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幼い頃からデザイナー一直線、 中高6年で描いたデザインは1000枚以上 「HIROCOLEDGE」の浴衣を着て髪の毛を頭のてっぺんでくるくる巻いて結い上げた高橋さんはとってもキュート。これまでの人生はデザイナー一直線だ。 将来の道を決めたのは小学校1年生のとき。テレビでファッションショーを見て、人をこんなにきれいにできる仕事っていいなあ、と思ったから。手先が器用な家系で、小さい頃、母はかぎ針編みで水着を、祖母は洋裁でバービー人形の洋服や、はぎれを上手にくみあわせて縫った、裏地がデニムの白いレースのキャミソールやスカートをつくってくれた。 高橋さんの最初の作品も小学校4年生のとき、祖母に教わって編んだセーターだ。 思いこんだらひと筋の高橋さん。小学校の卒業アルバムには「英語を勉強してフランスに行く」と書いた。「洋服ならパリコレだと思っていたので。外国語といえば英語だと勘違いしてたんでしょうね(笑)」。 その後はもう、ひたすらデザイナーめざして直球人生。まず中学校に入ると、「将来のことを考えて」美術部に入部。休み時間はルーズリーフにひたすらデザイン画を描いた。デザイン画をはさんだファイルはいつでも、どこに行くのでも持ち歩き、電車のなかでも思いついたら即描いた。たまったデザイン画は中高の6年間で1000枚以上になった。 高校では服飾デザイン科に進学。「今あるのは高校でじっくり学んだから」という高橋さん、デザインや洋服の構成、型紙づくり、現場研修に至るまで3年間で洋服作りの基礎をたたきこんだ。高校を卒業したら服飾関係の専門学校に、と漠然と考えていた高橋さんだったが、高校1年生のとき、縫製の先生に大学進学をすすめられる。「布から勉強したら、より自分の好きなものをつくれる」と。 東京芸大に現役合格、卒業制作で着物に出会う どうせ行くならトップを、と東京芸大をめざすことを決める。何をするにも完璧主義の高橋さん、部活の柔道でもしっかり黒帯をとって3年生まで続けながら、学校の先生に補講をしてもらい、予備校にも通って勉強を続けた。そして見事現役合格。工芸科36人の合格者のうち、現役は3人のみという狭き門だった。 美術や工芸の歴史を学んだり、友禅染や型染の技法を身に付けたり、とこれまた「すっごくたのしい日々」。布を染めるのが楽しいのは、それをつかって何をつくるかを考えられること。無限に色がつかえ、柄も考え、一から自分の考えたとおりの服をつくることができる。 着物に目が向いたのは卒業制作のときだ。自分でプリントした生地で洋服をつくっていた高橋さん、柄をより生かすにはダーツや切り替えの少ない服がいい、と思うようになる。洋服だとどうしても曲線が主体のデザインになるからだ。より平面を多くするには、突き詰めていけば一枚のだだっ広い布に柄をほどこせる着物がベスト。ここから和服のデザインを始める。 といっても、特に「和」を意識していたわけではない。明治時代までは「着るもの」が着物、すなわち和服だったわけで、だから「HIROCOLEDGE」のコンセプトも着るもの着物、だ。 大柄なドット、直線……既成概念打ち破る和服のデザイン 大学院卒業後、いったんは大手ブランドに就職。多額のお金が動くアパレル企業の流通の現場を見たかったからだ。だがそこで目にしたものは大量生産大量消費。クリエイティブとはほど遠い世界に高橋さんの目には映った。結局7ヶ月で退社。大学院に戻る。 「会社に勤めているころ、海外の人に着物について質問されたとき、着物の歴史や染織の時代変遷についてきちんと説明できなかった。自分の国の伝統文化に触れていながら、答えられないなんて恥ずかしい。もっと勉強したい、と思ったんです」 高橋さんの着物は既成概念をうち破る斬新なデザインだ。丸や直線の一見単純な柄を大胆にあしらい、色も着物だと冠婚葬祭のイメージが強い黒が主体のものが多いが、決してフォーマルではない。「洋服だとパンクやロリータやスポーティなどいろいろあるし、黒だってカジュアルにできる。着物でも黒をもっとカジュアルにしたいし、いろんな可能性を追求したい」。
ゆとりを感じる道具としての着物を 昨年は仏外務省に日本人アーティストとして招かれパリに7ヶ月滞在、個展を2回開いた。ここで「和」を初めて自覚する。自分が日本人であり、伝統技術に携わっているんだと改めて認識したという。「フランスでは、歴史あるエルメスのようなブランドが大切にされているし、伝統的な建築物や美術品も本当に大事にされています。他国の伝統文化である着物に対しても、同じように何かを感じてもらえたようです」。 さて立ち上がったばかりの「HIROCOLEDGE」。今後は浴衣だけではなく普段使いの着物や訪問着、振り袖や帯も手がけ、また子供の頃から作り続けている洋服も商品展開する予定で、「着るもの」として、和服も洋服も分け隔てなく作っていくそう。 「HIROCOLEDGE」 の世界観がますます広がっていきそうだ。 高橋さんは着物を身にまとうことでゆとりを実感してほしいという。「着物を着る行為はひもを1本1本ていねいに結んで、時間をかけて着ていく作業。ただ羽織ればいいのではなくて、きちんと着付けをしないと崩れてしまう。ゆとりを感じるための道具として着物をつくっています」。 学校で服飾技術や歴史、染色技術を学び、そして今はデザインを考え、京都に出かけて染色や織物の職人さんや老舗の呉服屋さんの意見も聞き、着物をつくる日々。デザイナーであると同時に作家であり職人でありたい……それが高橋さんの自負であり願いだ。 |
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text / Angel Atsumi photos / Cafeglobe |

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