

Q. なんだか照明というと、蛍光灯バーンみたいな意識がありますが、日本はいつ頃からそうなんでしょう?
A. 昔はいろいろあったんですよ。始めは、たいまつや焚き火などの直火ですね。室町時代に、行灯(あんどん)という照明器具が生まれて、江戸時代になると、提灯(ちょうちん)や雪洞(ぼんぼり)など、吊るす、持つといった形態の器具も出てきます。明治時代には、石油ランプ、アーク燈、そしてエジソンの白熱ランプの発明、大正時代にはガス燈と、いろいろなランプが登場しています。
その後、第二次世界大戦を経て、日本は暗く貧しい時代を迎えてしまう。このしみったれた雰囲気をなんとかしなくてはとがんばった結果、高度成長期に突入。このときに海外から入ってきた蛍光灯が、みんなの気持ちを明るくしてくれる、少しの電力でたくさんの光を得られて経済的と一気に普及して、現在に至るんです。
Q. そっか。そんな時代が一段落してようやく、みんなの関心が住空間に向くようになり、照明も見直されているってわけですね?
A. そうですね。照明というと、欧米のデザインもののイメージがあるかもしれませんが、日本には間接照明の文化がちゃんとあるんです。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読むとよくわかりますよ。
みなさんの家にはないかもしれませんが、和室を思い浮かべてみてください。日差しを避けるための深い庇(ひさし)、そして障子の和紙を通して、光は部屋に差し込みます。日本人は、直射日光ではなく、光をやわらかく部屋に取り入れることをよしとしていたんです。
Q. 考えてみれば当たり前ですが、カーッと明るすぎるよりは、やさしい光のほうがくつろげます。となると、部屋に蛍光灯はいらないかも。
A. オフィス空間や学校などは、蛍光灯でいいと思いますけどね。焚き火やろうそくで観る能の舞台があるんですが、そういったほの灯りの中で観ると、着物、襖、屏風、漆器などのほんとうの美しさがわかると言われています。薄暗がりの中でこそ映えるように作られたものなんだと気付くそう。みなさんの部屋にあるものも、照明によってムードが出てくるかもしれないですよ。
 |

『日本人とすまい あかり A/KA/RI』
リビング・デザインセンター刊
\2,200(税込)
(問)建築資料研究社
tel.03-3986-3239 |
| 灯りの歴史から、最前線の照明デザインの紹介まで、灯りについて知りたいことのすべてを網羅していると言ってもいい内容。「日本建築の光と影」「光と現代建築」などのテーマで、多くの写真も掲載。灯りに関するさまざまな読み物ページも充実している。
|
|
 |

『陰翳礼讃』
谷崎潤一郎著
中公文庫
\476
>この本の購入はこちら
(amazon.co.jp) |
| 日本座敷を見るたびに、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光と陰との使い分けに巧妙であるかに感嘆する、と述べる谷崎氏。ヨーロッパをよく旅していた彼は、海外と比較することで特に、日本文化のすばらしさに気付いていたと思われる。ライフスタイルにこだわる氏のダンディぶりがわかるおもしろさもあるエッセイ集。 |
|
|
text / Kikuchi Nao(Cafeglobe.com)
photos / Shinbo Masaru |
|
|
 |
 |
 |
照明デザイナー。美術短大を卒業し、照明デザイン事務所に7年間勤務後、独立。とにかく明るくて、仕事が楽しい様子が伝わってくる方。建築家やインテリアデザイナーから照明計画を依頼されるパターンが多く、オフィス、商業施設、住居、クリスマスイルミネーション、ライトアップなど、その対象は多岐に渡る。美大のデザイン科で、照明器具を作ったことから興味をもち、この道を志す。照明への関心が高まっているとはいえ、いまだ照明科のある大学はなく、実践で学んでいく世界とか。照明はやってみないと見えないもので、あの手この手のクライアントへのプレゼンが必要など、経験がモノを言うため、独立2年目の今、忙しい毎日を送っている。村角さんの事務所「スパンコール」へのお問い合わせはこちら。
murazumi-c@hkg.odn.ne.jp
|
| ●NIPPON FORM |
 |
照明の撮影に協力していただいた、照明以外にも家具や雑貨を扱う、インテリアのセレクトショールーム。「和でも洋でもない現代の日本人の暮らしにふさわしいもの」というコンセンプト通り、モダンでいてくつろげるアイテムが並んでいる。
東京都新宿区西新宿3-7-1
新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONE 6F
tel.03-5322-6620
(営)10:30〜18:30
(休)水曜(祝日の場合は営業)
http://www.ozone.co.jp/
|
|
|