C でも、英政府はこのスターン報告書をもとに、来年のG8でも主要な議題の一つにすると言っていたり、かなりやる気のようです。世界のサミットに環境問題が具体的な数字とともに乗っかったのは初めての快挙なのではないでしょうか。
H 初めてだと思います。とくにひとりの著者が一定のストーリーのもとに責任編集をしたというのはメッセージ性が強いですからね。トニー・ブレアなんてホクホク顔ですよ。このところイラクやアフガニスタンの泥沼にはまっているので、久しぶりのいいニュース、イギリスの面目躍如だと。
C この報告書の発表会見で、ブレア首相とブラウン財相が並んでうれしそうにしているのが印象的でした。イギリスとしては相当戦略があってのことなんでしょうか。
H いやぁ、そんなにすごい戦略はたぶんなかったと思うんですよね。たしかにブラウンは環境問題やホワイトバンドなど世界の貧困問題に熱心に取り組んできている人で、その底流はありますけど。スターン報告書に関しては、たまたまこの時期に上がってきたので、麗しいテーマで目立つ好機到来と、めいっぱいこの話に乗っているんじゃないでしょうか。スターン氏としてはむしろ興ざめしているかもしれませんよ(笑)。
C ははぁ、なるほど(苦笑)。でも、先日ナイロビで開かれたCOP12(気候変動枠組み条約締約国会議)とMOP2(京都
議定書締約国会議)でも大きな話題になっていたようですし、G8の共同声明に入るようなことになれば、結果オーライかなぁと思うんですが。
H 突然「環境のイギリス」ってことで世界に売り込んでいくつもりなのでしょうね。環境はロシアやいろいろな国にプレッシャーをかけやすいし、誰にも文句を言われずにチャンピオンになりやすい分野ですからね。
C じつはおいしいトピック!
H おいしいですね。でもこれがおいしさだけの追求になって、中身をどう実現していくかというところを掘り下げていかないなら意味がない。我々としては、Beyond Sternがどうなるか、これからイギリスが何をしていくのか、GDP1%を率先して実践していくのか、注視していかなければいけませんね。
C でも、イギリスが動いたら日本政府も動かないとまずいですね。
H そりゃそうです。なんといっても日本の名前を冠した「京都議定書」ですから。この件において日本がほかの国に遅れをとってはいけません。
C むしろ、一番に手をあげて一緒に動けば、世界の舞台で相当なお手柄も得られますよね。
H さように。ところがこのスターン報告書は日本では全然報じられていませんね。日本はそれどころじゃないんだという部分もあるでしょうし、教育基本法の改正なんかもけしからんことですが、それにしてもここまで報じられないというのには驚きました。せめてcafeglobeユーザーのみなさんはここはしっかり注目していっていただきたいですね。
C 日本の省エネ技術は世界一と言われますから、うまく乗ればおいしいはずですよね。
H 問題意識を持って世の中を見ていないと、せっかく技術を持っていても有効に使えませんからね。人にせっつかれて技術を提供するようでは幼なすぎる。本当に日本はぬかっていると思いますよ。環境省は何をやっているのか。スターン報告書を受けて日本からの実行プロポーザルをスパッと出したりするべきです。
C テレビや新聞のニュースがすごく一辺倒で、とくに国外の、世界の動きに世論の目が向きにくくなっていると思います。
H ほんとうにまぁ、タウンミーティングのやらせとか(笑)、目を覆う惨状ばかりで、大局観がなくなってきています。
C 気づいている記者はいそうですが、視聴率がとれないからと没にされているんだろうなぁ。せめて役人さんには頑張っていただきたいところですが。
H 霞ヶ関にこれを読んでくださっているユーザーさんがいたら、ぜひ頑張って、と(笑)。ぜひコメントいただきたいところですね。私はまじめですよ。
C 200年後、ナウシカの風の谷みたいなところの人たちが、21世紀の遺跡からボロボロになったスターンレポートを見つけて、「なんだ、気づいてたんじゃん」「あのとき対策してくれれば地球はこうはならなかったよな」なんて呟いている……ということになっていないことを祈ります。
H そういうことになるかもしれませんねぇ。本当に、ならないといいですね。
■次回予告:(12月15日更新予定)
政府は何かと「FTAで」と言うけれど
「ぐちゃぐちゃスパゲッティ」の今後