
IKEAデザイナーに求められる必須条件は
“ペッタンコ”にできること!
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洗練されたデザイン、豊富な種類、手頃な価格。日本市場に入ってくるやいなや、爆発的人気となった『IKEA』。日本版新作カタログの発表に合わせて来日した、IKEA専属デザイナーのひとり、マリア・ヴィンカさんに話を伺った。
「日本では青色の家具って不人気なのね! スウェーデンでは青は赤と競って人気色なのに、日本ではちっとも売れないから驚いたわ。なぜかしらね?」と表情豊かに話すマリアさんは、“近所の気さくなお姉さん”といった印象。世界中で販売されるIKEA商品の開発を一手に担う『IKEA of Sweden』のあるスウェーデン南部の村・エルムフルトに、夫と子どもと暮らしながらデザインをしている
「ビョークの曲を聴きながらスケッチをするとペンが進むの。さまざまな要素の詰まった彼女の曲に、インスピレーションが掻き立てられるみたい。エルムフルトって本当に何にもない所なのよ。だから映画、本、雑誌……たまにこうして他の国へ出かけたりと、自分で文化の補給をする機会を作らなければいけないことは結構大変」
「エルムフルトに暮らすことは一種の妥協よ!」と冗談まじりに言う彼女だが、本当のところもっとも苦労しているのは商品のサイズを考えることだそう。IKEA STOREに行ったことのある人ならご存知のとおり、IKEAの商品は購入後自分で組み立てるのが基本。大きな本棚もベッドも、運びやすいフラットパックの状態で店頭に並んでいる。
「世界36ヵ国に運ぶIKEAの商品は、ひとつのコンテナにたくさん収納できればできるほどコストを削減できる。だから例外を除いて、商品はすべて60cm×120cmか80cm×120cmに収まるようにデザインしなくてはいけないの。これが難しい。そのせいで希望のデザインが通らないときもあるわ。最もイマジネーションの使いどころかもしれないわね」
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日本では「安い」と言われる商品が
高級品になる国もある
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“デモクラティックデザイン”をポリシーとするIKEAは、より多くの人に手ごろな価格で質の良い商品を提供したいと考えている。「欲しい!」と思ったときに手の出しやすい価格は素直にうれしいが、その反面で“物の使い捨て”を促している恐れはないだろうか。
「確かに日本人の大半はIKEA商品を安いと思うかもしれない。けれど、例えばロシアやチェコでは、同じ商品が高級品と捉えられているの。世界中の誰もがまだIKEA商品を簡単に買えるわけではないわ」
スウェーデンでは家具のリサイクルがメジャーで、マリアさんの自宅にも、ガレージセールなどで手に入れた昔のIKEA商品がいくつもあるとか。
「特に1970年代のデザインはすごく素敵! ローコストでも当然耐久性を考えて作られているから、30年以上経った今でも立派に使えるわ。IKEAは決して買い替えを助長するために値段を下げているわけではない、ということはわかって欲しい」
むしろIKEAは、地球にやさしい商品開発になかなか熱心だ。昨今、試行錯誤されているペットボトルのリサイクル問題はスウェーデンでも同じ。飲み終わったボトルを手に「これを何かに活用できないか」と考えたマリアさん。その結果生まれたのが、現在日本の店頭にも並んでいる『ボールソーテーブル』だ。再生PET樹脂から出来た天板をはじめ、全体の90パーセントをリサイクル素材で作った。しかも、取り外し可能な脚の差込口はペットボトルの口と同サイズなので、購入者はテーブルの脚を自分の好きなペットボトルに代えることができるのだ。
「最初はテーブルの天板だけ売って、各自が不要なペットボトルを取り付ければいいと思った。でも、IKEAはセルフサービスがコンセプト。商品を説明する店員がいないから、きっとお客さんはこれがテーブルだと気づかないだろうって指摘されて、しぶしぶ脚をつけたの(笑)。他にも、廃棄予定のバナナの皮を使ったチェアなど環境を意識した商品作りは、今、IKEAデザイナーのみんなが精力的に取り組んでいることよ」 |
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「私たちの使命は、環境問題や
人間の倫理に携わる商品開発」
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同時にマリアさんは“人権”という大きなテーマとも向き合っている。というのも、ユニセフとの共同プロジェクト「女性を自活させ児童労働を防ぐ指導」のメインデザイナーに抜擢されたのだ。同プロジェクトの該当地になったインド北部にあるウッタープラデッシュでは、まずライフラインの確保とワクチン接種を行った。 |
「生活条件を整えるだけではダメで、肝心なのは現地の人々が自分の力で生活できるようになること。ウッタープラデッシュは元々、絨毯(じゅうたん)産業が盛んな町だったので、針仕事が得意な女性たちにクッションの刺繍を依頼することにしたの。彼女たちはそこで得た収入を糧に生活を営み、子どもたちは学校へ行くことができるようになった」
この町はIKEAのサプライヤーのひとつとして、新たなデザインができるたびに仕事が回る仕組みになっている。現在このプロジェクトに参加しているウッタープラデッシュの女性はおよそ1500グループ、2万人以上にものぼる。徐々に増員してより多くの女性の自活を促し、子どもたちを就学させることが目標だ。同じような試みが行われた村は今日までで数百にのぼる。
でもなぜ女性にこだわるのかと尋ねると「男性はお金を手にすると自分のためだけに使いがちだけれど、女性は家族のために使う傾向が高いから」だそう。男性は耳が痛い!?
環境問題や、人権に関連した商品開発こそ、今後さらに自分たちがやっていかなければならないことだと話すマリアさん。今度IKEA
STOREを訪れる際は、ぜひこれまでと違う角度から商品を見てみて欲しい。そこには、単にお手ごろ価格でオシャレなだけではないアイテムが数多く並んでいることに気づくはず。 |
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text & photos/ Shiroishi Megumi(cafeglobe.com)
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| インタビュー会場に用意されたルームセット。上からモダンスタイル、ストックホルムスタイル、スカンジナヴィアンスタイル。マリアさんがデザインしたアイテムも多くあります。日本ではシックな雰囲気のモダンスタイルが人気とか。 |
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8月初旬、日本版カタログが発行されます。昨年の280ページから、欧米と同様の360ページにボリュームアップ!
9月1日よりIKEA STOREで入手可能です。
●IKEAのWebサイト |
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