Cafeglobe(以下C)
先月開催されたG7で、中国は「人民元の上昇加速」を求められていました。中国共産党大会関連のニュースを見ていても「人民元改革が必要」だとしきりに言われていました。これってつまりはどういうことなんでしょう。
浜さん(以下H)
要するに、中国は人民元の変動相場制への移行を求められているということです。かつてはドルペッグ制(※1)だったのが、今は通貨バスケット連動制(※2)になり、ドルペッグ時代に比べれば、多少の変動は容認する方式に変わっています。全面的な対ドル固定為替相場に比べれば柔軟性が少しは高まり、いわゆる管理された変動相場制(管理フロート)に一息近づいたというのが現状です。ですが、それではまだ不十分だ、制度は変わっても人民元が安すぎるというのがG7側の言い分です。人民元は過小評価されている。そのおかげで中国は不当な利益を得ているというわけですね。
C
なるほど。人民元が安いから中国は「世界の工場」でいやすいというか、競争力を保てるからモノをたくさん売ることができる。それはフェアじゃないってわけですね。でも、中国にとっても人民元安がいきすぎるとインフレっぽくなってしまってまずいということはないんでしょうか? バブルのときの日本のように、どこかでしわ寄せがくると思うんですが。
H
そうですね。今中国がやっていることは、結果的にはドルを買い支えているようなものです。人民元のレートを低くおさえるために、大量にドルを買っている。ドルを買うために人民元をどんどん発行しているから、中国は超カネあまり状態になってるわけです。その溢れた金を使って不動産に投資したりだとか、これはもうバブル状態ですよね。だから、このまま人為的な低為替政策を続けていると、確かに中国経済にとってもゆがみをどんどん拡大していくことになります。そろそろ、本格的な変動相場制への移行に踏み切るか、それがイヤなら、現行の通貨バスケット連動制は維持したままで、この通貨バスケットに対する人民元の中心レートを大きく切り上げることを考えざるを得ないところに来ているのではないでしょうかね。G7でまわりからガミガミ言われるからというよりは、中国は自分のために為替政策を見直すことを考えた方がいいでしょうね。中心レートの切り上げをもっと積極的に進めて来るべきだった。一昨年の人民元切り上げ以来、漸進的に制度改革を進めていると言ってきましたが、実態的にはあまり成果は上がっていません。
C
中国が破綻したら日本も大変なことになりますよね。
H
いまや中国経済もれっきとしたグローバル経済の一員。おそらく中国でも中央銀行の内部など、経済がわかっている人の間では、もっと早い段階での通貨制度の変革を望む声は上がっていたんじゃないでしょうか。通貨当局がドル買い=人民元売りを止めれば、中国国内のバブル状況は沈静していく。そうなれば、インフレも収束に向かいます。ところが、カネ余り状態は放置しながら、価格統制で無理やりに物価上昇を抑え込もうとしている。病因に手をつけずに症状だけを抑えようとしているわけです。これは最悪のやり方ですね。何の解決にもなりません。市場経済化が進む中で、計画経済型の解決法に頼ろうとしている。このやり方はもう明らかに限界に来ています。市場経済と計画経済の「いいとこ取り」はもうこれ以上通用しない、というところに来ているのではないでしょうか。
C
この無理さやストレスの要になるところに通貨改革があるというか。先の中国共産党の大会では、持続可能な成長を目指すと胡錦濤主席が宣言していました。経済に明るい若手を幹部に起用したりとか、世界の市場とうまく折り合いをつけてやっていこうとは思ってるんだと思うんですが。
H
ソフトランディング的にゆるやかに状況を変えようとしているのでしょうね。
C
今、日本にできることってあるんでしょうか。
H
そうですねぇ。友情ある説得ができる関係、というのが重要でしょうね。困った事があったら日本には話せるという信頼関係を築くのが日中外交では大切なのではないでしょうか。
C
鎖国して自国の経済成長だけを考えるという時代は完全に終わってますね。日本の政治家の人もそこのところもっと考えて欲しいです。