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更新日:2004年5月26日 RSS

キャリアインタビュー
   
  vol.79
【インターネットテレビ局・レポーター&ディレクター】

山村倫恵子さん

テレビは政治家の年金未納問題で大騒ぎ。
呆れはするものの、実際のところ
いちばん問題なのは何なのだろう?
インターネットテレビという新しい媒体で
『THE 永田町学園』という
政治番組を立ち上げた山村さんも
最初は衆議院と参議院の違いもわからない、
超ノンポリOLからのスタートだった。


若い女性に政治の面白さを伝えたい!
新媒体で船出した、“楽しい”政治番組


 政治家が講師、若い女性が生徒となり、政治に対する素朴な疑問をストレートにぶつけられる、講義型の政治専門番組『THE 永田町学園』。山村さんは政治家への出演交渉、生徒の募集、番組の編成、そして自らマイクを握り、司会進行も行うディレクター兼レポーターである。

  「いちばん大変なのは、やはり政治家への出演交渉。最初は実績も何もなかったから、手当たり次第、政治家の事務所に電話をかけまくりました」

  ガチャン、と切られてしまうこともたびたび。しかし、50歳以下、当選1〜2回の若手議員にこそ出演してもらい、政治をわかりやすく肉声で語って欲しい、という熱意を初めて認めてくれたのが、民主党衆議院議員のながつま昭氏だった。最初の出演実績ができると、次々に登場してくれる議員も現れ始めた。

  講義は前後半各30分の計1時間。前半は、いま政界で問題となっていることを噛み砕いて説明してもらい、質疑応答へ。後半は、「ストレス解消法は何ですか?」「オフタイムは何をしているの?」などプライベートな質問に答えるホームルームの時間となる。

  「政治家の方には、前半はバリッとスーツで、後半はオフタイムのカジュアルルックで登場していただきます。政治家といえば、時代劇に出てくる“悪代官”みたいなイメージを最初もっていましたが、直接会ってお話してみると、普通の方たちであることがわかってくる。山本一太議員にお目にかかったときも、あんなに有名な大物議員なのに、とても気さくな方で話がとても弾みました。本当は政治家の先生って身近な方なんですよね。ただ、職業が“政治家”という、世間からは注目されにくい専門職なだけ」

  それは、山村さん自身がこれまでのキャリアを通じて実感したことでもあり、今、若い女性に伝えたいと切望することでもある。

舞台がないなら創ってしまえ!
「待ち」から「攻め」に転じたら
世界は極彩色に


 大学卒業後、大手の人材派遣会社に入社。営業事務に飽き足らず、男性営業マンに無理やり同行し、ビジネスの現場を目の当たりにした。「契約書や企業概要のファイル作成などが主な仕事だったんですが、自分が作った書類が、実際の現場でどのように機能しているのかを確かめたかったんです」

  ルーティンな毎日に対する焦りもあったのだろう。行動範囲を広げ、仕事で輝いている人たちに会う機会を増やしたものの、それはかえって、「自分はいま輝いていない」という焦りを深める結果になった。

  そんなとき出合ったのが、TBSで深夜に放映されていたCBSの『60 Minutes』という報道番組。社会問題、政治問題を幅広く取り上げ、周辺取材を繰り返し、掘り起こした事実を並べ立てて、最後に視聴者に判断を委ねるという硬派な番組。米国の、とある黒人殴打事件を取り上げ、殴打された黒人、加害者の白人、彼らに関係する周囲の人たちから執拗にインタビューを取り、アメリカのダークな部分を浮き彫りにするという回を見たとき、その報道レポーターであるマイク・ウォレス氏に魅せられた。

  「アメリカでは、多分、新聞にも載らないような珍しくない事件。なのに、マイク・ウォレス氏は弱者である黒人側の立場に立ち、声なき声を拾い、その事件の裏の裏にある人の心の微妙さや社会のゆがみに、改めて光をあてている。私も彼のような仕事がしたい! と心から感動したんです」

  自分のやりたい仕事がはっきりとわかった山村さんは、まず、国会で開かれる各種委員会をノーカットで放映する『国会テレビ』へまったくの未経験で転職。慣れないカメラを担ぎ、撮った画像にテロップをつけ、編成を考えて放映するという全行程を、体当たりでこなした。その間も、最終的な夢である報道レポーターになるためのオーディションを受けまくったが、連戦連敗。

  「もう、待てない」

  最終選考まで残ることも珍しくなかったが、やっぱり最後は別の女性が選ばれてしまう。もう、選ばれるのを待っているだけではだめだ。舞台がないなら私が自分で創ってしまおう。そう決心して立ち上げたのが、『THE 永田町学園』だ。

  「私自身、最初は政治にはちっとも興味がなかった。ただ報道レポーターになるためには、政治と経済の知識は絶対必要だと思って勉強をしたんですが、『国会テレビ』時代に多くの政治家に直接会ったことで、興味が倍増したんです。一度でも会うと、ヘンな話、愛着が湧くというか(笑)。新聞やテレビでその議員が登場すると自然と発言をチェックしてしまう。それを繰り返すとだんだん政治の裏やからくり、現状がわかってくる。そうなるともう面白くて面白くて……。若い人にとって政治が身近に感じられないのは、政治家という人物が身近ではないから。それなら、出会う機会を私が創りたいと思ったんです」

