
「海猿」の海上保安官から、スゴ腕ガンマンへ 全編英語のセリフにも挑戦! |
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まもなく公開される、三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』。イタリアで作られた西部劇が「マカロニ・ウエスタン」なのに対し、ニッポンは「スキヤキ」だから「スキヤキ・ウエスタン!」というわけだ。
映画の舞台は、とある山あいの寒村。そこに眠る秘宝をめぐって、「源氏ギャング」と「平家ギャング」が対立。そこに、孤高のスゴ腕ガンマンが登場するという、平家物語と西部劇の融合(!?)ともいうべきストーリー。さらにこの映画がスゴいのは、世界公開に照準を合わせて、キャストがほぼ全員日本人なのに、セリフは全編英語であるというところ。
聞いただけでは、どんな映画なのか想像もつかないけれど、その感想はガンマンを演じた伊藤英明さんにとっても同じだったよう。
「この話をいただいたときは、正直、この映画を撮ること自体が無理だろうと思いました。設定もハチャメチャで、できあがりが想像できない。しかもセリフが英語。これは無理だろうと(笑)」
その不安も、三池監督との話し合いを重ねていくなかで、作品への情熱に変わっていったという伊藤さん。ただし、今回の役作りのためには、二丁拳銃などの拳銃さばきに、乗馬、そして英語のセリフと、相当ハードなトレーニングが行われた。
「特に苦労したのは英語ですね。ネイティブに近い発音を要求されるし、ウエスタンという、いわば時代劇で使われるような独特な言葉を使わなければいけない。抑揚のつけかたや、言葉の切り方だけでも、自分で言っているつもりのイメージと、聞いた人が受け取るイメージがまったく違うかもしれない。そういう意味でも難しかったですね。それに、自分はこう演じたい、ということを伝えるときも、英語のトレーナーの方には日本語が通じないので、直接話ができない。演じるうえで自然に出てくるアドリブのセリフも、英語では出てこない。普段の撮影ではありえない状況なだけに、もどかしさを感じました」
そんな厳しいトレーニングに励むいっぽうで、役作りのために、過去のウエスタン映画をかなり観て参考にしたのだそう。
これまで、伊藤さんといえば、『海猿』で演じた熱血海上保安官のイメージが強かっただけに、今回の役は意外に思えるかも。身のこなしや早撃ちは、西部劇のガンマンそのもの。カッコ良さにしびれます!
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無茶な設定をリアリティのあるものに変えていく 三池監督のすごさを感じた撮影現場 |
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三池監督といえば、日本でもっとも忙しい映画監督のひとり。ホラーから極道、ミュージカルまで、ジャンルを問わず撮り続け、時に過激な描写でも話題になる。伊藤さんにとっては、三池監督との仕事は今回が初めてだったが、楽しい仕事だったと振り返る。
「無口なガンマンという今回の役では、銃が重要なアイテム。三池監督は銃が好きで詳しいので、どういう種類でどんな長さの銃を使って、どっちから撃つ、といったことを細かく話し合って決めていった。その作業が楽しかったです」
作品の第一印象はハチャメチャだったけれど、演出に関しては無茶なことは一切なかったとも。
「三池監督の作品って、設定に無茶があるようなイメージがありますけど、その無茶にリアリティを持たせて面白いものにしていくのが、監督のすごいところ。『源平の戦いにガンマンが登場してウエスタンの話になる』なんて、説明されても分からないけど、それを監督が作っていくと見事にリアリティを持ってくるんです。それはすごいなと」
撮影場所は、山形県内に作られたオープンセット。朱塗りの屋敷とウエスタンの酒場が隣り合うようすは圧巻。が、悪天候に見舞われて、なかなか予定通りには進まなかったのだそう。「完成しないのでは、と思った」と伊藤さんは振り返る。
撮影期間は長くなってしまったが、その分、ほかのキャストと触れ合う機会は増え、現場は合宿所のような雰囲気だった。メンバーは、佐藤浩市さんに、伊勢谷友介さん、安藤政信さん、小栗旬さん、香川照之さん……。と聞くと合宿と呼ぶにはあまりにも豪華な顔ぶれ!!
「現場の雰囲気は楽しかったです。特に、(佐藤)浩市さんはいつも僕たちの先に立ってくれる兄貴的な存在で、すごく刺激を受けました。浩市さんを見ていると、役者って、ふだんの生活の中で、感動したり怒ったりしている経験が無意識のうちに積み重なって、それが役に活かされているんだっていうことがわかる。役者として学ぶことが多かったですね」
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ハチャメチャだけどイケてる映画 もう1回、ウエスタンをやりたい! |
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映画の公開時期を迎えた今、いちばん気になるのはこの作品がどんなふうに受け止められるかということ。
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「自分では、完成した映画を観たときの感覚が、初めて『スターウォーズ』を観たときの感覚に近いかなと思ったんです。世界観はハチャメチャだけど(笑)、イケてるなあと。だから、この映画がどう評価されるか気になりますね。特に、欧米の人たちから見て、日本のガンマンの映画がどう映るのか、すごく知りたい。ウエスタンなのに雪が降ってる、って、どうなんだろうと」
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折りしも、この作品は先日行われたベネチア国際映画祭ではコンペティション部門で上映され、その後のトロント映画祭でも正式招待作品として上映された。海外からも高い評価を受けたのは記憶に新しいところだし、世界各国での上映も期待できそう。「スキヤキ・ウエスタン」が共通語になる日が近いかも……。
最後に、次に出てみたい作品を聞くと「もう1回ウエスタンがやりたい!」との答え。
「馬に乗って銃を撃ちまくって、ならず者の中に飛び込んでいく……。ウエスタン独特の世界って、いいですよね。単純ですけど。ああいう世界に惹かれてしまいますね」
果たして、伊藤さんのガンマンは、源平のならず者の中に飛び込んで、どんな戦いを見せてくれるのか。まずはスクリーンでチェックしたい。
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text / Miyamoto Hiromi photos / cafeglobe.com
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あらすじ
壇ノ浦の戦いから数百年後の、とある山あいの寒村。その地に言い伝えられる“お宝”を探し求め、義経率いる源氏ギャング(白軍)と、清盛が指揮する平家ギャング(赤軍)が激しく対立、先住民の村人をも巻き込んで抗争の日々が続いていた。そこへ、一人の名もなきスゴ腕のガンマンが流れ着く。彼はどちらの味方なのか? 源氏と平家それぞれの思惑、駆け引き、裏切り、欲望、そして衝撃の愛が入り乱れ、戦いが始まる……。
(c) 2007 Sukiyaki Western Django film partners
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『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』
監督:三池崇史
脚本:NAKA雅MURA、三池崇史
撮影監督:栗田豊通
出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、木村佳乃、香川照之、桃井かおり、クエンティン・タランティーノ
9月15日より渋谷東急ほか全国ロードショー
(c) 2007 Sukiyaki Western Django film partners
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