Cafeglobe(以下C) 最近、テレビのニュースや新聞で頻繁に耳にする「いざなぎ超え」。1965〜70年にかけての好景気「いざなぎ景気」を超えて至上最長の景気拡大になりそうだ、いや確実だと、なんだか政治家さんや新聞社さんは嬉しそうです。でも私たち一般人は「史上最長の景気拡大」なんて言われても、まるで実感がないです。「はぁ?」って感じで。
浜さん(以下H) まさにその普通の人々の肌感覚のほうが正しいんですよ。そもそも景気が持続的に拡大しているということだけで騒ぐこと自体がおかしいですね。いざなぎ景気といわれたあの時代には、日本は今の中国のような発展期で、年に7%なんていう急成長を遂げていたわけです。
C それが57ヶ月も続いたのだから、本当にすごかったのでしょうね。働き始めて以来ずっと不況の私たちからすればすごい時代だったんだろうなぁ。体験してみたかったです!
H それにくらべて、今はいちおう拡大していると言いますけれど、3年でやっと2%くらいの成長です。いざなぎのときには、「3C」あるいは新三種の神器(旧三種の神器が冷蔵庫と洗濯機と電気釜でした。時代を感じちゃいますね)といわれたカー・クーラー・カラーテレビを誰もが本当に欲しくて右往左往していたけれど、今は「プラズマだ!」とか言っても結局3Cのような売れ方をしているわけではありません。個人の物に対する充足感はかなり強くて、一方でお給料はあまり伸びないし、正社員でもないという人たちが多い。いざなぎのときとはもう歴史的にまったく違う局面にあるわけです。それを長さだけ比較して「いざなぎを超えるなんてすばらしい」なんていうのは、はっきり言ってまやかしなわけです。
C 政府の自画自賛というか、お手盛りというか、自己アピールなわけですね。
H 景気拡大こそは続いていても、その中で痛んでいる人たちはむしろ増えているわけです。逆に言えば、これだけ長く景気拡大しているのに、こんなにアンハッピーになっている人たちが増えているというのはどういうことか、それを受け止めるべきです。再チャレンジ可能な社会を目指して立候補しますなんて言っているボクちゃんがいますが、彼は本当にそういうところを具体的に考えているのでしょうかね。
C 熾烈なグローバル競争の中で、成熟経済と高齢化社会を抱えてどう賢く生き抜いていくかを考えなければいけない時代か……。経済学的に見て、答えは見えているんですか? 経済学の本当の目的って、人が真の意味で豊かになる方法を研究する学問と言っていいのでしょうか?
H いやいや、経済学というのは死体解剖学ですから。
C えっ、死体?
H おかしくなったのは一体どこに問題があったからなんだろうと調べる学問ですから。もっとも、死んでいない人間を解剖するようなところもありますが。いずれにせよ、ハッピーになるための学問ではありませんよ。ハッピーになるための処方箋を書くかのごとき発表をエコノミストや経済学者がすると、それは錬金術師になってしまう。経済学者やエコノミストというのは、「今何が起こっているか」を謎解きする探偵さんなんです。あるいは「王様は、今どのくらい裸か」ということをおめずおくせず世の中に向かって叫ぶための存在です。
C では、処方箋を書くのは政治家なんですか。
H そういうフリはしていますが、政治家は自分だけがハッピーになる処方箋を書くのが常ですから。期待しちゃいけません。
C ひっ。
H 政治家が言っていることを、私のためにハッピーなシナリオを書いてくれているのね、なんて思っては思う壺で。自分がハッピーになるシナリオは自分で書くしかないですね。意地の悪いエコノミストとか気味の悪い政治家がいろんなことを言っているのをじっくり聞いて、自分で考える。
C 『ビッグイシュー』の今回の記事にあるように、知恵・地域・地球の“新3C”を念頭に着々と。しかしそれにしても、新聞やテレビにこれだけ「いざなぎ超え」という言葉が踊るとは、つくづくキャッチーな言葉に弱い媒体なんですね。
H そうですね。それに騙されてはいけません。cafeglobeはメディアとしてそういうものの言い方をしないように気をつけないとね。
C はいっ、しません!
H それこそ、いざなぎ神話を打倒するくらいの勢いとスタンスで頑張ってくださいね。
■次回予告:(10月2日更新予定)
日本、イギリス、アメリカ、フランス……
各国の首脳交代時期、情勢をつかんでおこう!