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読むだけで世の中がわかる「超・常識塾」へようこそ! ここは、エコノミスト浜 矩子塾長が、あなたの「常識」を問う“バーチャル塾”。 身近なお金まわりのことから、政治、世界情勢まで、今、私たちリアルキャリア世代の女性が 注目すべきトピックスを、塾長がダイナミックに斬っていきます。ここさえ読んでおけば、 「常識を超える常識」が身につくことは太鼓判。塾生のみなさん、ついてきてくださいよ! |
塾生 またまたイラク問題です、塾長! 世界的には反戦の気運が高まっていますね。 塾長 2月15日には、世界同時反戦デモがまたありましたが、M塾生も参加したそうですね。 塾生 渋谷を練り歩いてまいりました。5000人ほど集まったそうです。ヨーロッパの国々では50万、100万人という規模だったそうですが、国自体のポジションは、それぞれ思惑があるにせよ、武力行使支持と査察継続の2つに分かれて(*1)きています。ヨーロッパ事情に詳しい塾長は、この状況をどうご覧になりますか? 塾長 ある意味では予想された構図ですね。英米同盟vs独仏枢軸という構造。あたかも、1960年代初頭の状況に通じる雰囲気があります。 塾生 その頃、どんな背景があったんですか? 塾長 統合の動きが出始めたんですが、イギリスはもともとEUに参加しないと言っていたんです。それが、1970年代に入ってようやく加盟。大陸ヨーロッパから見れば、イギリスはアメリカの回し者だという感覚がありました。フランスの故ド・ゴール大統領は「イギリスはアメリカのトロイの木馬だ。中に入れたら、アメリカがドッと押し寄せて来て、せっかく統合しても全部牛耳られてしまう。あいつらを入れてはダメだ」と言っていたほどです。イギリスも、ヨーロッパの一員となるのか、大西洋同盟を遵守するのか迷ったし、世論も千々に乱れていました。 塾生 たしかに、今のイギリスと重なりますね。世論は反戦でほぼ統一されているようですが。 塾長 ええ。また、今回は、ドイツが言ったことに対してフランスが同調し、最近ではフランスのほうが前面に出てきています。この点も面白いですが、こうした問題に対し、この二国の主張が違ってしまえば、EUを存続させることはできません。まったく同じでなくても大きいところで同じでないと。今回のイラク問題は、両者が寄り合いやすいテーマのようです。 塾生 アメリカの一方的な態度に対して、結束していると。 塾長 はい。大陸ヨーロッパが、ブッシュの振り上げたこぶしをめぐって出てきちゃった。それが今の状況です。
塾生 今の状況を見ると、ヨーロッパとひと言でくくっても、やっぱり国ごとに主張を違えているし、それを明確にすることにも躊躇していないようですね。 塾長 そうなんですが、そもそも、こんなふうに分裂しないように進めてきたのがEUです。イギリスは入りませんでしたが、通貨統合が行われた今、この次は政治同盟の強化です。そのためのひとつの要は、EUとして共通外交政策を構築すること。その非常に大きなテーマに向かって、落ち着いて議論しようという矢先に、今回のイラク問題。半世紀かけて形づくってきた統合体が、ここに来て二分してしまった。対立の構図を避けたいがために作ったものが、今や分裂する可能性をはらんでいる。そう考えると、恐ろしいものがあります。 塾生 統合の流れが、逆戻りしてしまったんですね。 塾長 一気に最初の状況に戻ってしまった。もっとも、ドイツとフランスが、これで袂を分かつことができなくなったのは、幸いだと言うべきです。このところ結束が危うかった二国が、また仲よしになるのはいいことだと。しかし、EUの内部の事情でないことで主張が割れたということは、非常に難しい問題を提示しています。 塾生 アメリカとイラク間以外のところでも、揉め事の火種が起きつつある。 塾長 イラク問題が一種の踏み絵になっている。あとは、感覚的な問題ですが、独仏が非常に勢いを持って立場を主張していることも、面白いと見ています。 塾生 アメリカ以外の国の政治家が、勢いよくスピーチしている姿、最近のニュースではよく見かけます。 塾長 国連の安保理でのドビルパン仏外相のパフォーマンスなどですね。もちろんいろんな下心があるわけですが、やはりM塾生をはじめ、グローバルな世論、市民の思いが、彼らの方向性を支持している、時流に乗っているのは自分たちのほうだとわかっているから、あれだけ颯爽としていられるんだと思います。
塾生 かたやブッシュは、ますますイッちゃってる感を漂わせていますね(笑)。 塾長 それに、トニー・ブレアの無能ぶりは大変なもの。BBCで、反イラク攻撃を訴える市民の小グループとブレアの対話集会を見ましたが、97年に颯爽と出てきた“若大将”のイメージとは全然違って、眉間に縦ジワ、目の下シワシワと、やせ細ってツラそうでした。彼のやつれぶりは、彼が守ろうとしている立場がいかに人々の思いに反しているかをよく表している。そこまでして、なぜ彼がブッシュと運命を共にしようとしているのか、わかりません。友情ある説得をするのか、あちらに引っ張り込まれるのか。難しい立場に、自分自身で追い込んでいるように思います。 塾生 イギリスの世論も、実に95%が戦争に反対していますし。 塾長 ええ。ブレアは「人々の思いなんてすぐ変わる」と言ったそうですが、民主主義体制のもとで選ばれた人が国民の意向を無視してもいいのか、という議論にもなる。とにかくイラク問題は、ヨーロッパの中の合従連衡の構図、イギリスのヨーロッパとの距離感などを、あらためて露呈した。ユーロも、消去法で強くなってきているし、ヨーロッパも振り回されています。 塾生 ヨーロッパの中に亀裂が生まれるのは、世界的にもマイナスになるのではないですか? 塾長 そういう意味でもラムズフェルド国防長官の発言(*2)は、迷惑もいいところです。ヨーロッパとしてやっと埋めた傷をえぐり出すようなことを言う。彼はブッシュほどバカではありませんから、一段とタチが悪いです。 塾生 では、日本はどうでしょう。徐々にアメリカ支持を表明していますが、最近までは川口外相がはっきりと立場を言うことは国益に反するとも言ってました。態度をあいまいにするのは、昔から日本の常套手段とはいえ、実は判断してなかったりして……。 塾長 判断していないんでしょうね、やっぱり。「国際協調を、国際世論の動きを見て判断する」って、国際世論ははっきりしているし、国連においてもマジョリティは武力行使に反対。それに従うなら、日本も攻撃反対になるはず。まったくナンセンスな立場です。 塾生 日本国内で態度をあいまいにしつつ、国連の場ではアメリカに賛同するよう働きかけてもいた。裏切られた気分です。 塾長 まったくバカげてる! 二重に許せません。 塾生 デモの規模を見ても、ヨーロッパの人たちには切迫感がある。でも、私たち日本人にだって、切実な問題。このまま流されたくはありません! ※次回をお楽しみに! illustrations / Yamamoto Masako editor / Yawataya Mayumi |
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