
“死ぬよ”って言われて必死になった
体に気を使うと環境が気になってくる
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「オバマが大統領になって、NYにも活気が戻ってきたよ」と坂本さんは言った。そのオバマ大統領は、環境・エネルギー分野への公共投資で200万人の雇用を創出し、化石燃料依存から脱却した環境・経済の両立を目指す“グリーンニューディール政策”を唱えている。坂本さんもまた、環境問題に積極的に取り組むひとりだ。
「僕のレーベル“コモンズ”では、08年6月から発売しているすべてのアイテムをカーボンオフセットしています。僕のライブツアーやツアーリハーサル、そして、そのライブに来てくれるお客さんのチケットまで、レーベル運営に関わるすべてをこの考えのもと行っています」
カーボンオフセットとは、その活動により発生する二酸化炭素などの温室効果ガスを算出し、その分を植林・森林保護・グリーンエネルギー事業などによって相殺し、CO2の排出を実質ゼロにする=オフセットしようとするエコ活動だ。
「01年のツアーからグリーン電力を導入しています。当時は風力・太陽・自転車発電などで電気を作っていたのですが、必要な電力の10%くらいしかまかなえませんでした。05年以降は、“グリーン電力証書”という自然エネルギーによって発電された電気の環境付加価値を認証で取引する仕組みを使って、100%グリーン電力でのライブを実現。アルバム『out of noise』では、僕や細野晴臣、高橋幸宏、中沢新一、桑原茂一の5名が発起人になっている“moreTrees”という環境保護団体の植林・森づくりによりカーボンオフセットが実行されます。今は高知県に2つの森を所有しているのですが、近々フィリピンにこの10倍の広さの森をつくり、CO2の吸収量を増やしていく予定です」
かなり早い時期から環境問題に向き合ってきた坂本さん。問題意識を持つきっかけは“手相占い”だったそう。
「42歳のころに、大貫妙子さん(歌手)に手相を観てもらったら、“あなた、死ぬわよ”って言われたんですよ(笑)。アセリましたね。まだ死にたくないから体に気を使うようになって、整体やマクロビオティックを始めました。自分の体に関心を抱くと、安全な食品、キレイな水、キレイな空気が欲しくなる。今まで汚していた人間なのに、エゴでしょ? でも、環境のことは自分ひとりではどうすることもできない。このエゴを実現するために皆でやるしかない。エゴから発生するエコ(笑)」 |
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北極圏に魂を置いてきてしまった
遠い空の下、温暖化を日々チェック
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アルバム『out of noise』レコーディングの最中に、地球温暖化の最前線ともいえるグリーンランドの北極圏を旅した坂本さん。科学者とアーティスト40人がアートを通して気候変動への対応を模索する“ケープフェアウェル”というイギリスのプロジェクトへの参加だった。
「北極圏の風景は衝撃的でした。見渡す限り、水平線まで氷と水の世界。とても寒くて、木も1本も生えていない。その風景、体験が自分の中でまだ咀嚼できなくて、上手く言葉にすることができません。アフリカを訪れた時の印象も強烈だったけど、アフリカは生物もいっぱいいるし、人類発祥の地。なんだか故郷に帰ってきたような、ホッとする感じだった。北極圏は、真逆ともいえるとても過酷な土地なのに、不思議と“また行きたい”と強く思ってしまう……。帰って来てからも毎日googleでグリーンランドの天気と気温をチェックしてしまうんです。ま、天気は毎日のように“雪”なんだけど(笑)。でも暖かい日が続くと気になって、仲良くなったイヌイットの女性に“大丈夫?”ってメールしちゃう。なんだが魂を置いてきてしまった気分です」
この旅で録音した氷の音、水中の音、犬ぞりを牽く犬の鳴き声などの音がニューアルバムの中にも響きの一部として使われている。
「グリーンランドを気にしながらも、森を見に行った高知で食べた“かつおのたたき”の美味しさにカルチャーショックを受けたり。人も良いし、高知に住んでもいいかな……、なんて。でも京都も好きだし、NYも東京も好き。地球ってどこも素敵ですね(笑)」
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text / Sakamoto Yukari
photos / Hanawa Hiromi
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アルバム『out of noise』
(写真はパッケージレス盤)
5年ぶりのニューアルバムは、ピアノの音をメインにさまざまな音の“響”により曲が構築されている。「純粋に聴きたい音を集め、作りたいものが作れた。花鳥風月のようなアルバム」(坂本さん)
2009年3月4日発売。3月18日からは全国ツアー「Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009」がスタート。100%グリーン電力を使用し、ツアー全体で排出されるCO2は、想定される排出量の全てをカーボンオフセット。チケット料金には、日本国民1人当たりが1日に排出するCO2約6kgのうち、1kg分をカーボンオフセットする費用が含まれている。また、その日のライブを24時間以内に配信するという試みも行う予定。
●『音楽は自由にする』 新潮社
2009.02.27発売 1,785円
57年間の半生を自らの言葉で語り、振り返った初の自伝
●坂本龍一さんのエコトークショウに参加!
●カーボンオフセットとは?
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