Cafeglobe(以下C) 今回のお題は「外貨準備高で、中国が長らく世界一だった日本をついに抜いた」です。つまり、世界でいちばん貸しているお金が多い国に、中国がなったということですね。お金持ちですねー、中国。
浜さん(以下H) お金持ちかというと一概には言えませんが、外貨準備高が大きければ世界で大きな顔ができるのは確かです。発展途上国の場合、外貨準備高の不足で経済成長に足かせがかかるものなんです。つまり経済成長をしたくても、原料を輸入すると国際収支がすぐに赤字になってしまう。外貨を持っていない国が赤字になれば、その通貨の信用が下がり、為替切り下げを求められたり、市場で自国通貨がたたき売りの対象になる。結果的に、たとえば日本であれば超円安になったりしてしまうわけです。日本も昔はこれに苦しんだんですよ。外貨準備高がたっぷりあれば、周りの国々も安心しますから、為替切り下げ圧力の対象になるという制約から解放されるということなるわけです。それだけ、世界経済の舞台で信用される国になるということですね。
C 日本の外貨準備高は財務省のWebサイトで公表されていますが(※1)、それを見ると、4月7日時点での日本の外貨準備高は8520億ドル、ざっと100兆円(すごっ)。日本の外貨準備高はいつごろから増え始めたんですか?
H 1960年代から徐々に増え始め、世界一位になったのは1980年代ですね。いみじくも、バブル経済化に向かう中で、日本的「KEIEI(経営)」がもてはやされていた頃です。そこからじわじわずっと膨らんできています。
C 中国が急激に外貨準備高を伸ばしてきたのは、中国の物が世界中で売れているからだそうですね。
H 輸出が増えて企業が外貨を稼げば、企業はその外貨を自国の通貨に換えるのが基礎的行動です。そのまま外貨で運用する場合もむろん多いですが、民間部門の外貨稼ぎが増えれば、その換金を通じて巡り巡って国の外貨準備が増えることになります。もう一つのルートが為替介入です。自国通貨に買い圧力がかかった場合、通貨当局は自国通貨を売って外貨を買いますから、その結果として外貨準備高が増えることになります。
C 外貨準備高で中国に抜かれたことを、日本としてはどう考えればいいんでしょう?
H 考えてもしょうがないですね(笑)。中国の成長率のすごさに瞠目し、すごいなぁとあらためて実力を評価することは大切でしょう。むしろ、中国が外貨をどんどん増やしているということは、日本がこれまで一手に引き受けていたアメリカの借金を、中国も一緒に支えてくれるようになってきたということ。日本の肩の荷が少し軽くなるという喜ばしい面もあるわけです。
C そうか、「外貨」準備高と言っても、その大半はアメリカドルだそうですね。
H そう。中国はしたたかですから、アメリカドルを買い支えながらも、そのことを材料にすでにアメリカをきちんと脅している。自分の責任で赤字が溜まっているくせに、人民元を切り下げろとか、まったく礼節のない野蛮人めと。
C お金を貸してあげているわけだから、日本だってアメリカに対してもっと強い態度をとってもいいのではないでしょうか。
H 以前にも触れましたが(第11回参照)、アメリカにとって日本はもうメインバンクです。メインバンクは本来借り手に対して箸の上げ下ろしにも文句を言うくらい厳しいものであるべきなんです。いってみれば、アメリカに対する債権こそ、日本というメインバンクにとって最大の不良債権だという面があります。ですから、管財人としてガンガン文句を言っていい立場に日本はあるわけです。まぁそこまで言わなくても、真の友情ある説得者、善良なる管理者として日本がアメリカに物を言うべきなんです。その点、もうひとりメインバンク仲間が、それもちょっと意地悪な仲間ができたわけですから、ちょっと横目で見習ってみるのもいいのでは。
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ドル暴落から世界恐慌へ……!?
ギリギリで賄われている世界のドル
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C 『ビッグイシュー』誌の原稿の中で浜さんが触れておられますが、これからドルが暴落する可能性というのは、本当にあるんでしょうか?
H これはもう本当にあると思いますね。ドル暴落の可能性はもうずっと、我々の上にダモクレスの剣のように常にぶらさがってきているわけです。プラザ合意のあたりもそうでしたし、ブラックマンデーもそうでした。そのたびごとに日本を始めとした国々がドルを買って必死で買い支えてきたわけです。
C アメリカの景気はまだまだいいと報道されていますが、それでも?
H いままでアメリカがあんなに赤字でも景気よくやってこられたのは、不況の日本の中で行き場がなかった円がドルになってアメリカに行っていたからです。でも今日本の景気がよくなってきて、日本の資金が日本の中で回るようになってきていますから、今こそ可能性が高まってきていると言っていいんじゃないでしょうか。
C ドルが暴落したら、世界中大変なことになりますよね?
H まず、ドルをいちばん持っている中国と日本が大損失ですね。世界中でも大損をする人が大勢出てきて、アメリカ株も暴落するでしょうから、売りが売りを呼んでもう果てしない……
C 恐慌……ということですか。
H どの国もそれを避けたいから、日中を始め、ドルが暴落しないように必死で買い支えるでしょう。まさにアメリカが大きすぎて潰せないからみんなで面倒を見ているわけです。