カフェグローブ

CAREER キャリア&マネー 働く女子のキャリアアップやスキルアップ情報満載

更新日:2003年5月28日
キャリアインタビュー
   
  vol.68
【手相観(てそうみ)】

日笠雅水さん

「当たるだけでなく、とても元気になれる」と
年齢、性別問わずファンが多い日笠さん。
特にある程度の年齢になった「占いズレした
女たち」から全幅の信頼を寄せられている。
そんな人気手相観の彼女の前職は
何とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の
マネージャー。その転身の軌跡とは?


フシギ大好き少女は、
GSもロックも大好き!


  「少女時代から神様や仏様、また占いや精神世界など抹香臭いものが大好きだったの。遊園地より神社やお寺が好きな子でね(笑)。一人遊びのトランプにも凝って、カードの裏をじっと見て表の数字を透視しようとしたり、占ってみたり。これが目に見えない情報を読み取る訓練になっていたんだと思います」

  そんな少女が手相に興味を持ったのは中学生の頃。トランプの裏面を読み取るのとは違い、手相とは、その人の情報が何て素直に現れているんだろうか……、とおもしろくてたまらなかったそうだ。それから独学で勉強し、周囲の人の掌をヒマさえあればのぞき、高校生の頃には“なんちゃって手相観(てそうみ)”になっていた。

  また音楽が大好きで、ローリングストーンズとザ・タイガース、特にジュリー(沢田研二さん)に夢中な女の子でもあった。彼女が中学3年のとき、雑誌にジュリーの実物大の手形が掲載される。その手相を見て、当時のアイドル記事にありがちな作り物のアイドル像とは違い、彼の本質のようなものが感じられてとても幸せな気持ちになったという。

  「この頃から手相観には才能があるかな、と思っていた。でも、同時に占い師にはなるまいという拒絶もあったのね。なんかイヤだったの。もっとカッコいい仕事がやりたかった(笑)。自分には音楽の才能はないとわかっていたので、いつかは大好きな音楽の世界で、才能ある人を応援する仕事につきたいと漠然と考えていました」

  中・高校時代は深夜放送が大好きで、特にオールナイトニッポンにはまり、いろんなハガキを書いては送った。そのハガキが番組でよく採用されて、番組スタッフ内で、少し知られる存在になっていた。大学進学で上京するとき、番組スタッフに一報すると「せっかく東京にくるんだからアルバイトをしない?」と声がかかり、憧れの番組でハガキの整理や選曲の手伝いをするアシスタントを勤めることになる。

  音楽が大好きな日笠さんにとって、毎日新しい音楽に触れられるその職場は天国のようなものだった。ここでも「よく当たる手相観の子がいる」と評判になり、大物ミュージシャンや新人ア−ティストたちがニッポン放送にくるたび彼女のもとを訪れる。

  そして、相変わらずジュリーが好きだったものの、当時「はっぴいえんど」を結成していた細野晴臣氏のソロアルバムと出合い「音楽の才能は細野さんが一番!」と心酔。そしてなかなか大ヒットと結びつかなかった細野氏に対し、「こういうすばらしい音楽をもっと世の中に知らせたい!」という、根っからのプロモーター体質がむくむくと頭をもたげてきた。21歳のある日、日笠さんは細野氏の事務所に電話をかける。ニッポン放送でバイトしていることを告げ、「何か細野さんの音楽を広める役にたちたい」と告げたまさにその時、細野氏の事務所で「これからは女性のプロモーターを採用しよう」という会議がなされており、その場で採用決定。思い切ってかけた一本の電話が、希代のアーティストと運命を共にするきっかけとなったのである。

YMOメンバー結成時も手相をチェック!?

