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「ピイピイ」と声がしたので窓の外をふと見ると、すてきな訪問者が来ていた。薄茶色の羽をした2羽の小鳥。彼らはエサ箱のまわりやテラスの手すりにちょん、ちょんと飛び乗っては、ピチュピチュとしゃべりながらエサをつついている。 鳥のエサ箱を置いたのは、アパートの隣人が勧めてくれたからだ。「春から夏にかけては巣作りの時期だから、ちょうどいいわ」と、鳥にエサをあげるためのハンドブック(*1)を貸してくれ、ついでにキビやトウモロコシ、ヒマワリの種などの混ざったエサもおすそわけしてくれたのだった。 ちょうど空いた木の箱があったので、本を参考に簡単なエサ箱を作り、テラスの手すりにかけてみた。丸一日しても誰も来ないのでちょっぴりショボンとしていたところに、初のお客が来てくれた……というわけである。 ときどき空を仰ぐと、鷹が上昇気流に乗って旋回しているのを見かける。ウィラーメット河周辺に棲む雁(*3)がカギの字編成で飛んで行くこともあるし、晴れて暖かい日には、ハチドリがブーンと羽音をたてて花の蜜を吸っていたりする。西の森に住むカラスたちが朝、街へ“出勤”するところだって見られるのだ。 鳥たちを見ていたら、森に行きたくなった。街では出会えない鳥たちにも会えるかもしれない……。 私がいつも行くのは、ほんの入り口のところ。でも車がビュンビュン通る道路を越えて一歩踏み入っただけで、ここは違う“場”なのだとわかる。神経のどこかがふわっと緩んで、自分の体がスポンジみたいに形や色、音、匂い、そして気配といったものを吸い込んでいく感じだ。そして無性に、うれしくなる。 頭上高くに木々が緑の天蓋を作り、その下にはシダや苔、名も知れない草がびっしりとはえていた。高みから落ちたドングリが芽を出したのだろう、あちこちに私の肩くらいの高さのクヌギの子どもがすっくと立って、風に揺れる木漏れ日に葉をかざしている。ふと足下を見ると、うちのテラスにいるのと同じgeumが、誇らしげに黄色い花を咲かせていた。 木の梢で、鳥の声がする。 「ピーヨピーヨピッ、ツピピピピッ」 よく見ると、小さな影があっちの枝からこっちの枝へと飛び移っている。そこここで「ヒヨヒヨヒヨ」とか「ヴィーヤ」とか、いろんな鳥がいろんな声でしゃべっていた。道はなだらかな坂を上り、バラ園へと続いている。(次ページへ)
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text & photos / Watanabe Yo design / Takeue Tomoko |

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