社会を動かしている「企業のお金」
その基本を知るためのFP取得、のはずが
金融のお仕事をしている人は、とっても几帳面か、またはがめついか。大抵の人は、そんなイメージを抱いていると思うけど、大竹さんはそのどちらでもない。おっとりとした話し方、ふわっとした印象からは、投資なんて話には最も縁遠いタイプ?
という気がしてくる。
「学生時代は確かにそうだったかもしれません。インド史なんていうちょっと変わったものを専攻していたので、頭の中はとても現実離れしていたし。だからこそ、社会に出るときに『このままでいいのかな?』と不安になったんです。世の中を動かしているのは経済だし、それをまず知ろうと思って、そういったことを専門に扱う出版社に就職したんです」
そのとき、経済を知る=金融機関に就職、とは全く考えなかったそう。
「もともとモノを作るのが好きだったこともありますが、お金を動かす仕事というものがいまいちイメージとして掴めなかった。当時は仕事の成果は目に見える形になって初めて分かるものじゃないか、と思っていたんですね」
働きながらFP資格を取ったのも、「自分が担当する書籍の内容がチンプンカンプンで、少しでも分かるようになりたい」という理由から。
「経済のことを広く浅く学びつつ、資格も取れるなら一石二鳥だと。実際いい勉強になったのは確かですが、FPが取り扱うのは個人の家計、つまりパーソナル・ファイナンスなのに、自分が担当しているのは、企業の経営や会計といったコーポレート・ファイナンスの書籍。ジャンルが全く違い、仕事にはあまり活かせませんでした(笑)」
FP資格を目指したのは、ちょうど入社3年目。週末を専門学校の授業で潰すこと3ケ月。卒業と資格受検の時期は、ちょうど結婚とも重なった。式場までパソコンを持ち込んでレポートを作成し、結婚休暇の1週間も受験勉強に当てるなど、それなりの労力をかけて取得したFP
資格だが、実は勘違いの産物というオチに。
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| 大竹さんが7年間愛用しているのはエルメスのシステム手帳。「レフィルが箱入りなので、古くなった分を入れて保存できるのがいい」。予定は鉛筆で書き込み、やるべきことは別のメモにして手帳に挟む。「それを1日に何回も見直して、優先順位が変われば書き直しながら頭の中を整理する」他、マニアックなマイルールで、仕事と家庭の用事をこなしているのだそう。 |
やりがいがあり、かつマイペースに働ける
そんな仕事を求めてたどった「働き方遍歴」
「FPは資格を取ったからといって、即独立に結びつく資格ではないので、すぐに会社を辞めて独立しようとは考えませんでした。でも次第に、仕事のキツイ出版業界で正社員として一生働き続けるのは無理なのではないかと思い始めて。編集者という仕事にはとてもやりがいを感じていたので、派遣社員として働いてみようかなと会社を辞めて」
周囲からは「派遣で編集職なんてそうそう簡単に見つからない」と言われたが、登録してみれば意外と需要は大きかった。すぐに複数のオファーがあり、ほどなく派遣先も決定。今度は書籍ではなく、とある雑誌の編集を担当することに。
「毎日終電で帰るのが当たり前という状況でしたが、仕事そのものは面白かったんです。ただ、その間に妊娠し、流産してしまったことでふと立ち止まって考えてしまった。忙しさが直接の原因とは限らないんですが、深夜まで働く生活を、はたして何歳まで続けられるかなと」
そこで浮上してきたのが、FPの資格。これを活かし、フリーランスのマネーライターになれば、自分の時間もコントロールできる。幸いそれまでの人脈もあり、フリーになっても仕事に事欠くことはなかった。そして程なくして再び妊娠し
ていることが判明。
「子どもが産まれたら、今のように取材や打ち合わせで外を飛び回ることはできない。仕事はどうしても先細りになる」
そう考えた大竹さんは、家にいても自分なりの情報発信ができ、新しいつながりを作るためのツールとして、自分のサイトを制作することに。
「ちょうど夫がサイト制作の仕事をしていたので、彼に手伝ってもらいながら、出産予定日の直前に駆け込みセーフで立ち上げました。その時、身近にFP 資格を持っている人がひとりもいなかったんです。他の人はどうしてるんだろう、他にもFP同士で交流したいと思ってる人はいるのではないか……。そう考えてサイト上で『FP同士で情報交換しませんか』と呼びかけてみたら、あっという間に全国から反響があって」
それが現在の会社、(株)エフピーウーマンを作るきっかけになった。
「もともと、いずれは自分の会社を持ちたいと思っていたので、2005年の4月に、2人目の子どもが保育園に入園するのを機に、仲間4人で一緒に会社を立ち上げました」
モノ作りも金融の仕事も対象は「人」
金融や経済は決して特殊な世界じゃない
会社にすると決めた時、「事業を行ってお金を得るとは?」ということを、かなり真剣に考えたそう。
「単にお金を稼ぐことだけを目的とした会社にはしたくない。そう思った時に、いままで漠然としていた自分の仕事観や、お金に対する考えが明確になりました」
「自分の会社であるからには、自分が良いと思うこと、世の中の役に立つと思うことへの正当な対価として、報酬を得たいと思っています。だから我儘かもしれないけど、本意ではない仕事は絶対にしないと決めています」
そんなふうに仕事やお金には、人の喜びや感情が必ずついてまわる。相手を喜ばそうと思えば、モノづくりも金融の仕事も、質やサービスを磨かざるを得ない。その意味では、どちらも同じ「仕事」なのだ。
「お金も、それ自体が目的なのではなく、あくまで自分らしく生きるためのツールです。だからお金が苦手だと思う人にこそ、基本的なことを楽しく、分かりやすく伝えたい」
仕事での自分のミッションをそう考えていた頃に、ジョインベスト証券の立ち上げに関わることになった。
「証券会社の仕事をするなんて、新卒の頃は夢にも考えていなかったですけどね」
自分の会社、ジョインベスト証券、そして家庭での子育てと、マイぺースながら忙しい毎日を送る大竹さんがミッションと考えることは、もうひとつある。
「振り返ると、最初から明確なキャリアプランを持っていたわけでもないし、たいした学歴もなく、ずば抜けた才能がない私でもここまでできた。男性と対等に仕事しようと頑張らなくても、自分らしい仕事のスタイルを貫くことも可能なんですよ、ということを伝えていきたいんです。エフピーウーマンの私以外の3人のメンバーはみんな、会社を作るまでは専業主婦でした。そんな私たち自身を見て、多くの女性が自分のやりたいことを実現するきっかけを掴んでくれたら、それはお金に関する仕事以上の喜びがありますね」
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