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更新日:2007年8月15日

Frill me, Thrill me!私たちが心躍るもの

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Candle JUNE(キャンドル・ジュン)さん
VOL. 27
キャンドルアーティスト Candle JUNE(キャンドル・ジュン)さん
人と人が紡ぐ光で災いが消える日
それが自分にとってのアート
Candle JUNE(キャンドル・ジュン)
1994年にキャンドルの制作を始め、販売・個展を開きつつ、数多くのショーやレセプションパーティのデコレーション、ライブステージの空間演出などを手がける。2001年に広島で「平和の火」を灯して以来、「Candle Odyssey」と称し、アメリカ、アフガニスタン、沖縄など、争いのあった地を巡り平和の火を灯す旅を始める。また、新潟中越地震では震災地の川口町を訪ねイベントを行うなど、精力的に活動を行っている。



何の為に生まれてきたのか、何をするべきか
キャンドルと対話しながら見えてきた

  『100万人のキャンドルナイト』、プラダブティック青山店のオープニングパーティ、『フジロックフェスティバル』など、国内外の多くのイベントでキャンドル・インスタレーションを行っている Candle JUNEさん。柔らかな手の温もりが残されたキャンドルに明かりがともると、雑然とした世界がゆっくりと無垢な空気に洗われていくよう。トライバルなファッションにすらりとした長身を包んだJUNEさんは、ロウソクとの出会いについて落ち着いた面持ちで語り始めた。

 「物心がついたときから、“何の為に生まれてきたのか、何をするべきなのか”という問いが自分の中にずっとあって。特にひとり暮らしをするようになって、起きている時間を、食べたり、寝る場所を確保するという、ただ自分の為だけに時間を費やしていると気づいた時には、愕然とした。そこから自分と真剣に向き合っていくための環境づくりを始めていったんです」

 クリスチャンの家庭に育った彼には身近な存在だったキャンドルを、自己と対話をするために灯し始めた。溶けたキャンドルのロウを集めて、またキャンドルを作るという行為を繰り返し、自分と、そしてキャンドルと向かい合ってゆくにつれ、もっと世界を知りたいと気持ちが湧いてきたという。

 「キャンドルはパートナー。キャンドルと時を過ごし、対話することで、その人に潜在する力が現れる。向かい合うことで自分自身をフラットな状態に整理することができる……」

 自分ひとりのものだった空間には、いつしか友が集まり、気がつけば自宅がサロンと化していた。自作のキャンドルを友に贈ったり、ともに火を囲んだりするようになった。キャンドルはJUNEさんのコミュニケーションツールになった。ミュージシャンが音楽で心を伝えるように。その頃から Candle JUNEと名乗るようになる。


今起きている戦争に反対じゃなくて
戦争というものを完全に終わりにしたい

 その後、ダライ・ラマの呼びかけで広島で開かれた世界的音楽イベント『世界聖なる音楽祭』で、平和の火を灯したことが、彼の人生を決定付けるものとなる。

 「平和の火とともに広島や長崎の被爆地を廻るうちに、なぜこんな悲惨なことが起こったのか知りたくなったんです。日本は敗戦国のイメージが強いけれど、日本がそれまで何をしていたのか、今も日本を良く思っていない人がなぜ他国に大勢いるのか、と。旅先で人々と対話を繰り返すうちに、次に目指すべき場所を自然に教えてもらうようになっていって……」

 そうして、災いが起きた場所で平和の火を灯す旅『Candle Odyssey』がスタートした。平和活動というと、理想に燃え、肩肘張っているイメージもあるが、「あくまでも自分の日常の延長にある“世界の平和”を求めているだけ」と、少しはにかんだ表情を見せた。

 「9.11の直後、アメリカを横断してグラウンドゼロを目指した。日本を経つ直前に、90パーセント以上のアメリカ人がアフガニスタンへの報復攻撃に賛成しているというニュースを聞いたんです。でも、旅で出会った人の大半が“あれは一部の人間がやっているもので、自分は反対だ”と答えた。嬉しいと思う反面、結局、アメリカ人の中でも、“自分ではない誰かのせい”にしているだけで、怖いなと思いました」

 憲法第9条で戦争を放棄している日本も、後方支援や物資協力で“すでに戦争に加担しているのと同じ”と、眉をひそめるJUNEさん

 「子どもには“悪いことをしたら謝るんだよ”と教えるよね。だから、ただ反戦を唱え続けるのではなくて、(日本が関わった戦争で)被害を受けた人たちに謝りに行こうよ、というのが自分のスタンス」

 そんな思いから、2003年にはアフガニスタンを訪ね、2005年からは終戦記念日に中国チチハルで火を灯す旅を開始した。いまだチチハルでは、旧日本軍が廃棄した化学兵器からの、化学物質の漏出による被害が絶えていない。自分と同時代に生きる人たちが、過去の戦争の被害にあっている不条理に、いてもたってもいられなくなったのだそう。

 「人間が存在する以上、戦争は終わらないという人がいるけれど、それは人が戦争を終わりにしていないだけ。だから、自分は戦争を終わりにしたいんです」


人と人が紡ぐ光で災いが消える日
それが自分にとってのアート

 では、戦争を終わりにするにはどうすればいい?

「モラルや美意識を認識しなおせば、もっと簡単に世界が変わるはず。特に、原爆を体験している日本はまだやるべきことがある。今、日本人がぐっと変われば全く違う世界になる。自衛隊だって、本当に海外で救助活動しかしていないのならば、最強のレスキュー部隊にすればいいのだし」
Candle JUNE(キャンドル・ジュン)さん

 活動は平和を訴えるのみにとどまらない。災害が起こるとどういうことが恐ろしいのか、国の対応はどうだったか、など、多くの被害者の人たちの思いを次につなげることが大切だという思いから、2005年の年明けには、中越地震で被害を受けた新潟県川口町へ、1月17日に神戸を訪れた後に向かった。

 「悲しみが生まれた所には、過去に同じような悲しみを体験した人が先輩として足を運んで“本当に大切なものが何なのか”を考える連鎖が始まればといいと思う。そして、新たな争いが始まろうとしている場所では、ほうぼうで被害にあった人達が集結して光を灯したい。ミサイルの光でなく、平和の灯を世界のメディアが捉えれば、きっとその日は戦争が止まるはず」

 いつの日か地球上から戦争が無くなったら、世界中の有志で集まって、万里の長城を1本に連なる平和の光で灯したい。それが『Candle Odyssey』という自分の作品の終着点です!と、語る。火を灯し続ける旅は、まだまだ続く……。


text / Sato Yo
photos / cafeglobe.com
 
2001年広島からスタートしたCandle Odyssey。アメリカ、アフガニスタン、カンボジア、中国、ロンドン……と、毎年世界各地を廻っている。今年も8/15から中国チチハルへ。旅の様子はCandle JUNEサイトで読むことができる。
http://www.candlejune.jp/

ELDNACS(エルドナックス)
東京・代々木上原にあるCandle JUNEさんのキャンドルを販売する直営店。キャンドルはもちろん、旅先で集めたアクセサリー、クリスタルなどと出会える。
● ELDNACS(エルドナックス)
東京都渋谷区西原3-22-10 SGビル102
tel:03-3468-5139

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