Tシャツ1枚分の綿花を育てるのに必要な水は1200リットル。綿花にかける農薬が原因で死ぬ労働者は世界で毎年2万人。2万円のスニーカーのうち、途上国の靴工場で働く人の手に渡るのはたったの55円。
ふだん「かわい〜」なんて気軽に買ってしまう洋服や小物。クルマや光熱費などと違ってあまり環境に与える影響を考えたりされないアイテムだけれど、残念なことに、これがかなりの環境負荷になっている。児童労働や低賃金などの問題もたくさん指摘されている。
そこで、環境にも人権にも配慮したファッションを考えてみよう、それもとびきりおしゃれなのを……というのが「Well Fashioned: Eco Style in the UK」。ロンドンのおしゃれなエリア、Angelにあるクラフツカウンシルの会場には、わぁーと手にとりたくなるアイテムがいっぱい。

↑展覧会タイトルの「Well Fashioned」は、「よく設計された/仕組まれた」というダブルミーニング。単なる表現だけでなく、どんな素材を使うか、どう作るか、しっかりした計算があってこそという意味。<写真左>環境汚染の原因になる化学染料でなく植物染料であるインディゴを使ったジャケット(Garcie Burnett)、オーガニックコットンのデニム(howies)、リサイクル素材の靴(Terra Plana)。<中>白地にオレンジのトップは、捨てられたサリーを生地として使っているブランド「Sari」のもの。代表のSitalさんは、イギリスのエコファッションのけん引役のひとり。<右>リユースのボタンがたっぷりついたバッグは「Edson Raupp」。photos / Crafts Council
オーガニックコットンを使ったデニム、フェアトレードかつ職人のスキルを生かす布地を使ったドレス、ゴミとして出された洋服生地を使った靴やスカートなどなど。ふと感じるのは、ひとつひとつのアイテムにすごく力があること。どっしりとした存在感は、人間の手から生まれてくるからこそのものなのか、リサイクルされた生地が持つ「思い出」のためか。大量生産のペラペラした洋服とは何か確実に違う雰囲気が漂っている。

↑「まっとうな暮らしのためには時給120円は必要といわれる中国で、縫製工場の平均賃金は時給32円。その大半は女性で、1日10〜12時間ほど働いている」というのは「juste.」のTamsinさん。juste.のドレスはバングラデシュで高い織りの技術を身につけた女性たちが作るフェアトレードのシルクなどを使っている。
環境にやさしく人にやさしい暮らしをしなければと心がけていると、おしゃれもあまりしてはいけないような気分に陥りやすいもの。でもそんな人も、この展示を見るとぐっと元気が出てくるはず。おしゃれは人間のかなり根源的な欲求。自分の手を動かしたり、誰かが丹精込めた作品を身につける、そんな楽しさを味わうのはとっても素敵なことだと思う。

↑ハッと目を奪われたのが、「Alison Willoughby」のカラフルなスカート。捨てられた洋服からカラフルな布地を選び、びっしりとフリル状に縫い上げてある。誰かが心を込めて織ったり縫ったりしたものの魅力がみっちりと詰まっている。

↑女性の憧れウエディングドレスも、化学物質たっぷり、無駄たっぷり、途上国の安い労働力を搾取して作られているのなら、どこかくすんで見えるもの。Rebecca Earleyさんの提案は、シルクとヘンプのやわらかなドレス。胸に立体的にほどこされた鳩の刺繍はフレームに入れて一生の思い出に、スカート部分はインディゴで染めて布地として好きな洋服に仕立てるというもの。
このファッション展、ロンドンでの開催が6月4日に終了した後は、レスター、バーンズリー、ポーツマスなど英国内を巡回する。購入できるアイテムも多いので、まず下記webサイトをチェックしてみて。おしゃれ魂に火がつくこと間違いなし!(編集部・アオキ)
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