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「今、世界の温暖化問題専門家の間では、地球の平均気温の上昇を2℃未満に抑えようという動きになっています。現在の予測では、プラス2℃が、『極端な大惨事が起こらないだろう気温の上限』としてはじき出された数字なのです」 今回来日したグリーンピース・インターナショナルの気候変動専門家、スヴェン・テスケさんはそう切り出した(以下紺色の文字)。研究者というよりは、アウトドアショップのお兄ちゃんのような風貌。低くよく通る声で、わかりやすく説明してくれる。 「『極端な大惨事』とは、まさに映画『ザ・デイ・アフター・トゥモロー』のような状況のことです。もちろんあれはハリウッド作品です。でもあの映画の基本的なメッセージは正しい。このまま気温の上昇を止めなければ、映画のように数時間でこそなくても、地球が氷に閉ざされるようなことは大いにありえます。上昇を2℃未満に抑えられれば、ああいった事態はほぼ起こらないと言えるだろう、という計算なのです(※2)」 よし、2℃ね。で、それには私たちはどのくらい何をしなければいけないのでしょうか? 「厳しいですよ。2050年までに先進国は二酸化炭素の排出量を今よりも80%カットしないといけないんです」。 へ? 80%マイナス? 「そう、今の2割にしないと。2050年というとだいぶ先だなと感じるかもしれませんが、今の化石燃料に頼り切った経済や社会を考えれば、もうあまり時間がないのが現実です。あと45年で社会のしくみをすっかり変えなければいけないわけですから」。
みなさん、どうか慌てずに。二酸化炭素の排出を8割減らすと言っても、イコール私たちが使えるエネルギーが8割減というわけではないのだとか。 「予測では、2050年までに、世界全体での電力需要は2000年の倍になります(※図3)。中国を始めとした発展途上国が急速に経済成長することが原因です。もちろん、この急増するエネルギー需要を化石燃料でまかなっていたら、地球環境はあっという間に破綻します。そこで必要なのが、まずは技術革新やライフスタイルの工夫などでエネルギー効率をよくすること。もうひとつが、太陽光・熱発電や風力発電、地熱発電などの自然エネルギー(代替エネルギー)に切り替えることなんです」 「自然エネルギーこそが、平均気温の上昇を2℃未満に抑えるための最後の切り札」だというスヴェンさん。たしかに、自然エネルギーは、いちど設備さえ整えてしまえば、いくら電気を作っても二酸化炭素の排出は基本的にゼロ。 「地球に毎日降り注いでいる太陽エネルギーは、現在の世界のエネルギー需要の2850倍あります。風力は200倍あります(※図4)。これらをうまく活用する社会に転換していけば、エネルギーを好きなだけ使えるようにだってなるのです。さらに嬉しいことに、太陽光・熱や風力はいくら使っても資源が尽きないという大きなメリットもあります」
スヴェンさんは、2050年までに世界で使われる電力の7割強を自然エネルギーで生み出すことができれば、二酸化炭素の排出量を大幅に削減し、2℃モデルが達成できる(!)計算になるといいます(※図5)。 たしかに最近は日本でも風力発電のあの3枚羽の風車をテレビコマーシャルなどで頻繁に見かけるようになったし、太陽光発電パネルを屋根に載せた住宅の広告も見かけるようになりました。でも図3のように伸びるような気配は今のところ……ないのでは? なんといっても、今の政府は自然エネルギーの後押しにはまったくと言っていいほど後ろ向き。 「政治が環境問題解決に弱いのは、政治家の任期が4年程度と、環境問題のスパンに比べて短かすぎるからですね。政治家はたとえ志はあっても、とりあえず次期も当選しないとならないので、大半の人はそんな長期の問題に関わっていられないというのが本音でしょう」。私たち有権者が“環境問題に取り組まないと次の選挙で落ちるかも?”と政治家に思わせられない限り変わらない、ということらしい。 意外に知られていないことだけれど、じつは日本の二酸化炭素排出量はアメリカ、ロシアに次いで世界第3位。この責任はとても重いし、でもポジティブに考えれば、日本が腹をくくって二酸化炭素の排出量を急激に減少させることができれば、地球という船が沈まないようにすることに大きな貢献ができるのです。 では、最終回の次回では、「京都議定書って結局何を決めてるの?」ということや、日本の取り組みについてわかりやすくまとめてみたいと思います。 (次回につづく)
text / Aoki Yoko (Cafeglobe) |
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