「カーボンフットプリント」という言葉を聞いたことがありますか? 直訳すると「炭素の足跡」。09年のキーワードになりそうです。今回は一歩お先に、カーボンフットプリントについての世界・日本のこれからをレポートします!
まずは下記のイギリス政府のキャンペーンのCM映像をご覧ください。私たちの日々の生活のとくにどんなところからCO2がたくさん出ているか、視覚的にわかりやすい。あなたの足の裏もベットリしてますか?
■カーボンフットプリントとは?
イギリス政府に負けてられないというわけではないでしょうが、われらが霞ヶ関、経済産業省も今、カーボンフットプリントを規格化する検討をしているとか。
担当の花等薫(かとうかおる)さん(※1)によると、カーボンフットプリントとは「商品の原材料が生成されるところから廃棄までの全ライフサイクルで出た温室効果ガスをCO2に換算し、商品に表示するものです。国際規格のLCAという手法をベースにしています」とのこと。その商品が種から育つ過程、採掘される過程、運ばれる過程、保存される過程、廃棄されて燃やされる過程、すべての過程で出るCO2を集めたものを、商品のパッケージに表示するのです。
メリットは大きく2つ。1つめは企業のCO2削減努力を「見える化」でき、企業のCO2削減意識の向上が期待できること。2つめは、消費者が見える化された商品を選ぶことによって温室効果ガス削減が促進されること、と花等さん。

カーボンフットプリントが浸透すれば、総菜パン1つ買って食べるにも、その商品のCO2量が分かるようになる。具に牛肉が入っていると入っていないよりぐんと上がるだろうし、国産小麦と輸入小麦では差が出る可能性も(編集部注:日本のカーボンフットプリントが国際物流で出るCO2を勘定に入れるかはまだ未定だそう。入れてほしいですけどね)。あなたの商品チョイスにも影響を与える? 国際的な動きでは、カーボンフットプリントをISO規格にしようという議論が始まっていることにも注目です。
ご存知ISOは、商品とサービスの国際的な流通を容易にし国際的な交流の助長を目指すもの。工業分野をはじめ、さまざまな分野の国際的な規格として世界的に信頼されているだけに、ISO規格でカーボンフットプリントが表示できるようになれば、その信頼感は抜群。現在、2011年前後の決定にむけて話が進んでいるとか。経産省の花等さんも、「これが決まれば国際標準になるので、各国のカーボンフットプリント関係者はISOの動きを注意深く見ていますよ」。
■スーパーなどで実験中! 海外の動き
カーボンフットプリントを消費者向けに表示する動きは、海外ではイギリス、ドイツ、スイス、スウェーデン、韓国、EUなどで積極的に導入され始めています。特に盛んなのがイギリス。イギリスではすでにカーボントラスト社が中心となったプロジェクトで実証実験が進行中。コカコーラ、エビアン、ボルヴィックや、ポテトチップスのウォーカーズなども参加して、2008年2月時点で20社約75品目が発売されています。
フランスでは大手スーパーのルクレール社が2万点の商品のCO2を表示し、レシートにもトータルの量が分かるようにしているのだとか。いろんな試みが始まっているんですね。

カーボントラスト社は、イギリス政府が設立した独立系企業。カーボンフットプリントのプロジェクトの他、企業にCO2削減の方法を提案、コンサルティングしたり、一般むけにキャンペーンをおこなったりCO2削減のために幅広く活動中だ。
■カルビー、サッポロ、イオンが参加!
日本では、経産省が主催している研究会で「有識者や企業の方とともに検討を進めています。2009年1月頃を目途に日本での制度の概要を取りまとめる予定」(花等さん)とのこと。
近いところでは、2008年12月のエコプロダクツ展で、期間限定ながら、日本初のカーボンフットプリント付き商品が登場するそうです! 参加企業はイオン、サッポロ、カルビーなど。2009年からは実証実験も始まるそうなので、実際に一部のコンビニやスーパーで見かけることになるので、これも楽しみ。

三河屋製菓(大阪市)が販売しているカーボンオフセット付きのえびみりん焼。製造時の電気使用量から排出されるCO2を約100gと算定。国連認証の排出権を約100g分購入し、差し引きの排出量をゼロにしている(原料の生産や運搬などにかかる分は含まれていない)。いずれカーボンフットプリント表示が浸透すれば、それぞれの製品のCO2負荷が一目瞭然になるので、その分をカーボンオフセットする商品が増えていくのかも。 ただ、このカーボンフットプリント、現時点の日本での認知度はかなり低い。経産省や企業、マスコミのリードでどこまで早く認知度を高められるかが問われます。私たちも、もっと教えて!情報をわかりやすく開示して!と注文を出していきましょう。
ただ、商品のCO2にとらわれすぎないようにすることも大事。「カーボンフットプリントはあくまでも目安のひとつ。買い方や店舗への交通手段、捨て方の工夫などでも排出量削減はできますし、ほかの環境への影響も含めて、トータルで考えて商品を選んでほしい」(花等さん)という意見のとおり、多角的な視点で消費をしていきたいと思います。
カーボンフットプリント表示商品が身近になったら、CO2を相殺するカーボンオフセットもできる範囲で実施しながら、CO2ダイエットを進めていきたいですね。
※1 産業技術環局・環境政策課・環境調和産業推進室 振興係長
取材・文/阿久津美穂 (Slow Media Works) |