Cafeglobe(以下C)
『ビッグイシュー』のコラムに「グローバル資本主義の行き着く先はもしかしたら“グローバル社会主義”かもしれない」と書いていらっしゃいますが、「グローバル社会主義」ってインパクトありますね。言葉そのものにちょっと驚いたんですが、これは一体どういうことでしょう?
浜さん(以下H)
グローバル社会主義、という言い方で言いたいのは以下のようなことです。今「まずい事態に発展しそうな要素は全部事前に規制して止めてしまおう」というような風潮が目立って来ているように思いませんか。世界全体が突然グローバルジャングルの恐ろしさに気づいて、慌てて今までと逆の方向に走り始めているように見える。サブプライムローンの問題もあったし、食糧危機もある。食糧問題に根差すグローバル・インフレ問題もある。世界がそういった状態に怯えきってしまって、このような事態が起きないようにあらかじめ規制や監督を強化しようという傾向が出てきているように思うのです。
C グローバル資本主義は怖いから、グローバル社会主義的な方向にがーっと傾いていってるようですね。この中間のバランスのとれた状態でいるのは難しいんでしょうか?
H それが非常に問われているところだと思うんです。資本主義路線で競争が激しくなり、格差が大きくなって結局みんなダメになってしまってもいけないし、出る杭は打たれるで、創造性を持っている者が引きこもっちゃうと世界的に大いなる停滞を引き起こす……これは社会主義体制の国が崩壊した原因ですよね。これら2つのバランスについて考える材料になるかな?と思うのが野球の世界ですね。
C
野球ですか?
H ええ。日本のプロ野球の話ですが、例えば、とにかく自分だけ強ければいいとカネにあかせて強い選手を集めてきた例の球団がありますよね。試合に勝つためばかりではなくて、他球団の戦力を殺ぐために有力選手をガンガン囲い込んでいく。他の選手がよその球団に行って活躍されると困るから囲っておくというわけです。そうやっているうちに、見ているほうが「あんなことやってりゃ、勝ってあたりまえだよね」ってバカらしくなってしまう。プロ野球って面白くないねって。飼い殺されてる選手にしてみたらアホらしいし、他の球団にいる強い選手も、どうせこんなところでやってたって見る人もいないし、じゃあ、大リーグに行こうかと。結果的にひとり勝ちを目指す球団は自分の首を締めているようなもんですよね。
C では大リーグは違うんですか?
H 大リーグは、独占禁止法じゃないですけど強い選手が色んなチームに散らばるようそれなりに工夫しているようですね。つまり、それなりに知恵を働かせているわけですが、ただ、これもあまり行き過ぎるとどのチームにも均等に「強い選手枠」みたいなものができてしまって、これまた面白くなくなってしまいますよね。野球についても、ひとり勝ち志向とみんな均等志向の中間的なところに面白さの黄金解があるんじゃないかと思います。
C 偏りすぎてもコントロールしすぎても面白くないってことですね。
H 人間、極端から極端に走るのはある意味では避け難いんだけど、そこで一歩踏み止まって、例えばどのくらいの弱者救済を行い、どこまでは淘汰を放置するのかをじっくり考えてみる必要があると思います。グローバリゼーションというものが持っているダイナミックなエネルギーを花開かせて、その背後にある悲惨な部分はしっかりコントロールする、という知恵の働かせ方が欲しい。難しいことですけど、そのバランスというか、黄金ポイントを探り当てられてこそ、「人間」らしい知恵の働かせ方ではないでしょうか。1990年代から今世紀に入ったばかりの頃は、市場が全てという感じでしたよね。構造改革とはすなわち市場原理主義を花開かせることだ、というようになっていた。で、これをやってみたら怖いことになったから逆方向に突っ走る。これでは全く知恵がない。
C 黄金ポイントですか……。この問題に限らず常に黄金ポイントを見いだす努力が必要だし、探していると自覚する必要がありますね。心に留めてニュースを見るようにしようと思います。