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読むだけで世の中がわかる「超・常識塾」へようこそ! ここは、エコノミスト浜 矩子塾長が、あなたの「常識」を問う“バーチャル塾”。 身近なお金まわりのことから、政治、世界情勢まで、今、私たちリアルキャリア世代の女性が 注目すべきトピックスを、塾長がダイナミックに斬っていきます。ここさえ読んでおけば、 「常識を超える常識」が身につくことは太鼓判。塾生のみなさん、ついてきてくださいよ! |
塾長 まず、パレスチナ問題(書籍版『超・常識塾』参照)やロードマップ(*3)はこれまでにも取り上げましたね。オスロ合意(*4)でパレスチナの暫定自治ができたのを踏まえて、アラファトが初代の自治政府の代表になった。その人が亡くなった今、暫定自治協定ができたときの立役者たちは、クリントンを除けば全員死んでしまったことになります。 塾生 立役者というのは、暗殺されたイスラエル前首相のラビン(*5)に……。 塾長 アラファト、ヨルダンのフセイン前・国王。クリントンも表舞台からは退いていますから、言ってみれば、アラファトがオスロ合意に関わるプロセスの最後の生き残りだった。さぞや孤独感があったでしょうね。 塾生 一緒に合意に取り組んだ人がいなくなってしまって、という意味でですね。 塾長 そう。ラビンさんが暗殺されたとき、アラファトさんは素直に全身でショックを表してました。宿敵でありながら、共存を模索するプロセスを共に歩んだアラファトとラビンとの関係は、アラファトの死にまったく感慨を示さなかったイスラエルの現首相アリエル・シャロンとは対照的です。 塾生 訃報を受けてシャロン首相は、「転換点」と言ってましたけど。 塾長 そう言ってますね。これからようやく自分が交渉できる時代にパレスチナ側も入ったか、という意味にとれなくもない。シャロンからしてみれば、自分の登場以前にでき上がった図式と対峙してこなくてはならなかった。アラファトのパートナーは故・ラビン首相でしたから。全然反りが合わなかったんでしょうね。シャロンが意固地になったから、今のように状況が悪くなったわけですし。双方耐え難きを耐えて、イスラエルが占領したところを明け渡すとしたオスロ合意は、本当に大きな一歩だったのに。 塾生 ラビンが死んで、それが反故になったんですよね、たしか。 塾長 住んでる世界がまったく違う2人だったということが、シャロン首相の「転換点」という言葉の中に込められていると思います。自分もこれからは和平に向かうぞ、という意味を含んでいることを願いますけどね。シャロンの顔を見ているとどうも……本当のところはよくわかりませんね。
塾長 中東和平という観点からすれば、ロードマップのプロセスを、パウエルさんのいないアメリカがどう受け止めていけるのか、気がかりに思いますね。「多角的な国際合意のもとで世界と共に」というのがパウエルさんのスタンスでしたから。 塾生 アメリカ政府内で唯一の国際協調路線の穏健派が辞めちゃうと、どうなるんでしょう。 塾長 これまでの中東和平プロセスは、パウエル的外交のほうがうまく行くはずのものでしたから、彼のような人がアメリカ側にいなくなったのは、非常に懸念されます。アラファト時代の終焉とパウエル辞任のニュースは、直接的には関係ないものの、大局的に見ればつながりがある。ネオコンになる以前のアメリカの世界との関わり方は、少なくとも、パウエルさんが自分に活躍の場所があると思えるようなスタンスでしたが、シャロンとラビンの中東和平への関わり方が違うように、これからのアメリカの世界への関わり方は、それとは違ってくるのかもしれませんね。 塾生 でも塾長、ラビンさんが亡くなってオスロ合意が反故になったり、パウエルさんひとりで国の方向性が変わったり、国と国の関係なのに、個人が変われば状況が変わるって、不思議な気もします。 塾長 国と言えども“人”ですから。ロクでもないヤツが上に立てばロクでもないことになる、という表れですよ。 塾生 では、国際情勢的に時代の転換期にある今、私たち塾生は何をどう見ていくべきなんでしょうか。 塾長 これからどこに向かうか、難しい局面ですからね。最悪の方向に行くかもしれないし。残念ながら、そのほうが想定しやすい。むしろ、最悪の方向に行かないためにはどうすべきかを考える場面ですね。