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更新日:2006年3月30日
キャリアインタビュー


認定NPO法人 特定非営利活動法人 ジェン
理事・事務局長

木山啓子さん

テレビで海外の紛争や災害の様子が映し出される。
目を背けたくなる現実に、自分にも何か出来ないだろうか、と心が動いた次の瞬間、あなたはどうしていますか?
国際支援に取り組んでいる木山さんに、この仕事に
就こうと思ったきっかけや仕事への想いを聞いてみました。

現在に至るまでの道のりは
まるで「空中ブランコ」

 「まず知ってください、それからどんな小さいことでもいいので行動してください」。国際支援に取り組むNPO、JEN
の事務局長、木山啓子さんは言う。JENは現在、世界10 数ヶ所で難民や被災民のための避難所運営や仮設住宅建設・生活必需品の配給などのプロジェクトを行っている。子どもたちのために学校を修復したり、自立のための職業訓練を行ったりといった、中長期的なプログラムも手がけてきている。木山さんはこれらのマネジメントの責任者だ。

 今は国際協力を生涯の仕事にしたいと考えている木山さんだが、「実を言うと、あまり将来のことを考えないタイプなんです。これまでも、空中ブランコのように、向こうからブランコが飛んできたからそれに飛び移ってきた、そんな感じ」。でも、そのキャリアで見えてくるのは人の縁を大切にし、チャンスを必ず生かしているということ。

 大学卒業後、電機メーカーに就職。入社1年目で貿易部に異動。すぐに活躍し始めたが、同期の男性が昇格昇級した3年目、木山さんの待遇は何も変わらなかった。「業務成績は私がトップなのにどうして?」このときの素朴な思いが、職場での性差別について理論的に学ぶための留学を決意させた。


最初はダメダメ人間。
現場に出て初めて仕事の醍醐味を知る

 「卒業が近くなっても将来のビジョンがなくて、ハウスメイトによく怒られてました(笑)」。米大学院で社会学の修士をとった後、一度帰国。そんな木山さんを心配した友人の勧めでJICA(国際協力事業団=現国際協力機構)の下請けをする国際協力コンサルタント会社に就職。ここで初めて国際支援と出会いその重要性を知るが、「当時は、国際支援全体のイメージが見えていなかったので、何がわからないのかも、わからなくて」。

 この状況に力を貸してくれたのも友人だった。木山さんは34歳のときに国際支援のNGOに移る。語学力が買われ、すぐにネパールへと赴任。「現場に出るのは初めてだったんですが、不思議と不安はありませんでした。人が住んでいるなら、私も住めるだろう、って(笑)」。人々の暮らしは極貧だったが、日本には残っていない自然や心の豊かさがあった。休耕田には蛍がたくさん飛び、見上げれば満天の星空。「どこからが星でどこからが蛍なのかわからないんですよ」。蛍が好きと木山さんが言うと、現地スタッフがベッドに吊った蚊帳の中に蛍を入れてくれた。

 その後JENの創立メンバーに加わり、内戦に苦しむ旧ユーゴスラビアに拠点を移す。紛争地という特別な緊張感に満ちた、めまぐるしい日々。でもそこには、自分がプロの仕事をすれば、たとえ爪でかいたほどでもこの人たちの生活が変わる、という喜びがあったと言う。

旧ユーゴスラビアの人たちが作った、ハンドメイド刺繍のテーブルクロス。


お金でも地位のためでもなく
彼らの痛みを感じるからこそ続けられる

 辞めたくなったことが一度だけある。紛争中のチェチェンで旧ユーゴスラビアに続き、避難民に話を聞いていたときにふと気付いた。この仕事をしていたら、世界中どこに行っても不幸な人たちにしか会わないんだと。「でも、人びとの悲しみに痛みを感じている間は続けていこう、だからこそ支援をしていていいのでは、とあるとき思えるようになって」。

  この時期木山さんは、周囲の勧めで受けた国連からポジションのオファーがあったが断っている。国連勤務は多くの人の憧れ。仕事の中身はもちろん、ステイタスも待遇も格別。それなのに? 「その時期JENは、コソボ危機に取り組んでいたとても大変な時期で、自分をここまで育ててくれたJENを出ていくことはできないなと思ったんです。お金と地位には、興味がないんです(笑)」。

 私たちには、何ができるのだろう? 木山さんは冒頭の“知ること、そして行動すること”の後に言う。「続けてください、忘れないでください、伝えてください」と。紛争地についてテレビで見たのが4月1日なら、毎月1日はその地について思いを新たに自分に何かできないか? と考え、行動する日と決める。「月1回だったらできるはず。それぞれの人がそれぞれの場所でベストを尽くせば、世界は変わると私は信じています」。

インド西部の地震被災者の方々お手製の革製うちわとミラー。JENでは、室内履きなども販売している。詳しくはこちら>>

木山啓子さん プロフィール
 
特定非営利活動法人ジェン(JEN)理事・事務局長。1994年よりJENに参加、2000年より現職。旧ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、パキスタン、スリランカ、新潟などで支援活動を行う。米国ニューヨーク州立大学バッファロー校社会学大学院修士課程修了。『日経WOMAN』誌ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006総合1位(大賞)受賞、2005年エイボン女性功績賞受賞。ジャパン・プラットフォームNGOユニット理事。

JENとは?
 
緊急支援から生活の復興、地域社会の再生まで一貫して支援に取り組む団体。会員や寄付、事務やイベント、翻訳などの活動を手伝ってくれるサポーターも募集中。読み終わった本や聴かなくなったCDを送れば(送料無料)、それがJENへの寄付になる「BOOK MAGIC」など、参加しやすいプログラムも用意されています。
JENをもっと詳しく知りたい人は


ある日のスケジュール
 
07:30 起床。シャワー後、メイクをして朝食。
08:15 事務所(自宅から徒歩3分!)に出勤
メールをチェックし、その日の準備。最近は講演なども多い。
10:30

スタッフと1時間ほどミーティング。その後、執筆作業などを行う。

12:30 ランチ。大久保という場所柄、周囲にはエスニックのおいしい店が多い。
14:00 新しいスタッフの面接。インターンの志望者なども増えてきた。
17:00 外出
18:00 企業の国際協力関係者の勉強会で講演。
20:00 講演先の人たちと夕食。
22:30 事務所に戻る。残務処理や明日の準備。
19:30 大手企業役員との食事会。
24:00 帰宅。映画鑑賞など趣味の時間。家では一切仕事をしないと決めている。
25:30 就寝
 


NGO・NPOで働きたい人への
アドバイス
 
「最低限、語学力とパソコンの基礎的な知識は必要。そのうえで、趣味の日本舞踊でも何でもいいから、私はこれができます、ということを身に付けて。受け身にならず、つたなくてもいいから自分の考えを持つことも必要。JENでは『どうしたらいいですか』は禁句なんです。必ず自分の頭で問題解決を考え、提案するのがルール。組織に何かやってもらえるという考えは捨てた方がいいですね」



text / Angel Atsumi
photos / Cafeglobe

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