カフェグローブ1月 その1 日本にもあったらいいのに!葉的ワンダーパーク、魅惑の書店案内 - 渡辺葉のポートランド通信

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JAPAN
更新日:2006年1月13日

渡辺葉のポートランド通信

文・写真/渡辺 葉



1月 その1

日本にもあったらいいのに!
葉的ワンダーパーク、魅惑の書店案内


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 新年明けて気分サッパリ♪のポートランドです。しかしこのところ、明けても暮れても降ること降ること、雨ざあざあ。樹々がスクスク育つのも、おいしい野菜や果物ができるのも、こうした空の恵みのおかげ。そうとはわかっていても……さすがに毎日雨が続くと、気分もちょっぴり停滞しがちになってしまう。

 そんなとき私は雨に濡れても平気なレーシングタイヤ・ブーツ(*1)をガッツリと履き、お気に入りのトロピカルジャングル傘を持って、エイッと出かけてしまう。行く先は世界一素敵な本屋さん(*2)のひとつ、「パウエルズ」なのです。
 この書店、街の一区画がまるごと敷地になっているので、とっても広々している。元は倉庫だったのか天井もガーンと高くて、気持ちのいい空間なのだ。店内は、文学&詩の「ブルールーム」、歴史や政治学など社会科学関係の「レッドルーム」など分野によって部屋が色別に分けてあり、それぞれの部屋にインフォメーションデスクがあって、本を検索したり、探している書籍の場所をていねいに教えてもらったりできる。

 ただし建物そのものが「1階→中2階→2階→中3階」と2分の1階ずつ上がっていく造りなので、目指す部屋に行き着くまでに「あり? あり?」と迷い続ける……ということもある。私はこの書店で行きたい部屋に行けるようになるまで2ヶ月以上かかった。あ、これって私の脳には3次元を理解する能力が欠けてるってことなのかしらん? いやいや、ほとんどの人が迷うはず。だからパウエルズでは店内地図があちこちに置いてある。

 店内地図だけではないのだ。1階のオレンジルームには雑貨コーナーがあって、かわいい手描きの絵がついた中国風の紙傘(*3)とか、パウエルズオリジナルのウォーターボトルとか、ブックスタンドなんかが置いてある。さらになぜか日本の文房具コーナーもあって、おにぎりに手と足がついたキャラクターのノートや小さくてかわゆいシール(←日本的センス)なんかもあって、ふとそれらに出くわしたりするとまるで太平洋を飛び越えて東京のどこかにいるような錯覚に襲われ、時にクラクラする。ちなみに、この日本文具コーナーでは寿司マグネットが普遍的な人気を誇っているらしい。

 ガーデニング関係のセクションにはちょっと素敵な銀色の缶に入った植物の種やスコップのセットなんかが置いてあるし、精神世界や宗教、形而上学の本が並ぶパープルルームには“世界の仏像(*4)”コーナーがある。Tシャツ、日記帳、カレンダーは中2階。ぬいぐるみはローズルーム。ポストカードやラッピングペーパーはグリーンルームで揃う。もう、なんでもありなのだ。ここって本当に書店なのかしらん!?(でも商品の99%は本なので、やっぱり書店なのです)
 パウエルズで私が好きなのは、あちこちにベンチ(*5)が置いてあること。書店としてはもちろん、立ち読み(&座り読み)だけして本を買わない客は“嫌な客”だろう。でも本好きとしては「最初の数ページを読んでみて、好きかどうか確かめたい」というのも本音。文章の好みというのは、かなり生理的な部分でわかれるのではないかと私は思う。

 どんなに他の人が絶賛する本でも、言葉の選びかたや文章の“感触”にどうしても馴染めない、ということがある。一方、何回も読んで話の筋を熟知していても、繰り返し繰り返し読みたい本、というのもある。はたまた、同じ作家が書いたものでも「前の本はイマイチだったけれど、今度の本は大好き!」ということもある。しかも、書店内をうろうろしているうちにどんどん気になる本が溜まって……という日には、やはり数冊まとめて抱え込み、ベンチに腰かけてじっくり“味見”し、本当に愛せる本を選びたいもの。「それならここでじっくり読んでみなさい!」と座る場所を提供してくれる書店の太っ腹さに、私はパチパチと拍手を送りたい。



次のページでは……

パウエルズお気に入りの理由は、“ベンチ”だけじゃない。まだまだ続くのです>>
ポートランド


ポートランドが誇る……
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プチ・プロモ棚……
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まるで迷路のよう……
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「オレンジ」「ローズ」「レッド」……
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迷っても安心……
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レーシングカーの……
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*1
ヘンプで作った服がいろいろ揃うお店「マスターピース・ヘンプ」で買った、レーシングカーのタイヤをリサイクルして作ったブーツ。普段の私のテイストからするとちょっぴりラフなのだけれど、さすが元タイヤなだけあってがっちりと水をはじいてくれる。底のギザギザもしっかりしているので、足下がすべってツルリ……なんて心配もない、頼れるヤツなのです。

*2
もっともこれは“葉的一人vote!”の結果だけれど(http://www.powells.com/)。ほかに私が「世界一素敵」と思っているのは……ニューヨークの児童書専門書店「ブックス・オブ・ワンダー」(http://www.booksofwonder.com/)。
年に1回しか帰国しないので日本の書店はvote!できるほど知らないのだけれど、東京で大きな書店に立ち寄ると、レベルの高さに感服してしまう。書店員さんの知識は豊富だし、分類もわかりやすい!

*3
和傘と同じく紙で出来ている。紙の感触はちょっとちがうのだけれど、そんでもって当然「和紙」ではないのだろうけれど、あれは何紙なのかしらん? 春から秋には日傘として、ポートランドのおしゃれ女子にはけっこう人気。


*4
イエス・キリスト像や聖母マリア像、はたまたヒンドゥー教のガネーシャ像などもあるので、まとめて「仏像」呼ばわりするのは不公平かもしれないけど。


*5
全米にチェーン展開している「バーンズ&ノーブル」なども、店舗によっては座り心地のいい椅子やソファが置いてある。小さい書店でもスペースが許せば、ちょっとアンティーク風の一人掛けソファが置いてあったりする。椅子やソファがない場合、エイヤッと床に直接あぐらをかいて陣取ってしまう人もけっこういるのは、アメリカならではの風景なのかしらん……。
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Profile
エッセイスト・翻訳家 渡辺 葉
渡辺 葉
ニューヨーク生活を経て、'04年春からオレゴン州ポートランドに移住。Cafeglobeでの人気連載2シリーズは『ニューヨークで見つけた気持ちのいい生活』『ニューヨークで見つけた気持ちのいい「ふたり生活」』として単行本化されている。


text & photos / Watanabe Yo
design / Takeue Tomoko


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