  プロモーターとして、さまざまな局を回る日々もつかのま、1年半で事務所がつぶれ、日笠さんは自然にマネージャーに昇格。しばらくして細野氏が「僕はイエロー・マジック・オーケストラというバンドをやるんだ。ホワイトでもブラックでもない、黄色人種の音楽を世界に知らしめたい!」と話し出した。すでに彼はYMOについての細かいコンセプトを持っていたのだが、メンバー選びに難航し、結成までに1年半を要してしまう。

  「細野さんの手相は才能と運に恵まれた、それはすばらしいものでね。でもYMOは彼だけが目立つのではなく、3人の運も才能も同レベルで、正三角形を描く必要があったからセレクトが難しかった。候補があがると私も手相を見せていただきましたが、高橋幸宏さんも坂本龍一さんも、強運で才能に恵まれたすばらしい手相でしたよ」

  それから始動したYMOは、音楽性に自信があった彼ら自身の想像をはるかに超える売れ行きをみせ、一時代を築くアーティストへと化けていく。

  「毎日刺激的で幸せで、最高に楽しかった。でもね、だんだん心の中で私は小判鮫だな……という気持ちが芽生えてきたの。才能のある人たちにくっついてるだけの存在なんだなぁって」

  同時にYMOという存在が大きくなりすぎて、ただの音楽好きの女の子に手に負える存在ではなくなりつつあった。27歳のとき、病に倒れたことをきっかけに、彼女はマネージャ−を辞める。それからフリーのインタビュアーや編集者として、YMOが散開(解散のこと)するまで、彼らの本や記事を作り続け、その後はチェッカーズのお抱えライターとして、昼も夜も行動を共にする生活を送っていた。

  「いろんな面で音楽ライターとしては調子よかった。でもね、やっぱり私は小判鮫……、という気持ちが消えなかったの。才能あるヒトのそばにいて、手伝って幸せだけど、ジレンマも抱えて、心の中が少しもやもやしてた」

カッコいいゴルバチョフに共感!
仕事をすっぱりやめて「雲隠れ」


  そんなとき、ソ連にゴルバチョフ氏が新しいタイプの指導者として台頭してきた。あの暗いソ連に、こんなカッコいい人が! と大喜びした日笠さんは、彼の提唱するペレストロイカ(建て替え・建て直し)に共感し、「私も私なりのペレストロイカを実践しよう!」と決意! そのためには、一度自分を無にしなくては、と、順調だった仕事をすっぱりやめた。それから3年、仕事をせず自分の悩みととことん向き合う生活を送る。「とらば〜ゆ」を買っても自分にできる仕事がないと再確認し、ある時は修験道の寺に通って修行をしたり、またある時は神社で巫女を体験したり、自分を模索。そのうち徐々に、悩みとは悩みと思うから不安になるのであって、つらくて悲しい現実を認識し、それを抱えてどう生きるか決めるのは自分次第だということを悟ったような気になり、それまでの「悩める」状態から開放される。

  「これからどうしよう」と考えていると、友人、知人から悩み相談の電話がひっきりなしにかかってきた。それまで手相観でお金をもらうなんて、思いもよらなかった日笠さんだが、皆から「お金をとってくれないと、気軽に頼めない」といわれたこと。そして脳のアルファ波を測る機械を細野氏と試したとき、細野氏は演奏時、日笠さんは手相を見ているときにアルファ波が出ているということを知り「これが天職かも」と感じたことがきっかけで、手相観を仕事にすると決めた。以来、口コミで鑑定希望者は尽きず、現在まで約15年、常に悩める人たちの予約でいっぱいなのだ。

  「需要があって、人に喜んでもらえる仕事についているのは、とてもうれしいこと。また手相観を仕事にしたことで、私自身、小判鮫から脱却できたんです。お金をもらって手相を観て、私なりの感想を自由にいわせてもらったとき、初めて自分の言葉で自分の思いを伝えられる幸せを感じた。いろいろやってきたけど、結局は子どもの頃の原点に帰ってきたんだと感慨深かったですね。私の手相観は占いじゃなくて、掌に現れた情報を読み取る運勢予報のようなもの。自分の運や才能をどう生かすかは自分次第です。運命は考え方一つでいくらでも変わる。このことを手相を通して、これからもみなさんに広めて、人生をお気楽に生きていくお手伝いができたら……と思っています」



