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「先進国倶楽部」は遠くなりにけり
ついに27ヶ国になった拡大EU |
Cafeglobe(以下C) 温暖化にエル・ニーニョで、日本とヨーロッパは異様な暖冬です。2007年はまた人類史上最も暑い年になりそうだとか……先行きが思いやられる年がスタートしています。先行きが見えないといえば、この1月1日にルーマニア、ブルガリア2国がEUに正式加入したとか。どんどん大きくなりますね、EU。どこまで大きくなるつもりなんでしょうか。
浜さん(以下H) 27ヶ国ですからね(※1)。今回は「残されたボヘミア」、先にEUに加盟したポーランドやハンガリーなどに取り残された感のあった2国がついに。
C ポーランドなどにこの2国がだいぶ遅れたのは、やっぱり国の経済力の違いなのでしょうか。
H 基本的にそうですね。昨年までのEU25ヶ国のひとりあたりGDPを100とすると、ブルガリアとルーマニアは33%と34%しかありません。ポーランドで一応50%はありますから。この連載の初回で「ポーランドの配管工にドイツ人やフランス人が戦々兢々としている」というテーマを扱いました(第1回参照>)が、今回はそれどころではないわけです。馴染みもないし、ルーマニアはドラキュラ伝説の舞台だったりして(笑)、得体の知れない怖い感じはあるのでしょう。
C 私も、89年に処刑された元チャウシェスク大統領の写真が今でもルーマニアのイメージになってます。サダム・フセインの処刑でまた思い出しました。
H イメージはともかくとしても、EUの平均的所得の3分の1しかない国が入ってくるとなると、EU経済の姿形も全然変わって来ちゃうということですね。すでに旧EUメンバー15ヶ国に対して新しいメンバーが12ヶ国。かつての「先進国倶楽部」からはどんどん遠ざかっていくわけです。このことをどう考えるかが、これからのEUにとっては大きな問題ですね。
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ベルリンの壁がなくなってしまったから
今度はどこに鉄のカーテンを引くか | 
C ひとりあたりGDPで3分の1というと、日本で言うならマレーシアやタイとの差くらいでしょうか。優秀な技術労働者がやすい賃金でどっと押し寄せて来ちゃったら、一労働者としては恐怖なのは確かです……。それでも着々と拡大を続けるEUの原動力はどこにあるんですか。トルコも加盟申請リストに入っていますが、宗教も違うし、反対というつもりはないんですが、いったいどこで線を引くつもりなんだろうって思います。以前の回で教えていただいた初期の動機だった「戦争抑止」からはだいぶ遠くまで来ている(第12回参照>)のではないでしょうか
H EUの前身、EEC、ECの原点である恒久平和を求めるという動機は消えないでしょうし、消えてはいけないとは思います。その動機とある意味では同じ発想の延長線上にあるといっていいでしょうが、今のEU拡大には再び存在感を増しているロシアとの間にノーマンズ・ランドを作りたくないという意識が強く働いているといえるでしょう。
C 天然ガスとかエネルギー供給の問題では、西側はロシアの出方に今かなりピリピリ来ていますからね。
H そうそう。グレーゾーン地帯というか、緩衝地帯であるようであって、実は無法地帯的な管理不能領域を残しておきたくない。そのような真空地帯から、ロシアが嫌な人たちがどっと難民になって流れ込んで来られたら大変だという思いも強い。そのような観点から、むしろ同じ倶楽部の会員証を与えて、「そこにいても同じ権利を持った身分ですよ(だからそこにいてくださいね)」と抑止しようという狙いもあるわけです。ベルリンの壁がなくなってしまったので、鉄のカーテンをどこに引くか。あまり近いところに引くとがむしゃらに乗り越えてくる人がいるから、「そうじゃないのよ、ずっと向こうのほうにカーテンはあるんだから、今いるところで安心してちょうだい」と
C なるほど、でもポーランドなどの加盟のときには労働ビザ不要にしていたイギリスも、今回は認可がないと来られないことにしましたね。
H あのときの予想とは桁違いの数の人が入ってきてしまいましたからね。こりゃイカンと。でもルーマニアやブルガリアの人にとっては、目指していたゴールポストがひょいっと遠くに移されてしまったわけで、話が違うじゃないか!と相当不満もあるはずです。
C 競争力のある労働者が出て行ってしまったポーランドでは、技術者や専門職がひどく不足して生活が難しくなっているというレポートも耳にします。看護婦さんが足りないとか、あふれた下水が直せないとか。
H やはり「なんでEUに入る?」「なんで入れる?」という相互の狙いに齟齬があるからですね。これが今後の拡大EUにどんな亀裂を生むのか、注目ポイントですね。
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京都はフランス、大阪はイタリア、
名古屋はオランダ……さて、その心は? |
C このEU拡大、日本から見るとどういう意味を持つのでしょうか。
H EUが東に拡大することが、直接的に経済効果としてどういう意味を持つかということもさりながら、こういう寄り合い所帯がどのような問題を醸していくか、大いに観察すべきですね。安倍政権は「地域の活性化なくして構造改革なし」なんて言って地域に注目しているようなことをいっていますが、多様性というものがいかに貴重かをどこまで考えているのでしょうかね。私は関西圏をいかに元気にするかという研究会の座長をさせてもらう機会を頂戴したりしていますが、そういう視点から見ると、日本の地域の問題はEUの縮図のように見えるところはあります。日本の「国の形」なんて嫌な言葉がありますが(笑)、これからの日本を考える上で参考になるでしょう。
C 日本でも似た問題が起こりうる……? H まぁ、気質から言っても京都はフランスですよね。中華思想のかたまり(笑)。大阪はイタリア。「TANTO」なんて関西弁とイタリア語は同じ意味ですからね。儲かりまっかの精神は天真爛漫としたたかさが絶妙に組み合わさっているイタリア魂に通じるなと思います。
C イタリアに行くたび、「関西人やなぁ」と思います。光りものとか原色好きだし。
H 神戸は、難しいけれどベルギーとオーストリアの中間くらい。コスモポリタンで洗練されているんだけれど、ひそかにその他大勢をバカにしている。名古屋はずばりオランダですね。ケチでしたたか。でも一朝有事には気前のいいところがあってそのコントラストが正直で面白い。東京はイギリスですかね……他地域とのつきあいが下手でぎこちない。津軽はイギリスのリバプールか。ヨークシャーでもいいですね。
C それは単に訛りが強いっていうだけじゃないですか(笑)。
H (笑)。ふざけているようですが、こうやって見ていくことでも、極度な東京一極集中になっている日本における分権のありかたを考える材料にはなるんです。「EUのあいつらが冒す失敗から学んでやるぞー」という目でチェックしていきましょう。
C はい、まずは自分の出身地や今暮らしている場所がEUのどこに似ているか、考えてみるところから始めてみます!
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