カフェグローブ第35回 フリー・アナウンサー 中村江里子さん - Frill me, Thrill me! インタビュー

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更新日:2008年1月15日

Frill me, Thrill me!私たちが心躍るもの

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中村江里子さん
VOL. 35
フリー・アナウンサー
中村江里子さん
夫婦のありかたも、子育ても、
自分が気持ちよければそれでいい
中村江里子 (なかむらえりこ)
1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビ・アナウンス室に入局し、数々の人気番組を担当。1999年フジテレビを退社。その後はフリー・アナウンサーとして活躍。2001年、フランス人男性と結婚したことを機に、生活の拠点をパリに移す。2004年4月に女児、2007年3月に男児を出産。現在も雑誌・Webでの執筆活動などを続ける。著書に、『中村江里子の毎日のパリ』(KKベストセラーズ出版)、『エリコロワイヤル』(講談社)など。



“協力”ではなく“一緒にやる”子育て
やりたい仕事があれば続けるのが自然

 2007年3月に第二子を出産された中村さん。出産後すぐに仕事に復帰し、以前と変わらずパリと東京を行き来する生活を送っている。育児をしながらの仕事の時間はどうやって捻出しているのだろうか。

 「本当に毎日バタバタで。以前は、娘が幼稚園に行っている間くらいは自分の時間があったんですが、息子が生まれてからはその時間もなくなりました。朝、カフェオレを飲もうと思ってミルクをカップに入れたらそのまま夕方になっちゃった、なんてこともしばしば。今はもう昼間は無理だと割り切って、原稿を書いたりする時間は夜、子どもが寝しずまってからと決めています」

 どんなに忙しくても、中村さんは仕事をやめようと思ったことはないという。それはやはり、夫であるバルト氏の育児への協力が大きいのでは?と尋ねると「協力って感じじゃないんですよ」と笑う。

 「“協力”というと、女性がメインで男性は手伝うという感覚だと思うんですが、フランス人カップルにとって子どもというのは“一緒に育てる”という捉え方なんです。“育児に協力”という概念自体がないというか。役割として女性のほうが当然多くはなりますが、女性が出来ないことは男性がしてくれます。夫は自宅の一室をオフィスにしていて家にいる時間が多いので、私がどうしても外出しなくちゃいけないときは彼が子どもを見たりと、助け合いながらやっています。フランスの男性は基本的に女性をリスペクトしているので、仕事を持っている人は続ければいいし、結婚や育児のためにそれをあきらめるという考え方はフランスにはないんだと思います。だから私がやりたい仕事を続けているというのは驚くべきことではないんですね」


結婚、出産、育児のスタイルは人それぞれ
だからフランスの女は産んでいる!

 女性を大事にするのはフランスという国自体がそうだから、とも言えそうだ。フランスは90年代以降、少子化対策に本格的に取り組み、育児支援制度の充実に力を入れてきた。そのため、先進国では唯一、出生率が上昇を続ける国になった。中村さんももちろん、さまざまな制度を利用しているという。

 「まず、妊婦検診は健康保険が適用になるし、出産費用はなんと無料! その上、出産手当も出ます。それから子ども2人以上の家庭には毎月家族手当が支給され、託児所やベビーシッターなどの利用補助制度も。日本でいう学童保育をもっと充実させたようなシステムもあって、これも頻繁に利用させてもらっています。費用もとても安く、特に夏休みの時期には遠足に行ったり動物園に行ったりと子どもも大喜びの内容なのですごく助かってます。そのほか、会社員なら育児休業制度もしっかりしているし、復職後のポジションも保証されているみたい。出生率が上がっているのは、女性が子どもを生みたくなる社会だから、ということなんでしょうね」

 フランスでは無痛分娩を選ぶ女性も少なくない。婚外子も法律的に差別されないので、入籍しないままの“事実婚カップル”も多いという。結婚も出産も育児も、カップルの数だけスタイルがある。個人個人の多様なあり方を認める風土が、女性を“産みたい気持ち”にさせているのかもしれない。

中村江里子さん 「たとえば育児論にしても、日本だと子どもは母乳で育てるほうがいい、みたいなのがあるでしょ。でもこちらではそういう通念自体がありません。私は母乳派でしたが、友人の中には単に『授乳したくない』という理由のミルク派もいるんです。でも別に誰からも咎められたり非難されたりしない。私も日本にいた頃は、こうしなくちゃいけないとか人と違うことをすると何か言われるのではとか、そういうことを少なからず気にしていたように思うんですが、こちらに来てからは、なんでももっとシンプルに考えていいんだということに気付かされました。育児に限らず、夫婦のありかたや自分の生き方。要は自分がいちばん気持ちよくいられるスタイルを自分で選べばいいってことなんですよね」


子どもがくれる、予測できない喜び
ほかには何も要らない! と思う瞬間です

 自分らしいあり方。その言葉通り、中村さんは夫・バルト氏との生活スタイルもかなりユニーク。傍から見ると、生活感のない王子様&お姫様カップルのように見えるが、聞いてみると意外な面が窺えた。

 「うちは金銭面では完全にワリカンなんですよ。毎月の生活費として、それぞれが同額を口座に入れておいてそこから家賃も食費も全部出す、というやり方です。結婚する前から彼は『僕のお給料はそんなに多くないよ』とカミングアウトしていて、その頃からずっとそうです。あ、ちなみにこれはフランス人カップルでもめずらしいみたいですよ(笑)」

 屈託なく笑う中村さんは、気取りがなく、素のまま。世間で言われている“セレブ”というイメージには、はまり切らないところがある。

 「彼とはよくケンカもします。本当に大きな問題で大議論になることもあれば、単に私がカーッとなって機嫌が悪くなるときも(笑)。彼は、私が何も言わなかったり感情を表に出さなかったりすることのほうが不快で、わめいたり叫んだりしてくれたほうが余程いいって言うんですね。なんで納得いかないのかとか、なにがイヤなのかとかとことん話し合おうって。どんなことでも疑問に思ったことは伝えることにしているので、私たちは話すテーマが常にたくさんあるんです」

 そんな夫婦関係だからストレスもたまらない。さらにそのおかげで母親として、いつも安定した気持ちで子どもに接することができるのだと言う。

 「子育てで意識していることがあるとしたら、やはりそれは私自身の精神的安定。人間だから嬉しいことも悲しいこともあって、ときには感情的になることもありますが、ストレスを子どもにぶつけたことは一度もないですね。今の私は子どもとの時間をひたすら楽しんでいる感じ。子どもって本当に予想もつかないことを毎日してくれます。たとえば、私が眠っていたら、娘が私の顔を覗き込みに来て突然チュッとキスしてくれたり。そういう驚きや喜びに出会うたびに、ああ、もう何も要らない!って思うんですよ」

 ナチュラルで伸びやか。そして、揺るぎない自分のスタイルを持った人。たぶんそれは、持って生まれた資質だけではなく、中村さん自身が自ら選びとってきた生き方だから、しっくりと彼女になじんでいるのだろう。


text / Shibata Mari
photos / cafeglobe
 
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