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更新日:2003年2月25日 RSS

オンナの技術 或いは セクシュアリティの大冒険

かつて、50〜60種類も発売されていたという殺精子剤。
そして現在、日本で唯一の殺精子剤「ネオサンプーンループ錠」が、
飛躍的に売上を伸ばしているらしい。
この話題、オヤジ週刊誌に独占されるのは悔しい限り。


文/稲垣早穂(ライター)
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第52回
誕生から50余年を経て大人気の不思議
サンプーンが背負ってきた殺精子剤の歴史

 殺精子剤の「ネオサンプーンループ錠」が、大変な人気らしい。「’00年度は約2万2000本だった売り上げが、’01年度は約4万3000本。さらに’02年度は上半期だけで約3万2000本と、まさに不況知らずの好調ぶりなのだ」(※1)

 私たち一般ユーザーにとっては、殺精子剤といえばマイルーラのほうが馴染み深かったけれど、サンプーンが避妊薬として認可されたのは1949年、現在の「ネオ」が誕生したのは1969年である。

 おまけにその市場は国内にとどまらず、途上国の人口抑制政策の一貫として、現在もUNFPA(United Nations Fund for Population Activities)などで利用されている。70年代には「国連御用達商品」などと呼ばれたこともある(※2)。地味ながら、日本の殺精子剤の歴史を背負ってきたともいえる存在だ。


錠剤のメリット

 今や殺精子剤といえばサンプーンだけになってしまったけど、かつては、なんと、50〜60種類(※3)も発売されていたということを、1949年の雑誌記事で知った(『眞実』1949年5月号)。

 今でこそコンドームとの併用が推奨されているが(避妊効果を上げるためにも、STD予防のためにも)、当時は最先端の「化学的避妊薬」である。殺精子剤への期待は高かった。

 その記事によると、殺精子剤には、粉末、液体、座薬、錠剤、ゼリー剤、洗浄の6種類があった。ちなみに洗浄とは、殺精子効果のある(とされていた)酸性の溶液で膣を洗うという方法で、かつての遊郭でも広く行われていたらしい。

 エーザイ広報部のお話によると、サンプーンも、かつてはクリーム剤やフォーム剤もラインナップされていたそうだ。錠剤のメリットは、挿入時点において水分や体温の影響ですぐ溶けてしまうことがなく、膣内深部まで挿入が可能である点だという。


コンドームと併用する場合は

 ところで、2000年春に製造中止となったマイルーラは、「激しくかぶれた」、「翌日のおりものがすごくて怖かった」といった声をよく聞いた。あれで殺精子剤は懲りた、という人も少なくないと思う。

 サンプーンの有効成分メンフェゴールは、天然のテルペン油(植物油)から作られた非イオン型界面活性剤の一種。マイルーラの成分であったノニルフェノールに比べれば安全だといわれているけれど、実際の使用感はどうなんだろう。サンプーンユーザーの方、ぜひBBSにご意見をお寄せください。

 薬や洗剤などによりアレルギー症状(たとえば発疹、かゆみ等)を起こしたことがある場合には、使用前に医師または薬剤師に相談した方がいいし、使用中に発疹・発赤、かゆみがあらわれた場合にはすぐに使用を中止してね。

 また、サンプーンは、膣内で膣液に触れ発泡しながら溶けることで、初めて効果を発揮する。溶けきるまでの時間はさまざまな条件に左右されるが、目安は約5分間。

 コンドームと併用する場合、錠剤のかけらが残っていると破損を招くのではないかという心配もあるが、少なくとも5分は置いて挿入するよう心がければ問題はないというお話でした。


サンプーンとオヤジ週刊誌

 片方の性だけが薬剤を服用するという、その不公平さがいまだに承服できない私にとっては、殺精子剤の安全性がどれだけ向上しようとも、「なんでわたしだけが」と愚痴らずにはいられない。

 それでも、どんな避妊法も一長一短であることを考えると、選択肢はやっぱり多いほうがいい。願わくば、このサンプーン、オヤジ週刊誌でこれ以上紹介されませんように。中出し礼讃に利用されちゃうのは、悔しいものね。

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稲垣早穂
いながき・さほ
inagaki
編集者歴9年の32歳。現在はインディペンデントマガジン『vibe girls』の編集スタッフとして、ジェンダーとセクシュアリティを追求する日々。風俗から障害者の性まで、守備範囲だけは広い。
「北極圏に行きたい、と本気で考えています。問題はトイレと食事とか。トイレはなんとなるとしても、食事ねえ。アザラシの生肉を数ヶ月食べ続けることが、果たして可能なのか。普段は玄米と有機野菜を食べて暮らしているというのに」
LOVE PIECE CLUB
http://www.lovepiececlub.com/

(※1)
『週刊ポスト』2002年12月13日号

(※2)
『週刊大衆』1972年2月24日号

(※3)
それらのなかには、避妊薬と称する堕胎薬もあったらしい。また、粗悪品も多かったし、それなりの避妊効果が得られたとしても、水銀だのナントカ酸だのを含む薬剤による健康被害も報告されていた。

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text / Inagaki Saho
illustration / Hirayasu Kyoko


次号予告 2月25日頃更新予定