「もしかすると自分では産まない」あなたに |
子どもを持つひとつの方法である、養子という選択を考えるこの企画。 今回は、Cafeglobeメンバーkyocoさんからの投稿をご紹介します。 これまでは子どもを「迎える」側のハードルや問題点を取り上げて来ましたが、 兄弟が養子だったkyocoさんの体験談は、養子を迎えた家族に対する 社会の理解の低さを浮き彫りにしています。 |
兄が養子であるとは 知らずに育った日々 私は地方の旧家に生まれ、養子の兄を持っています。兄の養子縁組の話は、高校を卒業するまでまったく知りませんでした。そもそも、兄弟であるかどうかなど、疑うことは一度もありませんでした。 兄は父の兄夫婦の子どもで、生まれてまもなく私の両親に引き取られたそうです。幼い頃の私と兄は、どこから見ても誰も疑わないくらいよく似ていました。 今では、私たちがはっきりと似ていないことが見て取れます。そして、兄が養子であることを知った現在でも、昔と変わらず兄を大切な家族と思っています。お互いにとって唯一のかけがえのない「兄」であり「妹」なのです。 |
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養子を受け入れた両親 これまで「養子という選択」の連載を読んできて気づいたのは、記事に登場されている皆さんと私の家族とのケースに圧倒的な違いがある、ということです。私の家の場合、家督相続に関わる親戚(両親ではない)などからのプレッシャーと、「血族」に対する異常なこだわりが存在しているように思います。 つまり、養子を受け入れた両親の気持ちが養子縁組に対して積極的であったか否か(あるいは受動的だったか)の違いが浮かんできました。 後から生まれた私にとって、当時の緊迫した状況が、どんなものだったかはわかりません。しかし、確か連載第3回目の記事(産婦人科の医師の方のお話)にもあったような、生みの親(兄夫婦)からの親権の主張などもあり、一度養子縁組を断念したのに、また同じ兄夫婦から養子縁組を持ちかけられたのが、今の私の兄のようです。 |
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近所のおばさんの言葉が持つ意味 今、兄は28歳です。兄が生まれた時代は、まだまだ養子縁組に対する一般的な認識が低く、地方の閉鎖的な社会環境もあって、隣近所の兄に対する眼差しの厳しさは相当なものだったと母は言います。 私自身、小学校の帰り道などで近所のおばあさんやおばさんに会うと、「お兄ちゃんは元気?」とよく訊かれていました。 何も知らない私は、兄のことを訊ねられるたびに不思議に思っていましたが、やんちゃでどこへでも出かけていく兄のことだから、何かでお世話になることもあるのかもしれないと、それほど気にとめたこともありませんでした。 兄の養子の話を母から聞き、初めてそれが「周囲からの(冷たい)視線」であったことに気づきました。 母も、その周りの目があるがゆえに、躾として兄を叱らねばならぬときに、何もしていない私を叱りつけることもたびたびあったようです(私も少し、覚えています)。 兄がよく遊びに行っていた幼なじみの友だちのご両親から直接、「お家でお兄ちゃんをかわいがってあげている?」と問われたこともあったと言います。 |
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母は必死だった 母は母なりに兄を育ててきたといいますし、私も、兄に嫉妬するほど両親が兄を見ていることもありました。 病気がちで体の弱かった兄に対して、体は小さくても健康な私。家業が忙しくあまり子どもの相手もできない両親でしたから、何かと病院に連れて行かれ母と過ごす時間が長いようにみえる兄をうらやましいと思ったこともあります。 しかし母は、人様から授かった子どもを大事に育てるために、とにかく必死だったと言います。 |
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諸事情に理解を示して欲しい そんな経験をしてきた私が今回の連載を読ませていただいて思うことは、「少しでも多くの方に、養子縁組に対して何らかの理解を持っていただきたい」ということです。 私たち家族が過ごしてきた時間の間にも、少しずつ、時代の流れは変わってきたことと思います。しかし、まだまだ日本は養子縁組などに対して認識が浅いような印象を受けます。 もちろん、すべての方に養子縁組をしてほしいというわけではまったくありません。「そうせざるを得ない」または、「あえてそうしたい」という方々が持つ諸事情に理解を示していただければと思うのです。 長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきまして、大変ありがとうございました。これからも、世の中の様々な局面を映し出すような連載をぜひ、続けていって下さい。応援しています。 メンバーネーム:kyocoさん(東京都) |
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NUMBER 第7回 今でもそのことを思うと涙が あふれてくるけれど、今ここに 自分が存在することに感謝している 第6回 今でも覚えている、近所のおばさんの 「お兄ちゃんは元気?」の意味 第5回 不妊治療、夫との摩擦を乗り越えて 最愛の息子と出会った高橋さんの場合 第4回 養子を迎えるまでの 具体的な手続きや制限とは? 第3回 送る側の論理。 埼玉県の産婦人科医の話 第2回 もう施設に返そうか―― 迷った末に見つけた愛 第1回 「不妊治療を乗りこえ、2歳の女の子を 迎えた由美さん(仮名)夫婦の場合」 |
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| illustration / Suge Mika |
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一服のもてなし 其の2 |