それに、金融商品と香水って似てるんですよ。生活する上で、別になくてもいい。あったら便利だなという程度のもの。効果が目に見えないし、そこそこ値段が高いのも同じ」

 三越を選んだのは、50mlで87,000円もする香水を扱っていたから。ここまでの商品になると、商品自体のよさはもちろん、付加価値でも売っていく。それが金融商品に似ている。

 「朝から夜までヒールで大理石の床の上にずっと立ちっぱなしで、すごく苦しかった。なのに、まわりの女性たちは平然とやっているんです。彼女たちのような販売の女性ってすごくプロフェッショナルで一生懸命。なのに社会的な地位はその能力ほどには認知されていない。自分がすごく甘かったこと、職業に対して優劣をつけていたことにも気付かされました」

 販売の仕事は楽しく、渋井さんが入ってから辞めるまでに売上げは2倍に。販売士の資格も取った。

 「香水を使ったことがない人に、その人に合った使い方、どういう風に使うと効果的なのかを教えてあげると、喜んでもらえる。おこがましいけれど、自分が教えることで、その人の世界を広げてあげられることが楽しくて。ああ、私は人に教えることが好きなんだな、と思いました」

 デパートでの自己修業(?)を終えて、やっぱり人に物を教えながら、販売もできる金融業界は自分に合っているんだ、と再確認。販売の経験を携え“ドブ板をさらうような経験を……”と言われた証券会社へ再び面接に行った。

 「今度は一発合格。『百貨店の販売は“ドブ板をさらうよう”ではないけれど、君にとっては相当キツかったはず、勉強になったでしょう。そこまでしたのなら、やりたいことをやっていいよ』と言われて。そこは中堅会社だったので、新規の飛び込み営業、窓口などいろいろやらせてもらえました」

 やりたいことができない悔しさをバネに、ここまでできる人はそうそういないだろう。


金融界のソムリエの
役割を果たしていきたい


 証券会社で営業をこなしていくうちに、だんだんお金に翻弄される人を多く見るようになってきた。そして、そういう人たちには共通点があることに気付く。

 「お金がすべてではないけど、生きるためにお金は必要だし仕事をするのもお金を儲けることにつながります。なのにお金について知らない人が多いんです。それで翻弄されちゃう。知っている人は笑い、知らない人が泣きを見るという金融界の原則も、現場を経験したことでわかりました」

 日本にはもっとマネー教育が必要だ、と自分の顧客にも話しているうち、共感してくれた人が“それなら自分で会社をつくれば”と3人くらいで出資してくれることになった。それが今の会社“ワイズ”。

 会社を興してから2年目の現在は、セミナーの講演や執筆、また、主宰するWFNの活動で大忙し。こちらは7〜9月の3ヶ月間で会員は100名を超えた。ある程度人数が集まったので、今後はサイトを作る予定だ。

 「私はパソコンも語学も特別なスキルもありません。FPの資格だって、金融機関に勤める人なら当然のように持っているものです。だけど、いろんなことを経験してきて、実はスーパーキャリアな能力やスキルなんて、自分がやりたいこと、欲しいものを手に入れるためには、なくても十分やっていけるんじゃないか、と思うようになったんです」

 じゃあ女性が仕事もお金も愛も、ついでにキレイも手に入れるために必要なものって?

 「それはお金に翻弄されずに自分の人生をコントロールするための“マネーインテリジェンス”と、肩肘はらずに女性らしくビジネスの世界で生きていくための“ビジネスコミュニケーション”。この2つがあれば、誰だってうまくいく、という結論にたどり着きました」

 専業主婦、デパートの販売員など、いろいろな経験をしてきた渋井さんだからこその説得力のある結論。渋井さんが同年代の女性に教えているマネーインテリジェンスも“実践的で本当に使えるもの”がモットー。

 「20〜40代の女性が働いたり、遊んだり、やりたいことを実現させるために使いやすい金融商品やサービスができるように働きかけていきたい。それが私の使命だと思ってます。

 金融商品でも香水でも、買う人は達成したい目的、目標がありますよね。それを聞いて、ぴったり合う商品を探してあげる、ワインのソムリエのような役割を果たしていきたいですね。

 そしてソムリエがワインの楽しみ方を広げたことでワインが日本人の生活に根付いたように、知識だけでなく金融の現場を体験したからこそ得ることができた、資産運用や年金、保険、不動産などの“お金との楽しいつき合い方”を広めて、日本人を“お金オンチ”から“お金上手”へ変身させるお手伝いをしたいです」


text / Gunji Maki
photos / Wada Kyo(Cafeglobe.com)
 


 ある一日のスケジュール
07:00 起床 洗濯
朝食を食べながら新聞2紙(日経、日経金融)をゆっくり読む
09:00 メールチェック
新聞の切り抜き、営業、企画のアポ入れ、原稿執筆などの仕事をこなす
12:00 昼食

13:00 外出

14:00 商工団体のセミナーの講師をつとめる(1時間半)

17:30 スポーツクラブに行き、マシンエクササイズを30分

18:30 スポーツクラブを出る

19:00 帰宅 メールチェック
19:30 夕食準備
20:00 テレビを見ながらひとりで夕食
21:00 資料整理、原稿執筆
22:30 夫が帰宅 夫の夕食準備
23:00 入浴
23:30 日中できなかった家事を夫に手伝ってもらいながら行う
24:00 読書、ニュースを見る
01:00 就寝


プロフィール

立教大学経済学部経済学科卒業後、都市銀行に就職。総合職として1年半働き、社内結婚のため退職。

1年の専業主婦業の後、都市銀行に戻り、その後百貨店の販売職へ。さらに証券会社、資産アドバイザー業務を経てコンサルティング会社ワイズの設立に参加。今年8月より代表取締役に。

借入れ、不動産、投資、保険分野など、お金にかかわる全般の現場の事情に詳しく、講演・セミナーや雑誌等への執筆を中心に活動中。その傍ら、会員制の「Woman Finacial Network」を主宰。20〜40代女性を対象にお金のイロハ教育、投資教育、ビジネス支援に取り組んでいる。



今、ハマっていること

スポーツクラブでの筋トレですね。初めてから7ヶ月目で、今は週に3回は行ってます。私は太りやすいんですが、1ヶ月半で7キロ減ったんですよ。
あと私、健康・癒しフェチなんです。フェチぶりが高じて、HONDAのサイトで毎月、健康・癒しに関するさまざまなお店の体験レポートの連載もやっています。その体験取材がまた楽しくて。よかったら、のぞいてみてください。

http://www.internavi.ne.jp/
insshes/200111/index.html



起業を志す人に向けて
アドバイス

今、起業したい人ってたくさんいますよね。そういう人に大切なのは、自分の強みを明確にしておくこと。知識や能力、経験のほか、話し方でもなんでもいいんです。

けっこうみんな、自分の欠点や弱いところは言えるのに、自分のいい点、魅力をいえないことが多い。でも、起業するならいい点をアピールできないとダメ。その結果、仕事が舞い込んできたりしますから。自分のよさを知って、同時に限界も知っておかないと仕事は取れません。

あとは自分好きでいることが一番。自分を信じてあげられる人は無敵です(笑)。自分のことが好きじゃないとがんばれませんよ。




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