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天高く、ビールがうまい! ……と思わず叫んでしまいましたが、サラリと透明感を増した風が、色づき始めた木の葉を揺らす今日この頃。オレゴンの地ビールはまさに味わいどきなのであります。ポートランドはなにしろ、人口当たりの地ビール醸造所数が全米一という呑んだくれ、じゃなかった、違いのワカルお土地柄。街中にも、作りたての生ビールが味わえるビアパブがいくつもある。 今の季節、私のお気に入りはゴールデンエール。この店ではいちばん軽い黄金色のビールで、どんな食べ物とも相性がいいし、ただそのまま飲んでもいい。口に含むとほのかにまだ青い洋梨を思わせるフルーティな香りが立ち上り、さっと舌の上で溶けるように消えていく。このビールはなにしろ、2002年度“ワールド・ビア・カップ”で金賞を受賞したビールだ。のどごしは軽いけれどなかなか実力派なのである。 「ローレルウッド」のようなマイクロブリュワリーのビールは、エールタイプが多い。一方、日本やアメリカの大手メーカーが作っているビールの多くは、ラガータイプ。ラガーもエールも原材料は同じで、水と麦、酵母とホップだ。では何が違うかというと、発酵の仕方が異なるのだとか。 1.麦を発芽させて麦芽にし、温風で“培燥”、つまりローストする。これが美しい色と芳ばしさの秘訣。 2.培燥した麦芽を砕いて水と混ぜ、適当な温度にしておくと、デンプン質が糖分に変わり、ほんのり甘い“麦汁”ができる(だからブリュワリーの近くでは、焼き芋みたいな甘い匂いが漂っている)。 3.ホップを入れる。ホップには苦み(&フルーティな味わい♪)をつけると同時に、麦汁を澄ませる働きもある。 4.ここに酵母を入れる。数日すると、酵母の働きで麦汁中の糖分のほとんどがアルコールと炭酸ガスに分解される。 5.これを濾過して一定期間熟成させれば、おいしいビールのできあがり。 この過程4で、酵母が麦汁の底に沈み、比較的低温でじっくり発酵するものはラガータイプ(*2)、麦汁の上に浮いて比較的高温、短時間で発酵するとエールタイプ(*3)になる。味はどう違うかというと、ラガータイプは「スッキリ、爽やか」が身上。対するエールは「フルーティでやや複雑な味わい」が魅力だ。 さらに、たとえばエールの中にも、いろいろな味とスタイルがある。たとえば原材料の麦はふつう大麦だけれど、これを半分以上小麦にするとまろやかな味わいのバイツェン(*4)に。淡色麦芽を使いホップを効かせるとペールエール。麦芽をより高温で強めにローストすると、味は芳醇、色はチョコレート色かほとんど黒のポーターやスタウトになる。豆のロースト加減でいろんな味わいやボディのコーヒーが出来るのと同じように、麦のロースト加減によってもビールの味は変わるというわけだ。 そして、ここではとてもレポートしきれないけれど、こうしたビールのそれぞれに誕生秘話があり、愛され、普及してきた歴史があり……いやー、ただ「ビール」といっても実に広く、深い世界だったのである。 プハー(とゴールデンエールをひと口)。いやー、こうして一心にお勉強していると、実にのどが乾くものでありますなあ。ビールの種類だけでなくビールのお伴も充実しているのがビアパブの魅力。本日はランチということで、軽めにサラダ&スープを選んでみました。 (次ページへ)
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text & photos / Watanabe Yo design / Takeue Tomoko |

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