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| 犬好きだけでは務まらない、 むしろ人と深く関わる仕事 盲導犬訓練士は、犬に関わる仕事。当然、犬好きな人がつく仕事だろうと思っていた。ところがお会いした平さんは、犬を飼った経験もないし、以前は犬が苦手だったそう。 「犬と接するとはいっても、実際の仕事は、対ユーザーさんに関わる内容がほとんど。だから犬好きでなければできないというわけでもないんですよ」 ここでのユーザーとは、盲導犬と歩く視覚に障害のある方のこと。盲導犬は、障害者の歩行をサポートする役目なので、盲導犬訓練士には、ユーザーとなる人の障害や生活状況を見極め、それに適した性質の盲導犬を組み合わるコーディネーター的なセンスが必要になる。 「大学を卒業する時、やりがいがありそうだからと選んだのが、たまたま福祉関係だったというだけ。だから入ってから毎日が勉強で、訓練士になった今でも学ばなきゃいけないことは多いです」
平さんが接するのは、パピーウォーカーの元での生活を終え、盲導犬に向いていると判断された候補犬たち。一人の訓練士は、常時4頭前後の犬を担当し、その犬の段階に合わせた訓練を行っている。 「普段は、担当する犬たちを車に乗せて外に出かけ、一人で仕事することが多いです。また盲導犬を希望している方に会って話を聞くこともあれば、事務作業や犬舎の仕事もあります。仕事の内容はその時期によってさまざまですね」
最も神経を使うのは、ユーザーと盲導犬が一緒に歩き方を学ぶ共同訓練。盲導犬を初めて持つ人の場合、訓練期間は4週間にも渡る。 「盲導犬を使う状況は、ユーザーさんひとりひとりで違うので、まずそれにあった性格の犬を組み合わせるのが難しい。訓練が始まれば、ユーザーさんへの接し方や指導の仕方などで壁にぶつかることも多いです」 前半の2週間は施設内で訓練し、後半はユーザーの生活環境での実地訓練。平さんが所属する(財)日本盲導犬協会は、地方もカバーしているので、ユーザーの住む町へ出張することも多いのだそう。 「ビジネスホテルからユーザーさんの家に毎日通って、犬の世話のしかたから、役所での法的な手続きまでお手伝いします。本当にいろんな知識や経験が必要で、訓練士の資格があるから一人前というものではないですね」
盲導犬訓練士には、犬に関する知識はもちろん、視覚障害やリハビリーテション、福祉制度などの専門的な知識が必要だが、国家資格ではない。今までは、国家公安委員会の指定を受けた全国9つの盲導犬訓練施設に職員や研修生として採用され、3〜5年の実務研修のあと、施設ごとに認定されるという形をとってきた。昨年ようやく、全国初の盲導犬訓練士学校が、(財)日本盲導犬協会で開校され、養成システムが整ったばかりだ。
各施設の運営は寄付金で賄われているため、採用はそう多くない。給与や勤務時間なども、決して良いとは言えないが、日々の仕事で得られる充実感が、平さんの働くモチベーションになっている。 「今、盲導犬を希望しているユーザーさんは、2〜3年待ってやっと手に入れられるという状態。訓練士はもちろん、盲導犬そのものも数が足りないので、世の中から求められている仕事という意味では、ものすごくやりがいがあります。仕事がうまくいかなかったりで、落ち込むこともありますが、このまま仕事をしながら経験を積んでいきたいです」 |
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text / Kikui Tomoko photos / Cafeglobe |

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