カフェグローブL.C.L. ライフコーチ/根本雅子さん - キャリアインタビュー

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更新日:2006年5月31日


L.C.L. ライフコーチ
根本雅子さん

書店に行けば、自己啓発コーナーのなかに必ず見つかるコーチング本。管理職のためのマネジメントスキルというイメージが強いなか、ロンドンでメジャーになってきた「自分次第で生きるためのツール」=ライフ・コーチという考えを日本でも普及させたいと活動する根本雅子さん。その発想の素になった経験とこれからの展望を伺いました。

活かし切れていない“自分”に気付くと
仕事もプライベートも望む方向に動き出す

 根本さんが関わるL.C.Lでは、「恋愛」をテーマにしたコーチングのワークショップを開催している。「この人と思える出会いがない」「今の彼との関係が停滞気味」という悩みは、日本でもロンドンでも、キャリア女性に共通するプライベートライフの問題。

 「自分の生き方を誰かと分かち合いたいという欲求は、誰もが持っているものだし、大切な人生のテーマ。コーチングは、その人のゴールに至る道を手助けする技術ですから、ビジネスだけでなく、人生のあらゆる目標に活かすことができるんです」

 根本さんによると、コーチングとは、鏡を見るのによく似た作業だという。

 「メイクで自分を魅力的に見せるには、まず鏡をよく見ること。生き方にも同じことが言えるんです。ほとんどの人が自分のこと、特に人間的な長所や魅力に気付いてないことが多い。それが仕事上でもプライベートでも、人間関係が望む方向に発展していかない原因なんです。そうした誤った自己像に気付き、本来の能力や魅力を現実に活かすための過程を手助けするのが、コーチングという技術であり、コーチという仕事」

 日本でのコーチングは、ビジネスに特化したかたちでの紹介がほとんどだが、ロンドンでは、2000年頃から個人の生き方のコンサルタント=ライフ・コーチという認識が広まってきて、ビジネスに限定しない利用の仕方が増えているのだそう。

 「そのきっかけとなったのが、英国首相夫人、シェリー・ブレア。2000年頃のあるインタビューで、『私がこれまで歩んでこられたのはライフ・コーチを受けてきたおかげ』と発言したことから、“ライフ・コーチ”という言葉が注目されるようになったんです」

 今では、俳優や企業トップなど、自らのヴィジョンを人生に反映させたいと考える人はライフ・コーチにつくのが当たり前とか。根本さん自身、コーチとして仕事をする現在も、定期的にコーチングを受けているという。


転機になったのは離婚の経験
コーチングの力を自ら深く実感

 今はプライベートライフのコーチングを提唱している根本さんだが、コーチングに関わる最初のきっかけは、やはりビジネスシーンでのコーチングだったそう。

 「欧州や米国企業のトップがクライアントだったんですが、そのなかで個人のパーソ ナリティを引きだし、かつビジネスで有効活用させるパラダイム(物事の見方)シフ トを提供するビジネスコーチングを用いていたんです。夫の仕事を手伝いながら私は、 日系企業やロンドンで仕事する日本人の方にも、こうした方法を提供出来たらいいの にと、漠然と考えていたんです」

 でもその結婚は、離婚という苦い結末に。仕事でもプライベートでも、自立を迫られた根本さんは自らコーチングを受け、自分のヴィジョンを実現するという生き方を選んだ。

 「英国や米国の友人からは、訴訟すべきだとアドバイスされ、弁護士もたくさん紹介されました。でも、弁護士と面談するたびに疲れ切ってしまい、訴訟を起こすことが、果たして私が望むことなのかを真剣に悩みました。その時期、並行してコーチングを受けていたんです。結果として離婚訴訟をせず、結婚生活を今の自分につながる大切な財産として捉え直せたことは、本当に良かったと思っています」

 そうした経験が、個人の生き方にコーチングを活かすという発想を産み、その後もコーチングを学び、継続することで、自分の活動の場であるL..C.Lを立ち上げるに至った。2003年からは、念願だったロンドンで働く日本人向けのコーチングサービスをスタートさせ、日本でのワークショップも順調だ。

 「本格的なコーチングは、30〜60分のコーチとのセッション(対話)を月に3回、3カ月から半年継続するのが標準的。いきなりそれを始めるのは勇気がいることなので、まずはコーチングという手法を知ってもらう体験イベントから、徐々に知識を深めてもらえたらと思っているんです」


