日本ではちょっとしたブームになっている感もあるプリプラファッション。じつはこのプリプラの震源地はイギリス。10年ほど前に火がつき、たしかにトレンドだしケイト・モスも似たのを着てたけど、同じようなペラペラの服を身につけた若いコが街にウジャウジャという状況になっています。
けれど、洋服だって大量生産大量消費はエコじゃないし、生産者に人間的なお給料を払っていないことも多いのがプリプラの問題点。マスコミが途上国の生産者の苦しい暮らしなどを報道するようになったこともあり、「もっと地球や人にやさしいファッションが欲しい!」と思う人が急増しています。
そんなわけで、イギリスのファッション業界では、フェアトレードやサステイナビリティがバズワードになってきています。デパートに行っても、TOPSHOPやH&Mなどのプリプラショップでさえも、これらの言葉を目にしないことはないほどです。cafeglobeとSELECT Cafeユーザーのみなさんならおなじみのピープル・ツリーは、イギリスでもフェアトレードの第一人者として知られています。

EFF(エシカル・ファッション・フォーラム)が開いた、フェアトレードやエコな素材や原料をどうソーシングするかについてのワークショップ。参加者の多くがデザイナー、バイヤー、ファッションを専攻している学生など。女性が9割以上だったのも印象的。 ■エシカル・ファッションを目指す人たちのネットワークが登場
でも、ファッション産業でフェアトレードやエコを目指すのは、現状ではものすごく大変なこと。まだ布などの素材バリエーションがとても少ないし、フェアトレードを謳っていても、それが本当かどうか確かめるのは困難を極まりない(コットンの例は当欄バックナンバーを御参照ください>)。
心あるデザイナーやバイヤーは、自分でお店をやっている個人であろうと、メーカーに勤めている人であろうと、この混沌とした状況でどうしたら本当に誠実でおしゃれで売れる商品を生み出せるか、てさぐりで奮闘しているところなのです。その苦労、想像できますよね。

EFFを立ち上げたタムゼン・ルジュンさん。フェアトレード・ブランドのデザイナーを経て、現在はエシカル・ファッションのコンサルタントと大学の非常勤講師もしている。着ているのは、ヴィンテージの布を使ったドレスだとか。 そんな中、エシカル(正しい)なファッションを目指す人たちでネットワークを作ろう!という動きが活発になってきています。「EFF(エシカル・ファッション・フォーラム)」を立ち上げたのは、以前この欄でも紹介した「juste.」というブランドのデザイナーだったタムゼン・ルジュンさん。デザイナーやバイヤー、仲買、途上国開発支援NGOの人たち、ジャーナリストやマーケティングの人たちで緊密に情報交換しようという狙いです。

この日のスピーカーの目玉は、超大手小売店で大規模なプリプラ・ファッションを手がけているとして批判されることの多いTescoのエシカル・ファッション担当者さん。でも彼女は開発NGOの出身で、そういう人を採用するだけTescoも先を見通してはいるのかな?というのが会場の雰囲気でした。ちなみに、Tescoが調べたところでは、消費者の78%が「服がどう作られたのか知りたい」と答え、31%は「環境や人権に配慮していないかもしれない商品は買わない」と答えたのだとか。 ■おしゃれと環境や人権が融合、21世紀的!
このEFFが主催する、ソーシング(原料や素材を生産地を意識して買いつけること)のワークショップに参加してきました。
講演をしたのは、Tescoのエシカルファッション担当者、ステラやグッチでバイイングをしていたコンサルタント、デザイナー、仲買、インドで活動するNGOなど。エシカルであることをどう確かめるか、大手の会社の姿勢をどう変えさせるか、フェアトレードが高コストになるのを解決する方法、素材の話、苦労話……ありとあらゆる話題が出ていました。

ワークショップ後、素材サンプルの展示にデザイナーやバイヤーが殺到。どんなソーシングがされているのか、価格は、どのくらいのロットで購入できるのかなど、熱気むんむん。

インドの綿花を生産している農村を支援している開発NGOと一緒に活動している団体のサンプル。フェアトレード商品が高くなりがちなのは、流通の過程で原価に雪だるま式に利益を乗せるから。普通の価格で流通させ、最後にリテール価格を付ける際に生産者の取り分を載せる方法がとれないか実験しているのだとか。 リサイクルPET繊維は日本のものがイチバンだなど具体的なノウハウや情報が飛び交っていたけれど、この日最も大きな拍手を集めたのは、仲買ビジネスを始めている女性の「毎日新しい認証マークが出て来たり、マーケットはコロコロ変わるし、みんな忙殺されがちだと思うけれど、いちばん大切なのは途上国の貧困をどうなくしていくかですよね。大切なことを見失わないで一緒に進んで行きましょう!」というアツい発言でした。
ファッション業界だけあって、会場にはトレンドの先端というおしゃれの人が多かったけれど、話している内容は、NGOや活動家そのものの。ともするとかけ離れてしまいがちな、おしゃれと人権やファッションと環境。ここが結びついているのは、とても21世紀的というか、これからの社会や世界の方向のはず。日本からの参加も大大大歓迎(タムゼンさん)ということなので、業界の方、コンタクトをとってみられては?

EFFは、エシカル・ファッションに興味のある人のためのSNSも運営している。上の画像はそのフォーラム(コミュニティ)ページの一部。認証制だが、基本的には誰でも参加できる。オンライン通販情報なども充実させて行く予定だという。
文・写真/青木 陽子(cafeglobeファウンダー) |