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更新日:2005年1月12日 RSS

地球温暖化


先月の「Letter from the Editor」で温暖化問題について書いたところ、思いがけなくたくさんの反響をいただきました。この問題を深刻な危機として捉えている人は案外多いのかもしれないと、心を強くしています。
この短期連載では、温暖化問題について何がどのくらい深刻なのか知りたい方、また、温暖化問題をどうやって伝えたら解ってもらいやすいか悩んでいる方を想定して説明を試みてみます。

文=青木陽子(Cafeglobe編集長)


地球温暖化

   断崖絶壁がけっぷちに向かって突っ走るクルマ。このままスピードを落とさずに進めば谷底にまっ逆さま。ブレーキを精一杯踏めば、ギリギリ手前で止まれるかも……。クルマに乗っているのは地球上の人類全員。崖が近づいていると叫ぶ声はまだまだ少数派で、車内でごちそうに夢中になっている人たちの楽しげな声にかき消されがちです。アクセルをさらに踏もうとしているアメリカのような国もあります。それが、今私たちが直面している地球温暖化の状況です。

  何が問題なのか、どれだけ深刻なのか、どうしたら危機的な事態を避けられるのか。それを理解するためにはやっぱり今何が起きているのかや、温暖化のしくみ・原因について理解しておくのが近道。ちょっと教科書的になりますが、今回はそのしくみと影響を説明します。

海面が1m上昇すれば、
日本では410万人が被害を受ける

  「地球温暖化」とは、その名の通り、地球全体の気温が上がることです。予測では、私たちの取り組み方次第で、2100年までに2〜5℃程度上がるとされています。「2100年か、もう生きてないからいいや」と思わないでください。気温は次第に上がるので、最悪のペースで進んだ場合、2050年時点ですでに3℃を超えるのです(図1)。気温が上がると、私たち人間の暮らしも大きな被害を受けます(※1)。被害の中でもとくに怖いものとしては、
●海水面の上昇
●食糧不足
●水不足
●気象災害の多発(洪水や旱魃など)

が挙げられます。

   海面の上昇は、南極やグリーンランド、氷河などの氷が融けて海に流れ込むことで起きます。気温が上がるほど多くの氷が融け、国連機関の予測では、2100年までに最悪の場合88cm上がるとされています(IPCC 2001年)。これまた「なんだ1m弱か」と安心してはいられません。潮の満ち引きなどの影響で、ときには平均の数倍の高さまで海水が来る可能性があるのです。多くの港や海岸沿いの道路は、今のままでは頻繁に波をかぶるようになり、使えなくなるのです。

   海面が1m上昇すると、日本全体では東京都より広い2339キロ平方メートルの土地と410万人が被害を受けるという予測がされています(環境再生保全機構)。波の浸食が強くなり、日本から浜辺が消える可能性もあります。でも日本はまだましなほう。モルディブなどの島は水没して消え、たとえば低い土地が多いバングラデシュでは家を失ったり塩害で稲作ができなくなった人たちなど、数千万単位の難民が出るといわれています。

好きなだけ買い物をして、食べ残しを捨てられる
ような生活ができるのももうあと何年か?

   食糧不足も非常に心配な問題です。多くの作物は、気温が数度も上がれば収量が激減します。最近の研究では、夜間の気温が1℃上がると米の収量が1割下がるという報告がされています(※2)。穀物の値段が上がれば、ほぼ穀物で育てられていると言える牛や鶏などの肉類、乳製品、卵などの値段も上がります。とくに日本は米以外の穀類はアメリカなどからの輸入に頼っているので気になるところ。スーパーでたっぷりお買い物をして、食べ残しては捨てるような生活ができるのも、もうあと何年か……なのかもしれないのです(※3)

   水不足(飲み水や農業用水など淡水の不足)も心配です。温暖化によって乾燥地帯はより乾燥が進み、砂漠化が進みます。地球の平均気温が上がると、大気中に含まれる水蒸気の量が増えて地上に湖や川として存在する水が減るといわれています。すでに農業用水や工業用水として使われすぎ、中国の黄河やアメリカ/メキシコのコロラド河が干上がって海まで届いていないなど、石油だけでなく水資源を争う戦争さえ起きるといわれている21世紀にさらに負担をかけることになるのです。

   気象災害の多発については、2003年夏にヨーロッパを襲った熱波、2004年のアメリカのハリケーン、日本に上陸した台風を考えれば、説明は必要ないでしょう。温暖化によって天候の変化の幅がより大きくなり、このような災害が頻発すると予想されています。

1990年代は、記録上最も暑い10年だった

   1861年以降、1990年代は記録上最も暑い10年間でした。また世界の平均気温が最も高かったのは1998年、2番めが2002年、3番めが2003年とここ10年以内に集中しているなど、近年ますますハッキリと上昇傾向を示しています。これまでは「問題が起きるとしても子どもや孫の時代のことだろう」と思われてきた地球温暖化は、想像以上のスピードで進んでいて、すでに影響は出始めているという見方が今では主流になってきているのです。
(次回につづく)


地球温暖化問題、こんなに
ヤバい状況だって、知ってた?
よく知っていた。
なんとなくは知っていたが、ここまで危機的とは知らなかった。
全然知らなかった。


-view result-


図1:地球の過去の平均気温と今後100年間の上昇予測
地球の気温はゆっくりと下がっている方向だったものが、1900年代に入ってから急激に上昇を始めているのがわかる。グラフの右端、将来予測で幅が出ているのは、今後「京都議定書」などによる二酸化炭素の削減がどのくらいうまくいくかのシナリオを複数想定しているため。私たちの努力次第で、温度上昇にはこんなに差がつくというわけ。是が非でもいちばん低い線をたどりたい。
出所)IPCC地球温暖化第3次レポート


※1
動植物の絶滅など、地球上のすべての生きものが被害をこうむるのを忘れないようにしたい。でも今回の連載では人間の被害を中心に検討していきます。
























※2
国際稲研究所などの研究グループの報告による(2004年6月29日 共同通信)
●参照:Ecology Symphony



※3
言わずもがなですが、貨幣価値が高い先進国に住んでいる日本人は当面は食費の値上がりに悩む程度で済むかもしれませんが、発展途上国に暮らす人々にとっては即飢餓問題につながっていきます。




関連リンク
<Cafeglobe.com記事より>
Letter from the Editor
あらためて、環境問題について、かなりマジメに(2004年12月15日)


<そのほかのサイト>

GreenPeace Japan気候変動
世界的に名高い環境NGOの温暖化情報サイト。

全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)
(財)日本環境協会内に設けられた、地球温暖化対策に関する普及啓発を行う機関。無料で利用できる資料が揃っている。

気候ネットワーク
地球温暖化防止を目的として活動するNGO/NPO。日本国内のさまざまな環境グループとネットワークを作っている。

UNEP(ユネップ/国連環境計画)
国連の環境保護部門。IPCC、京都議定書などはここがリーダーシップをとっている。(英語)

*リンク先外部サイトの内容に関して、Cafeglobeは責任を負いかねます。また、必ずしもその内容に賛同しているわけではありません。ご自身の判断でご利用ください。



第4回
京都議定書ってどんなもの? 私たちはこれからどうするべき?/2005年2月23日

第3回
最後の頼みの綱は、太陽や風など自然エネルギー。早く切り替えなくちゃ/2005年2月9月

第2回
なんでこんなコトになっちゃった? 温暖化のしくみをやさしく解説!/2005年1月28日

第1回
温暖化は本当に深刻なの? どのくらい危険なの?/2005年1月12日


text / Aoki Yoko (Cafeglobe)


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