ある1日のスケジュール

08:00 起床 TVを見ながらウダウダ、軽くストレッチと掃除
11:30 メールとWebサイトチェック。軽い食事
13:00 美容形成外科カウンセラー(27歳女性)鑑定。
「やっとみつけた仕事ではあるけど、カウンセラーという肩書きでの営業や、成績を上げるため高額の手術に誘導することが強いストレス」
13:40 公認会計士(32歳女性)鑑定。「結婚4年、子ども一人、夫の携帯で浮気を確信するも、携帯を見たことが言えず追及できない。浮気相手は共通の知り合い」
14:30 コンパニオン&結婚相談所のサクラ(29歳女性)鑑定。「昨年別れた彼とやり直したいが着信拒否されている。自宅前で待っていたら、ストーカーだと怒鳴られた」

16:00 無職(26歳女性)鑑定。「高1から登校拒否、アルバイトも続かずまだ一度も男の人と付き合ったこともない。母親も躁鬱気味で父親の定年も近い。脚本家になりたいが学校に行くお金がない」
16:40 広告代理店営業(35歳男性、妻が付き添い)鑑定。「以前からのパニック障害が悪化し電車にも乗れない。4ヶ月前から休職中。退職したいが家の将来が不安。妻は優しい」
18:00 ビデオ店アルバイト(22歳女性)鑑定。「あるバンドの追っかけ歴2年。ギタリストと一度だけ関係を持ったところ、追っかけ仲間から激しい嫉妬を受けライブに行きにくくなっている。彼に相談したいけど……」

18:40 外資系証券会社派遣(28歳女性)鑑定。「前の派遣先で知り合った彼と来月結婚式を上げるが、最近留学時代に付き合っていたイスラエル人の彼が何度も夢に出てくる。結婚相手のことはそれほど好きでないのかも」
19:30 母から電話
20:00 近所のスポーツジムでお風呂。サウナで読書、動物行動学の本を読み返す。サウナと水風呂を5往復
22:00 汗を出し切って1Fのバーに駆け込み、生ビールで生き返る
23:00 ニュースを見ながら原稿の文字校正、友達と電話
25:00 プレステ2『スターオーシャン3』に挑む。始めてもう3ヶ月だがいまだ攻略できず
26:30 就寝


プロフィール

子ども時代から独学で手相をマスター。中学生から周囲の人の手相を見ていたが、同時にローリングストーンズとザ・タイガースをこよなく愛する少女でもあった。大学進学で上京すると共に、ニッポン放送の番組アシスタントとして採用され、細野晴臣氏の音楽にはまった縁でマネージャーとなり、23歳から27歳までYMOのマネージャーとして活動。その後、フリーのライター、インタビュアーに。3年間の「雲隠れ期」を経て、35歳から手相観(てそうみ)を仕事にしている。

問い合わせ先:03-3440-6466

日笠さんの手相についての本はこちら
誰でもわかる手相リーディングBOOK―日笠雅水の手相観ルームdeluxe




オフの楽しみ方

もっとも元気がもらえるのはライブ、忌野清志郎さん、沢田研二さん、浜崎貴司さんのライブには必ず行きます。3月に行ったローリングストーンズのコンサートからは1年以上分のパワーをもらいました。そして猫も大切。一昨年23歳の愛猫を亡くしてからは淋しい日々を過ごしているので、時々友達の猫を抱き締めに行きます。

私にとってのオフという言葉はイコール温泉を意味します。鹿児島と山梨に行きつけの温泉がありますが、都内の天然温泉にも時々行きます。また、指圧、整体、鍼は欠かせません、ローテーションで通っています。


天職を見つけたい人へのアドバイス

私のところに相談にくる方にも、「何がやりたいかわからない」という方は多いですが、その人が子ども時代に好きだったことに手がかりがあると思う。

私も子ども時代から精神世界が大好きで、手相を独学で学んでましたし、英語が得意だった子が、翻訳家になっていたり、お小遣い帳をつけることが好きだった子が、会計士になっていたり、ある程度の年齢になると、意外とその人の原点に戻っていることが分かります。

だから、今何がやりたいかわからないという人は、自分が子ども時代に何をすることが好きだったか? ということについて遡って考えてみると、見えてくるものがあるんじゃないかと思います。

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text / Tanaka Akiko
photos / Cafeglobe
 

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