





|
 |
今回の建物は1937年に建てられたものです。板橋の常盤台という、当時の文化住宅(※)が立ち並ぶエリアに、ひときわ目立った存在としてあった写真館です。現在は移築されて、『江戸たてもの園』でその姿を見ることができます。これがいいんだな。
(※)洋館風の造りを取り入れた一般向きの住宅。大正時代半ばに流行した。
丸みを帯びた階段部分と、その他の箱型との対比が強調されていて、ちょっぴりアール・デコ(※)な印象もグ〜ですね。『常盤台写真場』という響きがなんともレトロで浪漫を感じます。写真場ですよ、写真場(笑)。当時はここで、みんなおめかしして家族写真撮ったんだろうな。
(※)1925年のパリ万国装飾美術博覧会をきっかけに流行したデザイン様式。直線と円弧を組み合わせた幾何学パターンを特徴とし、日本では伊勢丹新宿店や東京都庭園美術館などの建物がそれに当たる

1階部分は持ち主である写真館の家族が住んでいた部分で、2階がスタジオ。照明設備がまだ発達してなかった頃なので、2階の窓は、撮影時になるべく安定した光が得られるように全面スリガラスになっています。自然採光のやわらかい光で写真が撮れるように工夫されているわけですね。実際にたくさんの窓からいい感じの光がやさし〜くスタジオに入ってきていて、和める空間でした。
で、生活のエリアである1階部分。こげ茶色の木部分と漆喰の壁で統一されているのは2階と同じですが、天井が白い碁盤の目のようになっていたりして、細部の面白さは、見ていてかなりハマるものがあります。遊び心満載。
あと、日本間や子ども部屋も、全体のトーンとしてはシャープなカッテイング。例えば階段の手すり部分の切り方なんか、絶妙にスタイリッシュで折り紙のような幾何学っぽさもあったりして。え? いまいちわからない? じゃ即、左の写真(上から3つめ)をクリッククリック★
勉強部屋の窓に向かった机とイス。横一で並んだそのさまは、まるでどこかの外国の小さな学校のよう。台所はお釜があり、一見昔の日本って感じですが、ここもシンクとかはミニマル。
2階の階段の手すりに空いた丸っちい穴なんて、何のため? って感じ。穴越しに覗くと、向こうに和室の鏡台が見えたりするアンバランス。そしてよく見ると、穴の周りの白壁が汚れています。見学していたら、絶対この穴から皆、向こうを覗くよね(笑)。

1階2階共通のテイストは縦横のラインが徹底しているところ。日本家屋の味とアール・デコの味をほどよく混ぜて、湯せんにかけて脂を抜いたようなシンプルでミニマルな感じが、モダンっぽさに磨きをかけています。
田園調布のように駅から放射状に住宅が造られていた常盤台という町。その中に颯爽と建っていたこの写真場。今は離れた場所にやってきて、ゆっくり時を刻んでいます。そして、「江戸たてもの園」の片付けすぎない掃除の仕方、結構スキです、絶妙な按配!
|
 |
 |





|