■複雑怪奇な日本の自転車通行ルール 近頃は都内を走る自転車もずいぶんと増えましたが、その中には外国人の姿もちらほら。日本滞在中の手軽な移動手段として、ジテンシャは重宝されているようです。
しかし、そんな外国人の方々が日本の交通ルールを学べる機会はほとんどありません。しかも、日本の自転車をめぐる交通ルールは「複雑怪奇」。これまで自転車は「車のジャマになるから」と狭い歩道に追いやられ、そのため歩道では歩行者と自転車との事故が後を断ちませんでした。

NPO「アーバンエコロジー東京」事務局の山口勉さんと新宿日本語学校講師の惣万(そうまん)奈美子さん。 今年6月に改正道路交通法が施行され、自転車が歩道を走ってよいのは、標識で表示されている場合や高齢者や幼児が運転する場合に限られることが明記されました。自転車は車道を走らなければならないことが改めて確認された形です。
しかしクルマ優先の交通政策は相変わらずで、ほとんど周知徹底されていません。そもそも、取り締まる側の警察官自体がのんきに歩道を自転車で走っている始末。
「車道と歩道、どっちを走ったらいいんだ〜!」と日本人でさえ混乱するのですから、日本に来たばかりで、しかも自転車を利用する機会の多い留学生であればなおさらでしょう。
■自転車に乗りながらのケータイは絶対ダメ
そんな中、留学生を対象とした初の自転車教室が、東京・神宮外苑で開かれました。名付けて「東京留学生自転車安全教室」。都内での自転車利用を促進するNPO「アーバンエコロジー東京」が主催しました。

東京サイクリング協会のスタッフが留学生に交通ルールをレクチャー中。留学生の大半は日本に来て日が浅いこともあり、懸命に学び取ろうとしていたのが印象的でした。

皇居へ向かう途中、外務省前の歩道(自転車通行可)を一列になって走ります。在日外国人への交通ルールの普及については、外務省にもぜひ動いてほしいところ。 この日参加したのは、高田馬場にある「新宿日本語学校」にこの10月に入学した、アジアからの留学生が10名と、ボランティア30名の計40名。交通安全講習では、東京サイクリング協会のスタッフが左側通行、車道と歩道の区別、自転車の通行方法などについて通訳を交えながらレクチャーします。中にはこんな注意も。
「夜間はライトをつけてください。それと、自転車に乗りながらのケータイは危ないので絶対にしないでくださいね!」。自転車に乗りながらケータイをしている人が時々いますが、まず私たち日本人が、真っ先にこうしたルールを守らなければいけないはず。同じ日本人として反省です。

インド・デリー出身のラケシュ君(18歳)。「東京はインドと比べて自転車で走りやすい。楽しいですね」

昼食後は参加者でミニゲーム。思わず歓声があがります。

記念撮影! このあと迎賓館の前を通って午後2時頃にはスタート地点の神宮外苑に戻り、初の「東京留学生自転車教室」は無事終了したのでした。「留学生だけでなく、ボランティアの方にも多数参加してもらえて、初回としてはまずまずの出来。言葉の壁もあり、交通ルールを伝えるのは大変ですが、今後も継続したいですね」(山口さん)。 講習の後は、参加者全員で実際に自転車に乗って、皇居を一周約13kmのコースをサイクリングします。休日の都心は交通量も少なめで、皇居前広場ではランチの後にミニゲームを楽しむと、参加者同士すっかりうちとけた雰囲気に。午後には神宮外苑に戻り、初の「東京留学生自転車教室」はトラブルもなく終了することが出来ました。
■行政も自転車の安全にもっと責任を持って!
今回のように、外国人の方への交通ルールの普及、そして私たち日本人自身の法律遵守・マナー向上を図る取り組みは、自転車の安全通行にとって画期的なことです。
その一方で、自転車交通制度の混乱を長らく放置してきた行政側にも、本腰を入れた対応が求められます。「アーバンエコロジー東京」事務局の山口勉さんも「米カリフォルニアでも、州が10年かけて粘り強く自転車交通環境を整えました。同じことが東京に出来ないはずはないんです」と、行政のリーダーシップに期待をにじませます。
自転車レーンの拡充や違法駐車の排除、駐輪スペースの確保などなど、課題は山積み。ここはぜひ、都や関係省庁に積極的に動いて欲しいところです。
まだまだクルマが幅を利かせ、通勤電車の乗車率も緩和されない東京ですが、環境へのインパクトが低く、健康にもいい自転車が都内を安全に走れるようになれば、「国際都市TOKYO」の株も上がるというもの。そうですよね、石原都知事?
文・写真/斉藤円華
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