10年前は珍しかったクイックマッサージ
コーチングも将来はそんな身近な存在に。

 精神的な問題を取り扱うカウンセリングではない。また、悩み事の具体的な解決策や対処法をアドバイスする人生相談ともちょっと違う。コーチングの誤解されやすい部分でもあり、いままでにないユニークな特徴は、人が潜在的に持っている可能性にフォーカスする点にある。

 「能力も魅力も、発揮されるまでは「目に見えない」もの。どんな生き方をしたいかという夢も、実際には存在しないヴィジョンにすぎません。そのせいもあって、皆さん自分のことでありながら、はっきりと気付けない、意識できないんです。ですが、コーチがクライアントに質問し、それに答えるという時間を定期的に持つことで、ぼんやりとした夢を明確にすることができるし、それに至る道筋を自分で発見し、生き方をプランニングできるようになるんです」

 コーチが提供するのは、その人の可能性を明確にするための質問法やノートワーク。仕事での評価や、人間関係を一切離れて、コーチというサポート役と一緒に自分と向き合うことで、目に見えない可能性を、客観的に捉えることができるのだ。

 「『出逢い力を上げる』というワークショップに参加した女性から、ワークショップで気付いたことを自分の営業職に活かしたら、1週間で成績が部署内のトップになったというご連絡をいただいたばかり。仕事も恋愛も、その人の人間的な魅力が上がれば、状況が自然に変わっていくんです」

 日本では、個人的なコーチングに対するニーズはまだまだ少ない。根本さんは、自身が開催する「ワインの試飲会的な」体験セミナーやワークショップから、ライフ・コーチに関心を持つ人のすそ野を広げていきたいと考えている。

 「今では、駅前に欠かせないクイックマッサージも10年前はなかったもの。コーチングもそんなふうに、誰もが利用できる存在になればといいなと思っているんです」

 最後に、ロンドンと日本を行き来する根本さんの目に、日本の女性はどんなふうに見えますか? と聞くと、こんな答えが返ってきた。

 「皆さんとてもキレイ。だけど、その人らしさはどこにあるんだろうという印象を受けます。キレイなだけに、その人自身の印象を薄める方向に働いてしまっているのでは? 人生に対するヴィジョンや夢がはっきりすると、自分の表現方法も変わってきます。もっと自分次第に生きていいんだということに、気付いてほしいなと思いますね」


根本雅子さん プロフィール
 
日本女子大学卒業後、三菱商事株式会社に就職。97年に渡英。米系コンサルティング会社で、欧米のビジネスマンを対象にしたコンサルティングワークショップに関わり、コーチングを知る。その後、コーチング専門カレッジ『エリクソン・カレッジ』で、コーチングを学び、2003年にロンドンで在留邦人を対象にした日本語によるコーチングサービス、L.C.L.を設立。現在、ロンドンと日本を行き来しながら、コーチング体験セミナーや少人数制のワークショップを開催し、コーチングをパーソナルライフでも活用しようという提案を行っている。
http://www.you-atyourbest.com/


ある日のスケジュール
(in London)
 
06:30 起床
簡単なヨガエクササイズ、瞑想のあとシャワーを浴びる
07:30 ハーブティとフルーツの朝食
メールチェック
08:30

日本でのビジネスパートナーと電話での打ち合わせ

10:00 具だくさんのみそ汁で軽食
10:30 コーチングセッション(1名)
12:00 クライアント候補とcityにてランチミーティング city(金融街)に勤務の方なので
14:30 帰宅後、L.C.L.のコーチングパートナーとの打ち合わせ
15:45 外出、ヨガスタジオへ
18:00 帰宅、外出準備
18:30 外出、ロンドンセンターでの
日欧起業家フォーラムの定例会に出席
21:00 定例会終了後、近くのパブでネットワーキング
23:00 帰宅 メールチェック
24:00 瞑想
24:30 就寝
 


ライフコーチを目指す人への
アドバイス
 
コーチになるには、「人間が好きなことが大前提」と、根本さん。コーチに対する公的な認定制度はまだないため、民間の養成期間や海外のコーチ養成カレッジの通信教育などを受け、自分でスキルアップするのが一般的。その上で養成団体での認定を受けたり、国際的なコーチ団体の会員になり、独立することが多いようだ。「プロのコーチになるには学ぶだけでなく、自分がコーチングを受けた経験が欠かせません。またクライアントを持ち、実践を積むことも重要」。最初は友人と、無料のコーチングの時間を持つことからでもOK。コーチングの技術で人をサポートし、結果を出す経験を積むことで、クライアントの輪が広がっていくのだそう。



text / Kikui Tomoko
photos / Cafeglobe

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