アメリカがこれだけの一国主義の権化になってしまった今、それを牽制できるのは日本ですから。 塾生 ブレア首相がブッシュ大統領に会って、中東和平の打開に向けて説得しようとしたらしいですけど。 塾長 ブレアはもうダメでしょう。今、アメリカにお金をいちばん貸しているのは日本と中国ですよ。 塾生 中国もなんですか? 塾長 はい、だんだんと。もちろん、圧倒的には日本。その、中国と日本が一緒になって「もう貸さない」となれば、メインバンクがダイエーにもう援助しない、というのと同じこと。つまり、貸す側がしっかりすればいいんです。 塾生 日本こそ、多国協調路線をしっかり守るべきだということですね。 塾長 そうそう。威張る必要はないし、威張れる筋合いでもないですが、なんだかんだ言って、本当に世界平和のために奔走できる立場にいるのは日本なんですよ。
塾長 溜めてしまっていると、前向きな発想ができないんですよね。私なんかもいろいろ溜めてると、今いちばんやるべきことができないですから。 塾生 うわぁ、心あたりありまくりです、それ(笑)。日本の国も、過去の清算で手いっぱいなんでしょうね。 塾長 個人レベルでは、「もーしょうがないっ!」なんて無視して突っ走ればなんとかなるかもしれませんが、国と国との関係じゃあねぇ。日本は怠慢ですよ、そういうところが。逆に、まじめなのかもしれませんけど。 塾生 まじめ? 塾長 もちろんすべて大きな問題ですが、目先の課題をクリアしなければ、将来の展望を持ったリーダーシップがとれない、って態度がね。実は“大国”なんだけど。 塾生 うーむ、大国なんて思えないです。国連安保理の常任理事国になりたいとかは言ってますけど。 塾長 言ってるクセに、それに値する大国的観野はない。そんな日本とは対照的に、お家の事情はめちゃくちゃで威張れる筋合いじゃないのに、ここぞという場所では平気で堂々としちゃう国もある。フランスなんかまさにそう。あのドピルパン外相(当時)の国連の場におけるパフォーマンスを思い出して下さい(*2003年2月27日参照)。日本にもあれぐらいのハッタリがあっていいんですよ。国力は、ほかの国がおよばないほど十分にあるんだから。 塾生 なんでハッタリできないんでしょう。自信のなさでしょうか? 塾長 戦争の反省の上に立ってのことならいいですが、第2次大戦以前から、国際舞台での日本の態度は、どうも内弁慶ですね。中で大言壮語していても、対外的な場で真摯な声を発しない。 塾生 欧米には大きなこと言えないけど、アジアには威張っちゃう、みたいなところもありますよね。 塾長 本当に誠意を持って、がんばるべきときが今。突如として、“自衛軍”などという概念を持ち出して憲法改正を叫ぶよりは、もっともっと別の形で国際貢献できるし、すべきだと思います。けしからんですよ。現状はどうあれ、世界で唯一の平和憲法を持っている国だからこそ、胸を張って世界平和のために奔走できるということでしょ。核兵器を振りかざしながら世界平和を語るのとは訳がちがう。無防備な日本だからこそ、平和に語るときに説得力がある、ということじゃないのでしょうか。 塾生 平和に関しては、世界に威張れる既成事実はありますよね。戦後、国として1人も他国人を殺してないとか。プレゼン能力が低いのかなぁ。 塾長 表舞台に立っている人が、頭悪いのか、正直すぎるのか、両方なのか。うーむ。 塾生 世界のために奔走するなんて、日本には荷が重いんじゃないか、なんて言ってる場合でもなさそう。 塾長 それはナンセンス! こんなに国力も優秀な人材もある国なんですから。明らかにひとつの時代が終わり、過去にイニシアティブをとっていた人が誰一人それができなくなっている今、少しでも役に立てるとしたら……それはやはり日本です。 塾生 新しい時代か……。ここでみなさんにお知らせですが、超・常識塾も次回から装いを新たにヴァージョンアップします。 塾長 時代の転換期に、次のフェーズにみなさんで行くわけですね。しかし、装いは新たになっても、“三つ子の魂は百まで”ですから、心は同じですよ! 塾生 はい! みなさん、楽しみにしててくださいね! illustrations / Yamamoto Masako editor / Yawataya Mayumi |
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