安い卵
先日イギリスのラジオ、BBC Radio4(以前メルマガEspresso※のひとこと欄でもご紹介)で、養鶏場をお役御免になった雌鶏たちを救う活動をしている女性のルポがあった。卵を産む効率が下がった雌鶏はお役御免……潰されて鶏肉になる。それはまぁ仕方のないことで、何もそんなに鶏を気の毒がらなくてもと思った。でもルポを聞いていて気が変わった。
鳥インフルエンザが流行ったときのニュースで見たことがある人もいるかもしれないが、日本でもいまどきの養鶏場には窓がない。伝染病が外から入り込まないように、悪臭が近所に漏れないように、そして何より、照明時間を調節して一日を短くし、鶏たちによりたくさん卵を産ませるためだという。
子どもの頃、農家だった祖父母の家で、まだ温かい卵を拾うのが好きだった。そのとき祖母から、1匹の雌鶏はだいたい2日に1個の卵を産むよと聞いたのを覚えている。けれど近代的な養鶏場で短い1日を過ごしている鶏たちは、なんと2日に3個産むという。おつかれさまである。あんな大きなものを体から出すのだから、その分の餌を食べるだけでも必死だろう。
雌鶏たちは数匹ずつギリギリ身動きできる程度のケージに入れられている。フンが下に落ちるように床も網になっている。若鶏としてケージに入りお役御免になるまで、そんな状態で平均52週(イギリスの場合)。その頃になると、2日に3個のペースが落ちてくるのだという。ルポでは、女性が引き受けた鶏たちの中には骨粗鬆症で骨が折れていたり、羽が抜け落ちて裸同然の鶏も多いと言っていた。
で、この女性は、太陽の光も自然の風も知らない雌鶏たちを引き取って、まずは伸び放題の爪を切り青い草を食べさせ、庭などでペットとして飼いたいという人に譲っている。動物愛護意識の高い国なので、けっこう引き取られているようだ。養鶏場が望むペースではないとはいえまだ卵も産む。鶏の本来の寿命は8年程度らしい。最近では、チャールズ皇太子からの支援も決まった。※余談だがダイアナ妃の件では悪役のチャールズも、自然保護やNGOなどの支援にはとても熱心で実績も多く、この点では国民からもとても評価が高い人である。
さて、日本で飼育されている雌鶏たちも、ほぼ同じように養鶏場という工場で卵生産マシーンとして利用されている。動物愛護を言い始めるとキリがないことは承知しているけれど、それにしてもこれはひどいんじゃないだろうか。もちろん養鶏場の経営者だけを責めてもしょうがない。より安い卵と卵製品を求めてしまう消費者が多い以上、養鶏場はとことんまで雌鶏たちにも効率を突きつけるしかない。
そんなことを考え、私自身はこの数年、できるだけフリーレインジ(放し飼い)の卵を買うようにしている。家からいちばん近いスーパーにはないから自転車で遠いスーパーに行き、1個40〜80円。高いけれど、大切に使い切ればたいした贅沢ではない。じつは鳥インフルエンザ騒動の最中も、健康な鶏はインフルエンザには罹らない! 万が一罹っていても健康なものを食べている健康な私は罹らない!と信じて、大好物の卵かけご飯を食べてました。
追記1:
昨年から牛・豚・乳製品を避けてみているのですが、その感想を『日経ビジネスアソシエ』で持たせていただいている連載コラムに書いているのでよければごらんください。
●日経ビジネス アソシエ http://nba.nikkeibp.co.jp/
(開いたトップページの左のリンク→コラムページ下部の「バックナンバー」→4月6日号へ)
追記2:
以前、Espressoのひとこと欄で編集部の宮里がご紹介した「マトリクス」のパロディサイト。ジョークとして上質で、辛辣です。
●The Meatrix
http://www.themeatrix.com/
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卵を見ていると『くまの子ウーフ』を思い出す。あの絵本を読んだ後って、ゆでたまごがそれはそれはのごちそうに感じませんでし
た? あと「ウーフ」って、フランス語の卵のウフから来ていたのですね。
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