
ひとりでいることって、後ろめたい?
選択肢が増えた分、悩みも複雑になる | |  |
結婚した親友が羨ましいわけではないけれど、ずっとひとりでいたいわけでもない。仕事はそれなりに順調だけれど、どこか不安。ありのままの自分を愛してくれる存在がほしいけれど、この先もう誰からも愛されないのかも……。アラサー、アラフォーのシングルキャリア女子が多かれ少なかれ抱えがちな悩みを、N.Y.を舞台にリアルな会話と設定で描いた『ブロークン・イングリッシュ』。監督は、これが長編デビュー作となったゾエ・カサヴェテス。
「この映画の構想を練っていたとき、ちょうど私自身が、周囲から恋人はいないのか、結婚はしないのかと質問されることにうんざりしていたの。ある年齢になると、女性は世間から『結婚は? 子どもは?』と迫られる。異性との関係は昔よりずっと複雑になっているのに。でも実際のところ、パートナーとなる男性を探しているシングルの友人たちも多かった。それで、ひとりでいることを後ろめたく思うことについて、突き詰めて考えようと思った、というわけ」
主人公のノラは必死にデートを繰り返すものの、付き合うたびに失敗して精神的に追い詰められていく。最初は「あなたの年頃でいい男なんて残っていないんだから」とけしかけていたノラの母親も、落ち込んでいく娘を心配して「今の女性たちはチャンスが多すぎるから、混乱するのも仕方がない」と優しくいたわるようになる。ノラの母親役を演じているのは、監督自身の母親で女優のジーナ・ローランズ。
「実生活での母は、娘の恋愛やパートナーの心配をするようなタイプではないけれど、あのセリフは母と一緒に考えたもので、この映画の中でいちばん気に入っているもののひとつ。母の世代と比べたら、今の女性は男性と同じように働けるし、自分で稼いだお金で家を買うことだってできる。それはいいことだけど、選択肢が多すぎて混乱してしまうのも事実。『今の女性たちはちゃんと選べているの?』って母に聞かれて、答えに詰まってしまったわ」
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親友のソフィア・コッポラとは
一緒にテレビ番組を制作していたことも | |
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父は“インディペンデント映画の父”と言われるジョン・カサヴェテス、母は女優、兄も姉も映画監督という映画一家に生まれ育った彼女にとって、映画を撮ることはごく自然な流れだったそう。
「私が育った家では何本もの映画が作られていたし、家族みんなが映画への愛情を持っていたわ。兄や姉に比べてデビューには時間がかかったけれど、年齢を重ねるほど自分の人生が経験できる、という父の考え方が気に入っていたし、今の私が伝えたいことを作品にできたと思う。家族は、完成した映画を観て『あなたらしいわね』と言ってくれた。それは私にとって最高の褒め言葉だったわ」
父親が有名な監督であることや、映画一家に生まれ育ったことなど共通点が多いことから、ソフィア・コッポラと比較されることも多いが、2人は長年の親友。一緒にテレビ番組を制作していたこともある。
「ソフィア・コッポラは、私のこれまで経験してきたことや苦労を知っている。だから今回の映画でもサポートしてくれたし、自分が監督した作品のように思い入れを持ってくれていると思う。私も彼女の仕事をリスペクトしているし、彼女の映画作りからも多くを学んでいるわ」
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今の自分を楽しむこと
それが運命の恋に出会う、最短距離 | |
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映画の中で、恋愛に行き詰まったノラが出会うのが、フランス人のジュリアン。それまでデートしてきた男性たちとは全く違う、自由で情熱的なタイプ。
「ジュリアンは、人生に対してリラックスしたスタンスのキャラにしたかった。世界を自由に旅して、誰とでもコミュニケーションができて、どんな状況でも楽しめるような人。ストレスや不安で凝り固まっているノラの背中を押せるのは、唯一そういうキャラクターだと思ったから。ジュリアンを演じた俳優のメルヴィル・プポー自身もとてもチャーミングで、撮影現場の女性スタッフもみんな彼に夢中になっていたのよ(笑)」
ジュリアンの出現で、本当の自分を愛してくれる存在に気付き、少しずつ心を解放していくノラ。そこからストーリーも急展開していく。
「恋愛映画を撮ったからといって、恋愛のエキスパートではないから、“運命の恋”に出会うためにはどうしたらいいかなんてことは私も分からない。でも、恋人って、すごくほしいと思っているときより、何も考えていないときにふと見つかったりするものじゃない? それに、シングルだと相手探しに必死になるけど、カップルになった途端、もっとシングルを楽しめばよかった……、なんて思うもの。だから『いい男がいない』なんて嘆くより、今の自分を楽しむことがいちばんの近道なんじゃないかしら」
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text / Miyamoto Hiromi
photos / Nishinaga Tomonari
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映画『ブロークン・イングリッシュ』のあらすじ
N.Y.のホテルでVIP応対係として働いているノラ・ワイルダーは、30代で独身。親友は結婚し、母親はことあるごとにノラの行く末を心配する。デートを繰り返しても失敗の連続で、もう自分を愛してくれる人は現れないのではと不安に苦しむ日々。そんなある日、魅力的なパリジャンのジュリアンから情熱的なアプローチを受けて戸惑うノラ。ようやく心を開きかけたときに、ジュリアンは「パリへ帰る」と宣言。一緒に来て欲しいと言われるが……。
(C) 2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures |
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『ブロークン・イングリッシュ』
監督・脚本: ゾエ・カサヴェテス
出演: パーカー・ポージー、メルヴィル・プポー、ジーナ・ローランズ、ピーター・ボグダノヴィッチ
12月13日より恵比寿ガーデンシネマ・銀座テアトルシネマ他全国ロードショー
●『ブロークン・イングリッシュ』のWebサイト |
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