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更新日:2009年5月19日

Frill me, Thrill me!私たちが心躍るもの

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役所広司さん 瑛太さん
Vol. 70
俳優
役所広司さん 瑛太さん
自分は過去から未来までつながっている
そう思えば大切な人との別れも寂しくない
役所広司 (やくしょこうじ)
1956年生まれ、長崎県出身。今村昌平、青山真治、周防正行といった日本を代表する監督たちの作品に出演するほか、『SAYURI』、『バベル』、『シルク』といった海外作品にも出演。公式サイトはhttp://yakushokoji.cocolog-nifty.com/
瑛太 (えいた)
1982年生まれ、東京都出身。2001年『青い春』でスクリーンデビュー。『のだめカンタービレ』、『ラスト・フレンズ』などのテレビドラマでも活躍する若手俳優。年内の待機作に『ディア・ドクター』、『なくもんか』がある。公式サイトはhttp://eita-area.com/



仏壇をキレイにするといいことが!
ガマの油売りのおじさんに言われたこと

 「サアーサアーお立ち合い! ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで……」と始まる「ガマの油売り」の口上。「ガマの油」とは彼らが巧みな話術と演技で、江戸時代から全国で歩き売りをしてきたという薬で、鏡に映った自分の醜さに驚いたカエルが流した脂汗をすくって煮詰めたもの。切り傷などに効くというが、効能はかなり怪しい……。

 そんなうさん臭い商品をタイトルにした映画『ガマの油』は俳優の役所広司さんの初監督作品。元となる脚本に役所さんが幼い頃体験した「ガマの油売り」の話を加えた。


役所:「田舎の春のお祭りに、ガマの油売りのおじさんがいてね。その口上のあと、『仏壇をキレイにするといいことがあるぞ』と言われたんでやってみたんですよ。大人になってもなぜか胸に残っている、そういうエピソードも盛り込んでいます」

 主人公は、役所さんが演じる破天荒なデイトレーダーの矢沢。ある日、一人息子の拓也が、少年院から出所する幼なじみを出迎えに行く途中、交通事故に遭って意識不明の重体に陥る。この事故をきっかけに、矢沢と周囲の人たちとの関係は少しずつ変わっていく。矢沢の記憶の中にいた「ガマの油売り」も時空を超えて登場する。

 薬としては効かないガマの油。でも、この映画はじわじわと効いてくるのだと、息子の拓也を演じた瑛太さんは言う。


瑛太:「ラストシーンですべてが救われる、という感じがします。完成したこの映画を観たとき、色んな仕事を頂いて頭がパンパンの状態だったんですが、ちょっと気持ちがラクになりました。『ああ、生きていればいいや』と。『ガマの油』には人生に関するいろんな要素が入っている。それをSFというか、夢と現実を行き来しながら描いているところが面白いと思います」



役所監督の作品に出られるのなら
何がなんでもやりたい!

 役所さんがこの作品で伝えたかったのは、大切な人を思い続ける気持ちや先祖を敬う気持ち。それを繊細に表現するのではなく力強く描きたかったという。そのポイントとなっているのは笑いの要素。

役所:「自分が過去から未来にまで永遠につながっていることが想像できれば、大切な人との別れも寂しくないし、だったらやがて再会するまでせいぜい笑い飛ばして生きていこうと思える。観終わったときに晴れ晴れとした気持ちになれる作品を撮りたかったんです」

 ただ国内外でたくさんの監督たちの現場を経験してきたものの、自分がメガホンを取るとなると不安も多かったという。

役所:「自分が監督をしてこの映画ができあがるのだろうかという不安が常にあって、企画がどんどん進む中で徐々に覚悟を決めていったという感じでしょうか。自分は俳優としても出演しているので、生では観られないシーンも多く、その分スタッフとキャストの皆さんには本当に支えていただきました」

 役所さんが監督すると聞いて、「それならぜひ!」と集まってきたキャストやスタッフたち。拓也を演じた瑛太さんもそのひとりだ。ドラマや映画、CMなどの仕事で超ハードなスケジュールの中、この役はどうしてもやりたかったのだとか。

瑛太:「役所さんとご一緒できる、それも息子役。それだけでものすごく興味がありました。台本も面白かったし、これは何がなんでもやりたい!という気持ちでしたね。現場でも自分の演技について絶対にこれだ、と考えないで、判断に迷うところは役所さんにどんどん相談していました」



瑛太君は拓也そのもの
ただ立っているだけでいい

 拓也はちょっと古風で包容力のあるキャラクターで、役所さんが「こんな息子がいればいいなあ」と考える理想の息子像。早い段階から「瑛太君がやってくれたら」と思っていたそう。そんなラブコールに応えた瑛太さんに初めて会ったとき、まさに拓也はこういう子だ!と確信したという役所さん。監督として瑛太さんに望んだのは「そのままでいること」。

役所:「初めての撮影で瑛太君が走っているのを見て、ああ、拓也はこんなふうに走るんだろうなと何の疑いもなく思えた。他のキャストの方にもそうですが、瑛太君にものびのびやってもらえばいいと考えていました」

 そのままそこいるだけで親子の雰囲気を醸しだす役所さんと瑛太さん。その自然なたたずまいについてはスクリーンでぜひ確かめてほしい。最後に監督として、俳優の先輩として、役所さんに瑛太さんへのエールをお願いした。

役所:「瑛太君は素直というか、自分に正直な芝居をする人なので、これからも感じたものを信じてやっていけばいい。俳優は歳をとることで役柄もどんどん変わっていくから、ひとつひとつ着実に経験していけばいいんだと思う。これからが楽しみです」



hair & make-up / Hayama Mikiko(Yakusho) , SHUTARO(Eita)
styling / Majima Kyoko(Yakusho) , Izuka Keita(Eita)

text / Miyamoto Hiromi
photos / Hanawa Hiromi
 
映画『ガマの油』 『ガマの油』
監督:役所広司
出演:役所広司、瑛太、小林聡美、二階堂ふみ、八千草薫、澤屋敷純一、益岡徹
公式サイト http://gama-movie.com/

役所広司初監督の作品は、心温まるファンタジー
一晩で巨額の金を動かすデイトレーダーの矢沢拓郎(役所広司)。ある日、一人息子の拓也(瑛太)が、少年院から出所する幼なじみの秋葉(澤屋敷純一)を出迎えに行く途中で交通事故に遭い、意識不明の重体に陥る。翌日、事故のことを知らない息子の恋人・光(二階堂ふみ)からの電話に出た拓郎は、思わず拓也のふりをしてしまう……。役所広司初監督作品。
(c) 2008「ガマの油」製作委員会
6月6日より丸の内TOEIAほか全国にて公開



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