  あるとき、番組に出演した女性がその議員のファンになり、応援メールを送った。それは、議員側にとっても、自分の仕事や熱意を理解してもらえたうれしい出来事。議員からその話を聞いた山村さんは、自分の狙いが確実に実を結んでいるのを実感した。数々の苦労がいっぺんに吹き飛んだ瞬間だったという。

政治問題から社会問題へ
次なるテーマは
多様化する「女性の生きかた」


  1年で7回放映が実現した『THE 永田町学園』。定例の講義形式の番組以外にも、議員に母校を訪問してもらい、恩師や後輩とのふれあいを放映するなど、番外編の番組も作成するなど、「政治」を身近に感じてもらう手法にも幅ができ始めた。さらに『THE 永田町学園』を運営する傍ら、新たにプロダクションにも所属し、報道レポーターとしての活動の場を増やす努力も怠っていない。

  さらには、「この実績を足がかりに、次は女性を取り巻く社会問題に踏み込んでみたい」と、政治というカテゴリーにとらわれない視界が開け始めた。

  「興味があるのは、私の身近にいる働く女性、中でも30代未婚の女性たち。とても魅力的な方々が多いのに、実は恋愛・結婚・仕事・社会との関わり方で、悩んでいらっしゃることも少なくありません。何が彼女たちを迷わせているのか、どうしたらそれが解決に向かうのか、いろんな方々にインタビューして、自分なりに深く掘り下げてみたいんです」

  自分自身も28歳というターニングポイントに差しかかりつつある今、より取材される側に近い立場で話が聞けるのではないかという期待も高まる。

  「ディレクターに専念すると現場に行けないことが多い。でも、レポーターだけだと多分飽き足りない。両方兼任したいという欲張りなんですが(笑)。一度しかない人生、たくさん笑ってたくさん泣いて、思いっきり感動する。そんな贅沢な人生を自分も送りたいし、世の中の女性たちにも送って欲しいから」

  今の政治が“正解”か? は、しばらく時が経ってからわかること。同時に、女性の生き方も全員共通の“正解”はなく、答えは各自が模索して見つけるしかない。多くの女性たちに向けて、自分なりの回答を見つけるためのヒントや材料を提供したい―。そう切望する山村さん自身も、その答えに向かって走り続けている。



ある1日のスケジュール
07:00 起床・朝食
08:00 メールチェック。事務処理など
10:00 本日出演予定の議員秘書と連絡を取り、予定を確認。突発的に予定が変わることもあるので、一日に数回は連絡を入れ続ける
11:00 スタッフミーティングのため、自転車で事務所へ出勤
13:00 現在連載中の出版社と、次回連載の打ち合わせ
15:00 新しく所属した事務所に顔を出す
17:00 機材搬入開始。会場は主に議員の所属政党本部会議室。会場セッティングの後、三々五々、集まってくる生徒を会場へ誘導
19:00 収録スタート。マイクを握って番組の司会進行
20:00 収録終了。議員と生徒を送り出し、ほっと一息
21:00 スタッフと本日の反省会と次回の打ち合わせ
23:00 帰宅。本日出演した議員、生徒の方々にお礼のメールを入れる

01:00 入浴後、就寝


プロフィール
大学卒業後、人材派遣会社に入社。営業事務として1年4ヶ月勤務。スカイパーフェクTVで放送していた『国会テレビ』(現在はインターネットテレビで放映)に転職し、ディレクターとして一から報道・テレビ・政治などを学ぶ。4年勤務した後、現在の「Hot Communication TV」を友人3人で立ち上げる。映像制作で収入を得ながら、2003年4月から、『THE 永田町学園』をインターネットテレビで放映開始。その傍ら、『Bicycle NAVI』という自転車雑誌で、「永田町自転車日記」というコラムを連載中。

●『THE 永田町学園』のサイトはこちらから

●山村さんのサイトはこちらから




政治はちょっと難しそう……と思っている人必見!
政治が面白くなるコツって?


表に現れにくい政治の真の情報を得るためには、やはり人と人とのつながりが重要。私の場合、政治記者や報道関係者、政治家の秘書など、“政界の今(!?)”に詳しい方と会う機会をできるだけ作っています。みなさんにおすすめな“政治を面白くするコツ”はこちら。

1.気になる政治家を
  ウォッチング

最初からストレートに政治がなんたるか、を頭で考えるのではなく、政治家一人一人をじっくり見てみて、気になる人をしばらくウォッチングしてみるといいかも。その人の言動を追いかけているうちに、点と線がつながり始めて、大まかな問題や政治家の立ち居地、力関係などがわかってきますよ。

2.政治家の素顔は
  テレビでチェック!

政治家の素顔を見られるいいきっかけになるのはやはりテレビ。お勧めは『たけしのTVタックル』(テレビ朝日系列・毎週月曜日21:00〜)、『名門! アサ秘ジャーナル』(TBS系列・毎週火曜日深夜0:50〜)などです。私も大好きでよく見ています。

3.リアルな情報は
  インターネットで入手!

やはりインターネットでリアルな情報を常に入手しておくのも必要。私のパソコンに入っている、政治がわかるおすすめブックマークの一部です。

■エンゼルあつみの永田町観察日記

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text / Kanai Yukiko
photos / Cafeglobe
 

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